序章 第十一話
第11話
全国小学校柔道選手権
家元は県予選を勝ち上がり 優勝候補筆頭として
他の道場から注目されていた
当時小学校に柔道部が無かったため
小学校の選手権は各地域の柔道道場からの選抜になっていた
オリンピック選手が数多く練習に集まる名門葉月道場
その道場長 葉月庸年の息子家元にはかなりの注目が集まっていた
3歳から毎日欠かさずやってきた柔道
中学生や大人と幼少期から組手をやってきた家元が
小学生に負ける道理などなかった
はずである、、、
準々決勝第3試合
一本それまで
開始32秒一瞬の出来事だった
不十分な体勢で仕掛けてきた大外刈り
体格、体力で優る家元にかかるわけがない
だが、倒せないとみるや相手は家元の顔面をおさえつけてきた
当然だが柔道で持っていいのは帯、えり、袖など道着の部分のみである
顔を手で抑えるなど危険行為なため反則である
練習中でもされたことない危険行為により家元の体勢がぐらつく
ばたーん
そのまま倒されてしまった家元
明らかな反則行為なのだが告げられたのは一本のコール
家元の初めての全国大会は準々決勝なんかで終わってしまったのである
試合後家元は涙が止まらなかった
どうしても納得いかなかった
試合では負けてない 相手の反則負けのはず
なんで自分が負けなのか全く理解できない
実力で負けたなら納得できる だけど理不尽はどうしても納得がいかない
泣きじゃくる家元に父が話しかける
(家元の父)家元、なんでお前が負けたかわかるか?
(家元)あいてがズルしたから
(家元の父)それはちがうな
父はぶんぶんと首をよこにふる
(家元)なんで?顔おさえるのはズルでしょ?
あいつズルしたから勝ったんだよ そうじゃなきゃあんな奴に負けてない
父は尋ねる
(家元の父)家元は相手が自分より弱いと思ってたのか?
(家元)そうだよ
(家元の父)
いいか家元 もしこれが戦場で命のやりとりだったら
お前はもう死んでいる
相手はズルしたけどもうお前は死んでいるので生きてる奴だけが勝者だ
そして相手は(お前が自分より強いと)思っていた
(家元)そりゃそうだよボクの方が体もおっきいし優勝候補って言われてるし
父はこうつづける
(家元の父)
相手はいちかばちかの反則技を使ってきた
つまり負けてもかまわないと思って技を仕掛けたんだよ
試合において負けは(死)だ
つまり相手は(命を捨てて)勝負を挑んできたんだよ
家元絶対に忘れるな
勝負に勝つためには(命)を捨てなければならない
死ぬ覚悟がなければ(生)を勝ち取ることはできないんだよ
(家元)なにいってるかわかんない
(家元の父)
ははっ まあそうだろうな
いずれわかる日が来る
そういって父はけらけらと笑い飛ばしていた
第十二話につづく




