94話 娯楽ト密談
ルティーナ達は合流したサーミャ達と砂漠での調査結果と、今後の行動について話し合い今後の方針を決めた。
そしてブクレイン王国に到着し、エリアルのいる孤児院を尋ねた。
彼女に出会ったルティーナ達は、翌日、女5人で街に遊びに出かけるのであった。
しかし、1日の最後にエリアルのたってもの要望で、温泉施設にいくことになりルティーナは困っていた。
みんなで温泉
消極的なルティーナをよそに4人はエリアルに連れられ、はしゃぎながら温泉施設に入っていくのであった。
そして5人は脱衣所に案内され、ルティーナ以外は、恥じらいもなくそそくさと服を脱ぎ始めるのであった。
(ゲッ! 恥ずかしくないの?)
(しゃ~っ温泉回キターーーーーーーーーッ)
(何よそれ? マコト……最低ぇ)
「ん? ルナも早く服を脱げば? 天井ばっかり見てねぇで」
「それもとナニかぁ? あたいらの魅惑的な裸を観たらショックを受けるってか?」
(ショックもあるけど、それ以上にはしゃぐ奴がいるんだよっ! 一人でお風呂に入っている時と違って、みんなの裸を気にしないといけないんだからぁ~っ)
(気にせず行こう!)
(ダメダメぇ~っ! 絶対見せてやるもんかっ!)
「おい、大丈夫かぁ? おかしいぞ?」
(これは不可抗力だからさぁ~)
(最低ぇ~っ! ケダモノっ!)
(言うに事欠いてぇ~っとにかく風呂の間、寝てろっ! つか意識を失なえっ! いやいっそ死ねっ!)
(ひ、酷い~)
ルティーナが服を脱ごうとしないことに、エリアルは本当に申し訳なさそうな顔をしながら、誘ったことを謝り始めた。
誰にも見られたくない秘密があると勘違いされて困り果てたルティーナは、開き直った。
「え、んっ、あ~そうですそーですよぉ! 私は、皆さんに比べて貧相だから~見せたくないんですぅ~」
「気にすんなぁ、ルナだってあと8年したらこれぐらいにはなるさ……(たぶん)」
(というか、なぜに仁王立ち? 何かで隠してっ)
8年もしたら27歳になってしまうと逆切れするルティーナであったが、サーミャはシャルレシカに秘訣を聞けと、彼女の後ろに回り込み両手で頭の両方をわしづかみにしシャルレシカの方を向かせた。
「ふぁ?」
(げっ、なんだあのぶら下がっているものは……巨大殺戮兵器じゃんっ……って直視しちゃったぁ)
(ぶはっ………………)
(し、しまっ――あれっ? マコト? ねぇマコ――)
馬琴は、長期に渡る禁欲生活によるものなのか? シャルの全裸の姿の刺激が強すぎて意識が飛んでしまうという想定外の出来事が起こっていた。
ルティーナは自分が寝ている時以外、初めて馬琴との意思疎通ができなくなったことに驚くも、この機会を逃す術はないと笑みがこぼれていた。
(まさか大袈裟な……シャルの裸で気を失っちゃうの? やっぱり胸かよっ……最低ぇ)
「さぁ、皆! 何してっるのよ! 泳ぐわよっ!」
急にルティーナは脱衣し、さっきまでの暗い表情が一変して満面の笑みで湯殿に入っていくのであった。
そして5人は今まで入ったこともない広い湯舟に気持ちよさそうに浸かっていた。
「うぁ~凄く癒されるぅ~って……ルナっ! 温泉では泳いじゃダメですよぉ」
「なぁエル、この温泉ってお肌にいいのよねぇ?」
「そうだよ、艶々になれるわよミヤ」
「マジか! 潜っちゃえ! ブクブクブク……」
「ミヤぁ~おばさんみたいな事しないでぇ~恥ずかしいからっ」
「ぶは~っ! なんか言ったかリーナ?」
「あはは、リーナは、まるでお母さんだな」
皆、自由奔放に温泉を楽しむが、一番静かに温泉に浸かっていたのは意外にもシャルレシカであった。
「ふにゃぁ~肩こりが癒されますぅ~」
「「「「(得体の知れないものが……う、浮いてる……)」」」」
「「「「(けっ)」」」」
「やっぱり皆、今日はとてもぉ怖いですぅ~」
皆、楽しく温泉を満喫したあと、浴衣姿で休憩所で団らんを過ごしていた。
結局、馬琴はすべてが終わってから意識を取り戻したが、シャルレシカの裸を見た直前の記憶すら吹き飛ぶほどの衝撃を受けたらしく、残念そうに悔やんでいた。
(そっかぁ、覚えてないんだぁ~シャルの胸って初めてみたわ! 初めて触っちゃったわよ! あんなにおっきいのに張りがあって綺麗だったわよぉ~)
(……ぐっ、くそうぉ~っ……死にたい)
(ぷっ、面白い)
エリアルは初めての同年代との温泉が気分が高揚していたが、シャルレシカの水晶が気になってしょうがなかった。
「そういえばシャルって、お風呂に入っているときも水晶玉は手に持ってたね」
「さすがに盗難には注意が必要だけど……」
「これは私がぁ赤ちゃんの時からぁず~と一緒なんですぅ、この水晶もたまには洗ってあげないとぉ」
「まるで家族なんだね」
「これはぁ、ミヤの杖と同じですぅ~」
「確かに持ってる方が安全だが、流石に今日は遊ぶと決めたんだ、宿に置いてきたぜ」
「まぁ、盗みやがったら半殺しにしてリーナに直してもらって半殺ししなおしてやるけどな」
(怖っ)
そんな会話で盛り上がっている最中に、シャルレシカは無索敵ながら近くの自分たちに向いている悪意に気付くのであった。
そして、その悪意に気付かれないように、ルティーナ達に休憩所の奥の席に座る2人組の事を伝えるのであった。
「シャルが悪意を感じる時は、私たちに向けてってことですよね?」
「(まさか組織の手の者? が私たちを追って?)」
「(ねぇシャル、こっそり小さい水晶を貸してよ)」
ルティーナはシャルレシカから盗聴ができる小さな水晶を借り、お手洗いに行くとしらじらしくアピールし2人組のそばを通りながらお手洗いに向かうのであった。
「なんだぁ? ルナ、飲みすぎかぁ? おこちゃまだなぁ」
「(って適当に演技しろって言いやがったけど、あいつらと目があっちまったぜ……こっちを見てるし)」
「あいつら? 俺達を意識してねぇか?」
「たまたまさ、気にするな。俺達が見るから怪しまれてるんだ」
そこへ、もう1人の男が合流した。
時、同じくして、ルティーナが席に戻ってきたのを確認すると密談を始める。
しかし、ルティーナは彼らの席の傍を通過するときに、気付かれないように透明にした水晶をおいていた。
「だたいまぁ~!」
(シャル、盗聴よろしく)」
「(はぁ~い)」
「すっきりしたぁ~」
「(それで、席をはずしたのか!)」
「(どういうことなのミヤ)」
「(そうかエルは知らないだな、シャルの小さな水晶は盗聴ができるんだ)」
「(それにルナは物を消せるんだよ)」
「(そ、そうなんだ……いまさら、驚かないけど)」
「ねぇねぇ、この後どうするぅ?」
「エル、葡萄酒の店に連れて行ってくれよぉ~」
ルティーナ達は不自然にならないように普通の会話をしているように見せかけつつ、彼らの会話の内容を盗聴するのであった。




