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90話 奇妙ナ砂漠

 ルティーナ達はブクレインへ向かう道中のイスガ砂漠で、シャルレシカが怪しいとてつもない魔力を一瞬感じたと騒ぐ。

しかし、すぐに『エクソシズム・ケーン』で10km範囲を再度索敵させたが、その気配は無かった。

ただの勘違いだとサーミャは言うが、馬琴(まこと)はこの砂漠の秘密と何か関係あると睨み、ルティーナとシャルレシカで調査に向かうのであった。

そして――。

 ルティーナは馬琴(まこと)の言うままに、【(ばく)】を描いた手裏剣を撒いては砂上を爆破していた。


(これだけ砂漠で暴れてるんだ、何か反応があってもよさそうなのに……)

(本当に砂の中を高速移動して、どっかに去ってしまったのか?)


馬琴(まこと)は、砂上の爆破に夢中になりすぎて飛び回ると疲れて戻れなくなると不安になったが、ルティーナはちゃんと街道だけは見失しなわないように飛翔していた。

しかし、もう少し広範囲で砂漠を見渡したいとルティーナが高度を上げようとしたが、馬琴(まこと)は制止するのであった。


(俺も実際経験してないから予想でしかないけど、俺の世界だと高く飛びすぎると、空気が薄すくなり呼吸が大変になるし、気流も荒くなるから失速する危険性がある)

(十分注意するんだぞ)


(わかったわ、気を付ける)


(それに、あまり高く飛ぶと、魔物が砂に潜ってたらシャルの索敵範囲が外れーー)


「ねぇねぇっルナぁ~」

「ルナったらぁ~聞いてますかぁ~?」


「あっごめんごめんっ」


「ぶぅ~っ、いつものぼぉ~っとさんですぅ」


シャルレシカは、砂漠の遠くの方に何かが見えるとルティーナに伝えた。


「かなり先なので、よく見えないんですがなんとなくぅ」


「ん? 向こう?」

「確かに……なんかあるようなないような」


(ん~、高温の砂漠で見える奴? そう、蜃気楼なんじゃないか?)


(シンキロウ? 何それ)


シャルレシカの言う通り、砂漠の上に何か物体が見えた。

しかし高く飛びすぎると小さく見うしない、低空飛行で近づこうとすると逆に街道を見失うような微妙な高度を飛んでいた馬琴(まこと)は長考する。


(一体なんだ? 砂漠のど真ん中に……施設……なのか? 砂に飲み込まれていない?)


(どうするのマコト)


(この場所に、俺達の解る目印を置いて、後日改めて調査に戻ってくるのが妥当か……)


ルティーナは、早速、手裏剣を取り出し【堅《かたい》】を転写し大きく描き始めた。

どんどん漢字を大きくさせていったが、その時、初めて約60m以上大きくならならずに、描いていた漢字は破綻し消滅した。


(えっ、どうして……)


(展開範囲の限界は10秒……やっぱりが限界があったのか……)


そして再び手裏剣に【(かたい)】を約60mの大きさで描き直し投下した。砂の上に接触したと同時に『起動(きどう)』してみた。

地面を作れば上に目印になる物を作れると考えたのであったが、砂漠は手裏剣を中心に徐々に固まり始めるも地面を形成する途中で、そのまま飲み込まれるように沈んでいくのであった。


「ルナぁ~、地面がぁ沈んでいくよぉ~」


「これじゃ~目印を作れないじゃないっ」


馬琴(まこと)はその様子をみて、砂漠といよりまるで大海ではないかと呆然とする。

だが、街道付近の砂漠の砂もこんな状態なら、皆おかしいと感じるはずであり、調査をするものが居るのであれば、砂漠の砂が途中から別の状態……つまり、海のような液体状態になっているのではないかと推測した。


「もうちょっと考えるから、シャルはそのまま索敵を続けててね」


「わかったぁ~むにゅ」


今度は、手裏剣に【(こおる)】を約60mで描き、砂漠の上に投下してみた。

手裏剣が砂に沈み始めた頃を狙って『起動(きどう)』すると、馬琴(まこと)の予想どおり、その場所の砂が手裏剣を中心に徐々に凍り付き始め、巨大な氷の球体が砂の上をさ迷って浮いているような状態になったのである。

 

(これは……やはり、液体状の砂と考えるほうが正しそうだ)

(つまり、海と考えればこの下に王国が沈んだっていう話しも……不思議じゃない)


(え? マコトさっぱりわからないんだけどぉ)


馬琴(まこと)は、たとえ話でルティーナに海を見た事があるかと問うが、見た事はないと言われ理解できないことを納得した。

そこで、イメージとしてお風呂に入った時に、一瞬、水面が乱れてしまうがすぐに元に戻る例を説明した。

するとルティーナはあっさり、風呂の中で桶が浮くことと同じなんだと理解した。


(そうそう、ルナの理解が早くて助かるよ)


ルティーナは、シャルレシカが見つけたものは浮いているのではなく、自分が風呂に浸かっているとしたら自分自身の顔になるのではないかと馬琴(まこと)に話しかける。


(そうかそれだっルナ! あれは、もしかしたら、砂の下にある何かが顔を出しているなら納得がいくっ)


だが馬琴(まこと)は、シャルレシカが物として認識している以上、建造物が埋まっている可能性が高く、もしかしたら失われた王国の一部が見えているのではないかと思う矢先ーー。


「ルナっ~」


シャルレシカは後方で再び、巨大な魔力を感じた大慌てになったが、すぐに消えてしまったと伝えた。

馬琴(まこと)は、ここを砂の海と過程できれば、泳いでいる巨大な魚の様な魔物が存在している可能性があり、それであれば、その巨大な魔物が居る為に、他の魔物達は怯え住み着けないことの説明がつくとルティーナに説明した。


だが、その魔物がなぜ砂上に出てこないのか、それとも、砂の中でしか生きられない魔物なのか疑問は尽きなかった。

とりあえず、謎の建造物を調査しようと馬琴(まこと)はルティーナに声をかけようとしたがーー。


(ま、マコト……私、そろそろ疲れてきちゃった)


さすがに、30分以上飛翔したことがなくルティーナも疲労困憊となり、シャルレシカも索敵のし過ぎで魔力が枯渇し、2人が気づく前に爆睡していた。

やむを得ず、今回の調査は仕切り直しにして一旦、街道まで戻り休むことにするのであった。

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