第二十六話
東西南北どこを見てもあるのは似たような樹木である
一つだけわかっているのは
(崖前から飛び降りた)ことだけである
山は里の北側に位置する
なので必然的に南へ向かえば里に近づくことにはなるが
逆に北に向かえば崖があるはず
つまり絶壁にたどり着くだろう
つまり北に向かえば
とりあえず方向だけはわかる事になるかもしれない
だが、その北がわからない
それに絶壁にぶつかってもそれが(北の絶壁)とは限らない
なんにしても一方向にまっすぐいければ
何かしらの新しい情報は手に入る
足元に落ちてた小石を家元は拾うと
木に大きなバツ印をつける
(家元)一個ずつこの目の高さにバツをつけていく
一度来た場所なら少なくともわかるはず
バツのついてる木は一度来た道なのでぐるぐる回って永遠に出れないってのは避けれる
そう考えて一本ずつバツ印をつけていった
----数時間後ーーーー
バツをつけたのは100本を超えたあたりから数えてない、、
今のところバツのある木にはたどりついていないので
同じ場所にはいない可能性が高い
(家元)伊佐どの~ にゃー吉さん
ときおり大声も出してみる が、返事はない
延々と歩いていると目の前に小川が流れていた
(家元)これはラッキーだ、喉がからからだった
毒とかウイルスとかそういうのも本来なら気にするのだが
もう四の五のいってられない
家元はがばっと川に顔を突っ込むとごくごくと水を飲んだ
(家元)ぷはーーー生き返る
水はとても冷たくておいしかった
疲労が抜けていくようだ
ついでに籠手を外し 手と顔を洗う
血まみれの鼻骨まわりも洗い落としていく
(家元)あーいててて
傷に冷たい水がしみる丁寧に泥や血のりを落としていく
すると反対側の川のほとりに同じように顔を洗う生き物がいた
(家元)え?にゃー吉さん?
反対側には2足歩行の黒い猫がいた
だがよく見ると少し違う
にゃー吉のような忍び装束は身に着けていない
素っ裸(まあ猫は普通素っ裸なのだが)(着物を着てるにゃー吉がおかしい)のである
黒猫は家元に気づくと一目散に逃げだした
(家元)あ、待って
家元は後を追いかけた 樹海で迷ってる家元にとって少ない手掛かりである
にゃー吉のように人の言葉をしゃべれるなら道を教えてもらえるかもしれない
家元は必死に追いかけるがすさまじいスピードである
ついに見失ってしまった
(家元)はあ、はあ まいった 数少ない手がかりだったのに
(黒猫)な、なんにゃ?アイツはおいらを追っかけてきて
まさか追っ手じゃないにゃろな?
なんとか服部の里までいかにゃいと、、、
近くまでは来てるはずにゃんなが
ん?
黒猫は耳をピンと立てた
何か聞こえる
物凄い重量感のある足跡である
危険を感じた黒猫は近くの藪に身をひそめる
(黒猫)な、なんにゃ?あのバカでかい足音は
ずしん、ずしん
足音は次第に大きくなっていく
すると黒猫の目の前に体長4メートルはあるだろうか?
巨大な生き物が現れた
巨大な生き物は鼻がいいのか?何か臭いをくんくんと嗅いでいる
すると突如地鳴りのような大きな音で吠えた
ぐおおおおおおおお
(黒猫)びぎゃー
あ、しまった
あまりの音に耐えかねて黒猫が叫んでしまった
あまり耳が良すぎるのも災難である
巨大な生き物は黒猫の方を見ると一声あげて襲い掛かってきた
ぐおおおおおお
(黒猫)ひいいいいいいい
黒猫は猫のくせに脱兎のごとく逃げる
だが巨大な獣は見た目以上の速度でどんどん迫ってくる
ばきばきばき めきめき
触れるだけで倒れていく樹木
まるでブルドーザーのようだ
黒猫は小回りを利かせ ジグザグに逃げていく
が、その時
(黒猫)ぴぎゃーなんにゃこれは
黒猫は何かにひっかかってしまう
クモの糸だ
通常のクモの糸よりかなり粘着性が高く頑丈で
中々外すことができない
(黒猫)うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃにゃーーー
黒猫はわちゃわちゃと両足をばたつかせながらもがくもいっこうに外れない
--ぐおおおおおお--
そこに舌なめずりをしながら巨大な獣がにじり寄ってくる
(黒猫)うにゃにゃにゃ おいらはおいしくないにゃ!そ、そうにゃ毒にゃ 猛毒にゃーーー
そんな黒猫を意にもかいさず 巨大な獣は前足で黒猫を踏みつける
そしてそのまま頭にかじりつこうとした
どーん
物凄い音と共に巨大な獣が吹き飛ぶ
家元の振り回したハンマーが巨大な獣の肩に命中し
そのままその獣を吹き飛ばした
(家元)もう大丈夫ですよ コイツは僕が倒します
そういうと家元はハンマーを両手で持ち
目の前の巨大な獣に対して臨戦態勢をとった
第二十七話につづく




