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89話 不穏ノ前兆

 ルティーナ達は、『武闘会』でのみんなの賞金で念願の拠点の施工にまでこぎつけることができた。

しかし拠点が完成するまで1か月かかることから、情報収集をかねて国外旅行に出かける。

旅行先は、サーミャが行きたがっていたバルステン王国に決めるのであった。

そして、その道中で色々と噂があるイスガ砂漠を通過しようとしていた。

 快適に移動する道中の間、4人は何故魔物がいないのかという話題で盛り上がるのであった。

色々考察はあり、水場がないために生息ができないとか、暑さに弱いとか、人が生息していないため他の地域に拡散したなど……。


(本当に、それだけなのかな?)


(マコトがひっかかると、何か不穏な事が起こるよね)


(そうだっけか?)

(気になると気になっちゃうんだよね~)


しかし、砂漠側に魔物がいないのは納得するものの、平野側に少しぐらい魔物が居てもおかしくないのに、それすら存在しないことであった。

遊び半分で、シャルレシカに2km範囲の魔物索敵を試してもらうことにする事にした。


「シャル、魔物の気配はどうよ?」


「本当だぁ、魔物どころか普通の動物すら居ないですよぉ~」


「そうなんだ。本当に魔物だけでなく動物すら生息していないんだね……」


理由がわからない事にもやもやする馬琴(まこと)であったが、ロザリナが砂漠に王国があったという噂話を振り始めた。

しかし、辺り一面、砂が広がっているだけで廃城の跡すら見えないのであった。

サーミャは『エクソシズム・ケーン』を使って『アース・クエイク』で砂でも掘り返してみるかと笑いなら馬車の後方に立ち上がったが、皆にとり抑えられた。


(そういえば、砂にカンジは描けなかったよね?)


(そうだな、『フォルスト高原』で実験してた時に実験してたやつな……確かに、普通に考えたら固体だけど……砂自体の1粒1粒が小さすぎるんだろうな)

(まさか、ルナもサーミャと同じことを考えてないだろうな?)


しかしこの砂漠を調べに行った者は行方不明になるという話しを聞く限り、魔物が生息しない理由と何かしら関係しているかもしれないと馬琴(まこと)は考え始めた瞬間――。

シャルレシカが不気味な言葉を放つ。


「ん、2km向こうに、一瞬だけぇ、とてつもない魔物の反応がぁ……んっ居なくなったぁ?」

「勘違いかなぁ~それとも離れちゃったかなぁ?」


しかし、砂の平原には何も生き物の姿はなかった。

そうなると砂の中を移動しているしか考えられなかった。


「ヘギンスさん馬車を止めてくださいっ」


「ミヤぁ」


「わかったわかった。ほれ、『エクソシズム・ケーン』を使ってみろよ? 10kmで索敵すればさすがに……」


しかし、索敵範囲を拡大しても反応は無かった。

やはりシャルレシカの勘違いでないかとサーミャとロザリナが言い始めたが、どうしても気になった馬琴(まこと)はルティーナにシャルレシカと調査をするように頼むのであった。

そしてサーミャとロザリナはヘギンズと3人で、砂漠を抜けた街で宿をとって待っているように指示をするのであった。


「俺は別にかまわんが、ルナリカちゃんはどうやって移動するんだい? 砂漠を歩いてバルステンまで――」


「あぁヘギンスさん、こいつは大丈夫だよ」


「えっ」


「さぁ、シャルを軽くして飛ぶよっ」

「ミヤっ、杖ををシャルに貸してよっ」


「って、今回は断るっ! 砂の上に落とされて無くしたとか言われたらたまらねぇからな」


(たしかに)



 そしてルティーナはシャルレシカに【(かすか)】と【(かるい)】を描き小さくした上で懐に入れ、自分自身に【(つばさ)】と(すずしい)】を描いて、彼女が反応した場所に向けて羽ばたいて行くのであった。


「る……ルナリカちゃん……空、飛んでるぅぅぅぅぅ」

「こ、これじゃぁ馬車なんて要らなぇじゃねぇかぁ……俺の時代も終わったなぁ~」


「あのぉヘギンスさん、ありゃぁルナだけの力だからね」


「あと、くれぐれもルナが空を飛べる事は、絶対秘密にしてくれよな」


「あぁ……(なんなんだこのパーティーは)」


「さぁさぁ、ヘギンズさん元気を出して、葡萄酒が待ってるパルプンテまでよろしくなっ」



 ――その頃、ルティーナ達はシャルレシカが反応した場所あたりの上空を飛んでいた。

だが、先も10km範囲を索敵したばかりで、近づいたからと言って反応があるわけがなかったが、彼女もとてつもない魔力を勘違いするなんてないと気にはなっていた。


「確かにぃ、索敵をやめようと気が緩んだ一瞬だったけどぉ、あんなでかい反応を見間違うなんてぇ――」


しかし砂の上には空から見渡す限りも何も見当たらなく、馬琴(まこと)は砂の下で高速移動しているか、地中奥深くに潜り索敵範囲から逃れたと推測した。


(そしたら砂漠の地表が荒れそうだが……それもなさそうだ)


馬琴(まこと)はとりあえずルティーナに手裏剣を取り出させ【(ばく)】を転写し約30mまで大きく描いたものを、砂漠の中に放り投げてみるのであった。

そして落下した手裏剣が砂漠の上に落ちたあたりで『起動(きどう)』させ大爆発を起こさせた。

すると、砂漠の表面は爆風で吹き飛び大きなくぼみが出来たが、その跡地は、まるで蟻地獄のように渦をまきはじめ、そのうち数秒後にはくぼみが消え、砂漠の上は何もなかったように平たんに戻るのであった。


(うそっ)


それから数回、ルティーナは飛翔し場所を大きく変えながら、砂漠に【(ばく)】を描いた手裏剣を投げ込み試すが、どこも同じ現象になるのであった。


(砂漠って、そう勝手に平たんには戻らない……はず?)

(これじゃまるで、この砂漠は生きているみたいじゃないか……まさか、行方不明者が出る理由に何か関係が)

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