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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第伍章 ~砂漠ノ王国~

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95話 冷静ナ判断

 ルティーナ達は、エリアルの提案で温泉施設に来ていた。

そこで5人は、温泉を満喫していたが、風呂上りに涼んでいると悪意を向ける男達が居ることをシャルレシカが見つける。

ルティーナは、シャルレシカの盗聴用の水晶を使って、彼らが何をしようとしているのか様子を覗うのであった。

 ルティーナ達は、自然な会話を織り交ぜながら、男たちの会話を盗聴していた。



「ユルゲン、あのガキが座った席にいる5人が例の奴らだ、顔だけ覚えとけっ」


「ふぅ~ん、ガキ以外は色っぽい姉~ちゃん達――」


「まったく、お前は本当に女が好きだなぁ」



「(色っぽいって、あたいのことだよねぇ~、見る目があるじゃねぇかっあの髭野)」



「でもあの胸は……すげぇなぁ。たまんねぇぜ」



「(あの~これがぁどうかしましたかぁ?)」


「(けっ! シャルの事かよっ!)」


「「「ブッ」」」



勝手に盛り上がっているルティーナ達を横目に、彼らは話をつづけた。

その内容は――。



彼らは『武闘会』を見る為ノモナーガに来て、エリアルの戦績を監視していたのであった。

エリアルが今年も孤児院に賞金を寄付すると予想しており、思った通りに事が進んでいた。

最初は、30人ぐらいで孤児院に押し入ればエリアル1人では守り切れないと踏んでいたが、まさか、上位入賞者4人が遊びに来ていることを知り作戦を練り直していたのだ。


「兄貴ぃ~、あいつらの顔はばっちり覚えましたぜ」


「タッセ、おめぇは、明日の朝から門で、全員出国するまで見張ってろ」


「へぃ(この雰囲気だと、明日出国はしねぇだろ)」


「あ? なんか言ったかタッセ」


「なんでもないっす」




「(あいつら!)」


(治安が悪くなったって言ってたな……寄付が原因?)


「(エル、とにかく騒いじゃだめよっ)」


「(何よ急に――)」


 ルティーナは、飲み物をわざとこぼすのであった。


「ぎゃ~っ! ルナ、浴衣にかかったぁ~っ!」



「あいつら、なんか騒がしいなぁ」


「あいつらが居なくなれば……孤児院にお金があってもしょうがないよなぁ~」


「ま、そういうことだ。俺たちが有効に使ってやらねぇとなぁ」


「ふひひひひっ」


続けて彼らは予定通り30人ぐらい集められそうだと盛り上がるのであった。

そして数名には別行動で、エリアルがいつも出国時に依頼している護衛団をひきつけるように段取りを確認し、ルティーナ達を横目に解散するのであった。


シャルレシカが3人が温泉施設から出たことを確認し、5人は普段通りの会話を再開する。


「ルナっ、なんで邪魔をしたの! あいつら、この場で――」


「エルっお願いだから、落ち着いてっ」


ルティーナはエリアルを説得した。

彼らは話をしていただけで未遂であることと、仮に締め上げても、逆に自分達に襲われたと逆手にとられて牢屋に入れられてしまうのはこっちだと。

そうなってしまっては、ますます彼らの思うつぼになり、そうなったら誰が、孤児院を守るのかを問う。


「たぶん、あいつらは、万一、私達に聞かれてもいいように、わざとあそこで会話してたのよっ」


「……そっか。ごめんなさい。感情的になりすぎてしまった」


「気持ちはわかるわ」

「んじゃ、発想を変えて、逆に仲間を募らせて襲わせればいい」


「ちょっとルナっ! なんてことを――」


「だから! 守ればいいのよ孤児院を! 私たちなら、それが出来るっ」


「!」


ルティーナは、奴らを一網打尽にし現行犯で捕まえ世間に見せしめることで、孤児院を襲撃して金品を奪おうって考える奴もいなくなると続ける。


「そうしたら、国に警備強化のお願いもしやすくなるかもですね」


「そ、それは……そうだけど」

「でも、子供達に襲われる恐怖を目の前で見せるなんて……」


「心配しないで子供達にはその間、私の『能力(ちから)』で、絶対起きないように寝てもらうから安心して」


「そんな事も……出来るのか? ルナ」


「もちろんっ! 私を誰だと思っているの?」


「孤児院の事で頭がいっぱいで、後先を考えてなかった……ごめん」


そしてエリアルは皆に確認した。


「……僕に力を貸してくれるのかい? あかの他人である僕に」


「「「「もちろんっ! 友達でしょ?」」」」


「うんっ、ありがとう……うううぅ」


 エリアルは自分の意志とは無関係に、何かから解放されたかのように涙があふれ出るのであった。


「しかし、エルが孤児院に寄付していることが、なんでバレてんだ?」


エリアルは寄付したと言う話は一切していなかったが、ここ1年で孤児院の備品を皆で買い物したり、改修工事の手続きとかしていたことで、どこかから昨年の『武闘会』で優勝した話が広がったのでないかと想像した。


「確かに、今年、見に来てたって言ってたよね……間違いなさそうね」


「糞野郎達だな、まったく」



 その場で作戦会議が始まり、馬琴(まこと)はルティーナを通じて皆に作戦を伝えるのであった。


「「「「了解っ」」」」


「さすがルナだな。よくもまぁいつもこんな作戦をぱっぱっぱっと考えつくもんだぜ」


「えへへ」


(俺に感謝しろ)


「僕だけでは、30人相手は無理だけど、その作戦なら……」



ルティーナはとりあえず明日の朝、孤児院に4人で訪問することにする都合、事前に院長にこの事態をあらかじめ説明し、子供たちが入ってこれない部屋か何かを準備するように指示した。

そして、孤児院達の子供と遊びつつ下見をさせてほしいと伝えた。


「私ぃもぉ~孤児院で育ったからぁ~子供たちと遊ぶのはぁ得意ですぅ~」


「そうだね、先生がいたわっ」


「シャルも捨て子だったの?……そっか、みんなも色々あるんだね」

「でも、皆、ありがとうね」


エリアルの気分が落ち着いたころを見計らって、ルティーナは作戦の要となるヘギンズに事情を説明してくると温泉施設で解散するのであった。



 ――そして翌日の朝早く、ルティーナ達は、孤児院に訪れていた。


「おはようございます、エリアルさんはいらっしゃいますかぁ?」


「いらっしゃい、もしかしてルナリカさん達かしら?」


「そうです。院長さんですか?」

(女性だったの? 剣を教えてもらったって言ってたけど……)


「はい、エリアルから話は聞いております。私がこの孤児院の院長のミレイユと申します」


(へぇ、この人も黒髪なんだぁ……高齢なのに綺麗な人)


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