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9話 暗雲

ルティーナ達は、魔物に襲われていた占い師シャルレシカを仲間にして薬草採取の任務を再開した。

彼女には希少な大規模範囲索敵能力があることを知る。

それにより、万全の状態で薬草採取が安全に進み、ルティーナの能力もあいまって好調な1日目を終えたのであった。

 薬草採取はルティーナの予想を上回る活躍によって順調に進んでいた。

夕食でシャルレシカは予想以上の大食漢を見せ、それを見た皆は栄養が胸に集まるんだなぁと呆れる中、彼女は飲食後いきなり爆睡してしまうのであった。

後々知ることとなるが、彼女は魔力を使いすぎると空腹と睡魔に勝てない体質であった。


 残った5人は翌日の計画を話し合った。バルストは、半日で既に六割方の薬草を回収できたことに驚嘆し、このペースならば明日の夕方には終わるのではないかとドリネは語る。

ミリアはルティーナの薬草探しの才能を絶賛し、その効率の良さを語った。ドリネはルティーナの素質を買い、今回の仕事が終わったら薬草取りの手伝いをしながら薬師を目指してみないかと勧めたが、ルティーナは笑ってごまかすのであった。

今晩はバルストが朝まで警戒し、翌朝、シャルレシカが起床次第に索敵を再開してもらい自分は仮眠するとした。

夕方にはここを出発し深夜にアウリッヒ王国に戻る計画で2日目に臨むことを決めるのであった。


 翌朝、三人は再び薬草採取を始めた。シャルレシカは仮眠を取るバルストを気遣いながら、索敵魔法を展開していた。

そして昼過ぎには、予想を大幅に上回る量の薬草を回収できたため、一行は夜には街に戻れるように移動を開始することにしたのであった。


ミリアは、ルティーナの活躍を称え今夜は簡単な宴を開き、そのまま泊まっていくことを勧めていた、

ドリネは、今回の任務で襲ってきた魔物が最初に出会ったデフルウの特性上、一匹だけだったことを気にしていたが、シャルレシカの索敵に一切ひっかからないことに安堵していた。

だがバルストは油、国に戻るまでは油断していはいけないと警戒を怠らなかった。


 ルティーナはシャルレシカに、この任務が終わったらアジャンレに戻るのかと尋ねた。

シャルレシカはルティーナと一緒にいたいと答え、友達になりたいと打ち明けたが、占い師として何か仕事をしているのではないかと疑問を呈した。


(でも、どこに住む気だろ?)


(ルナの家に居候する気かもよ)


シャルレシカは、占い師は仕事でなく村の人たちに乗せられて真似事をしているに過ぎないく、夢でみんなに出会うことで人生が変わると言った。

だがアンナはシャルレシカの両親が心配するのではないかと気遣ったが、彼女は幼い頃にアジャンレ村の孤児院の前に捨てられていたという衝撃的な身の上を語った。

それを聞いたアンナは思わず謝罪したが、その会話の最中、シャルレシカは突然立ち上がった。


「8、9、10……の魔物の群れがぁ~、1.5km内に寄ってきてますぅ~。たぶん、強さ的に同じ感覚だからぁ~デフルウだとぉ思いますぅ~」


「やはり居たかっ! ドリネさんは、このまま馬車を走らせてくださいっ!」


バルストはドリネさんに馬車の運転を譲り、シャルレシカに皆を安全な場所まで案内するように指示した。

そして自分は馬車を飛び降り、デフルウの群れに向かって来る方向に単身突進していった。

ルティーナは父親を心配したが、アンナはバルストの強さを信じて大丈夫だとなだめるのであった。

そんな不安が入り混じる中、シャルレシカの表情は一変し、笑顔で魔物の群れが消えたことを告げ、バルストの力量を称賛した。


 数分後、少し怪我を負ったバルストが戻ってきた。


「シャルちゃんの言った通り、デフルウの群れじゃったよ、さすがに十匹も群れられるとな……久しぶりに苦戦してしまったわい! わはは」


と、彼は笑いながら言った。

アンナが慌てて駆け寄り治癒魔法をかけようとしたが、ドリネはそれを制し、摘み取ったばかりの薬草をその場で手早く煎じてバルストの傷口に塗り込んだ。

すると、バルストの怪我は瞬く間に治癒した。ルティーナは上薬草の鮮度の良さと効果に感嘆しつつも、自身の魔法よりも治りが早いことに内心で驚き、納品用の薬草を使ってしまったことを申し訳なく思った。

しかし、ドリネはルティーナのおかげで薬草には余裕があると答えた。そんな安堵した空気の中、再びシャルレシカが声を上げた。


「えぇぇ~なんでぇ~」


バルストが何事かと問うと、シャルレシカはまだ2km先ではあるものの、あたり一面に魔物が増殖していると報告した。その数は十、二十、三十、五十、そして百を超えるという。


「ど、どういぅことじゃ! この辺は、『バリア・ストーン』の恩恵があるはずじゃぞ! そんな場所で魔物が大量に出る話なんて聞いたことがないぞ!」


恐怖に震える一行をよそに、ルティーナは内心で自分の活躍の場が来たと抑えきれない期待に胸を躍らせていた。


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