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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第伍章 ~砂漠ノ王国~

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96話 要撃ノ準備

 ルティーナ達は、エリアルの住む孤児院を襲撃しようとしている男達の会話を盗聴していた。

その内容は、寄付された『武闘会』での賞金を我が物にしようとした密談であった。

それを聞かされた彼女は激高するが、ルティーナに冷静になるように諭され、逆にないがしろにする作戦を計画したのであった。

そして翌日、彼女たちは準備を始めるのであった。

 ルティーナ達は、エリアルに連れられて施設の入り口や設備などを教えてもらい下見を進めていた。

すると、数人の子供たちが外の違和感に気づき、ぞろぞろ出てくるのであった。


「「「あれぇ~エリアルお姉ちゃん、どうしたのぉ~? お外をうろうろしてぇ~」」」


「エリアル……この人達は?」


「あっフォルテ、この人達は僕のお友達だよ」

「今日は、皆と遊んでくれるために来てくれたんだ」


「「「ほんとぉ~?」」」


「ところで、あなた、お名前? みんなより少し年上かなぁ?」


「「「「(ぷっ)」」」」


(げっ)


フォルテはルティーナを子供たちと同年代と思いこみ、質問をしてしまうがエリアルと同い年だと猛アピールされ謝罪するのであった。

しかし、子供たちには関係なく、いつの間にか輪の中心になり溶け込んでしまった。

その様子を見ていたエリアルは、違和感がなく呆然としていた。


「ルナさぁ、お前子供に交じって護衛していた方が、返り討ちに出来――」


「ミヤ~っ、それ以上言ったら――」


「――さぁ、やんちゃんな奴、あたい達が相手してやるよぉ! かかってきな~」



 それから5人は子供たちと無邪気に戯れ、楽しく時間を過ごしていた。

サーミャとロザリナは、男の子達と一緒に暴れ大人気となり、シャルレシカは、女の子達にお絵描きやあやとりを教えるのであった。

ひとまず子供たちから逃げることができたルティーナは、エリアルに作戦の進捗状況を確認した。


「ところでさエル、昨日頼んでおいた件はどう?」


「計画通りさ」

「明日の朝に旅立つと院長には伝えたわ」

「子供達には襲撃のことは説明していないけど、僕が出国する時にいつも門までついてくるから目立つはずよ」

「……気は進まないけどね」

「あと部屋だけど、院長の客間を使わせてもらうことになったよ。あそこなら子供たちは鍵がないと入れないから、ちょうどいい場所だよ」



「「「「「ねぇねぇ~ルナお姉ちゃん~、さっきの不思議なのもっと見せてよぉ~」」」」」


「ははは、そうだなぁ~鬼ごっこしようか? お姉ちゃんが鬼だぞぉ~逃げきれたら、見せてあげるよぉ~」


「「「「「きゃあ~」」」」」



エリアルは4人が楽しそうに子供たちと遊んでくれるのを見て、彼女たちは下見が目的だとは解っていたが、笑みがこぼれるのであった。


「エリアル、ちょっといいかしら?」


「おかえりなさいミレイユ」


ミレイユは、エリアルが明日出国するということで警備団に身辺警護の依頼に出かけて帰って来たのであった。


「例の件は依頼しておきましたよ」

「それより、いつも1人ぼっちで剣を振っているばかりでブクレイン内でも友達が出来なかった貴方が、初めて連れてきた友達……こんなに子供たちに溶け込んでいるなんて」


「えぇ、最高の友達ですよ」


「この施設を襲撃しようなんて輩がいるなんて信じられないけど……貴方と『武闘会』で上位になった人達が守ってくれるなら安心ね」

「それとエリアル、この件が終わったら、あなた達に相談し……」


「何か?」


「……んん、何でもないわ」

「今日は、子供たちといっぱい遊んであげて。明日は旅立つんでしょ?」


「そうでしたね。わかりました。では失礼します」


「(エリアル……あなた達なら……きっと)」



そしてルティーナ達は、夜遅くまで子供たちと遊び解散するのであった。




 そして翌日――。


「「「「「え~んエリアルお姉ちゃん、また出かけちゃうのぉ~寂しいよぉ~」」」」」


「やっぱり今日も門までついて来ちゃうんだから、この子達はぁ~」

「フォルテ、あなたが、この中で一番お姉さんなんだから、皆の面倒をちゃんと見てあげるのよ」


「うんエリアル、私に任せなさいっ」


「んじゃ、みんな、あんまりうろつかずに孤児院に戻っていい子にしてるのよっ」


「「「「「は~い」」」」」




その様子を、門が見える建物からタッセが覗いていた。


「エリアルが出国してくれるとは好都合だな。あとは、本命の冒険者共が居なくなれば……」



そして1時間後、ルティーナ達はヘギンズの馬車でなく一般の馬車を使って、バルステン王国から出国した。

ヘギンズは温泉施設の帰りに事情を説明し、翌朝に見張りを始められる前、つまり、その日の夜の内に出国させ、砂漠前の宿場で宿をとらせていたのであった。


「おっツイてるぜ、今日の内に全員出て行きやがった。何日ここで見張らされるかとぞ~っとしてたが、案外ちょろかったな」



それから3時間後、砂漠の入口の宿場に全員集合していた。


「多分、私たちがバルステンから出国したことは認識しているはずよ」



そして6人は段取りを改めて再確認した。


作戦はヘギンズは再び馬車でバルステンにルティーナ達を乗せて戻る。

だだし、5人は透明にして誰も乗っていないように見せることにし、エリアルの馬は暴れると困るので、事が終わるまで馬車の中で小さくしたままで眠らせておくことにした。


「入国したら、私の知人の家で1部屋貸してもらいってるからそこに居てくれ」



賊は何時襲撃してくるかまでは決めてなかったが、直近の深夜であることは想定できたため、日が落ちたら透明のままでルティーナとロザリナとエリアルの3人で孤児院にもどり、用意してもらった客間に移動し数日過ごすことにする。


「そしてぇ夜中はぁ、その小部屋でぇ索敵をしてればぁ~いいんだよねぇ?」



シャルレシカが盗賊達の気配に気付いた時に、『エクソシズム・ケーン』をあらかじめ消しておき、能力を解除した時を襲撃の合図としサーミャとロザリナが孤児院にむかい挟み撃ちにする作戦である。

そして、襲撃が始まる前にルティーナが子供達に【ねむる】で眠らせるだけでなく、安全のため【(かたい)】で硬くすることにした。


(あ、あの時『ソード・オブ・スラッシュ』で切れなかったあれか……それなら安全だ)


「基本的に、あたいは玄関側の奴を屈服さてやるわ」


「私は、裏口側の奴を叩いてしばきますっ」


(なんか、変なやる気が……)


「あとは、俺がサーミャの指示で、警備隊に孤児院が強盗にあっていると伝えに行けばいいんだな?」


「ばっちりね! さぁみんなっ悪党共を退治するわよ」


「「「「「「お~っ!」」」」」」


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