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83話 決勝戦 ~後編~

 ついに決勝戦、ルティーナと魔法剣士エリアルとの一騎打ちが始まった。

序盤はお互い剣での戦いを繰り広げ、最後の試合にふさわしい戦いを繰り広げていた。

徐々にエリアルの魔剣の力が解放される中、馬琴(まこと)は自分と同じ能力の片鱗を感じてしょうがなかった。

 試合は中盤を迎え、応援席は総立ち状態でにぎわっていた。

そこへサーミャ達3人がアンハルト達の元へやって来た。

サーミャはルティーナが圧されている状況に、にやにや笑いをこぼしていた。


「笑いごとじゃないよミヤ、結構やばくない?」



「お~い! シャルお姉ちゃん~っ!」


「あぁ、カルラちゃ~んっ! 今からいくよぉ~」



「おぉ! サーミャっ! お疲れというか脚は大丈夫か?」

「後、ブライアンには、ちゃんと説明しておいたよ」


「ありが――」


「さ、サーミャ姉さん、体にさわりますから、ここに座ってくださいっ!」


「あぁ、判ってくれたん――って、はぁ? ね、姉さ……」

「えっああぁえっ、何があった?」


あまりにも急変した態度のブライアンにびっくりするサーミャであったが、まわりの皆は暖かい目で見守るのであった。

そしてブライアンはひたすら謝るのであった。


「わかった。わかったから! ブライアン……あと、お姉さんはやめようか?」


「だめなんですか?」


「ほ、ほれ、そんなことは後だ、まずはルナの応援しようぜっ!」


「そんなことって! さては……グルバスっ! てめぇ~いらないことまで説明しやがったなぁっ!」


「「「「(にやにや)」」」」




 ルティーナは、エリアルの魔剣にまとわりつく雷は、剣を振りかざす度に鞭のようにルティーナに絡みつこうとするが、手裏剣を投げては雷の方向をそらし交わしていた。


「手裏剣で回避している様だが、そのうち武器が無くなってしまうよ」


「ご心配なく……」


ルティーナは短剣を闘技場に突き刺し、雷がそれに吸い付かれている間に後方に下がり、すかさず手裏剣をエリアルに向かって放り投げた。

エリアルは簡単にたたき落そうとするが、手裏剣には【(かがやき)】が描かれており、瞬間、光りだした。


「(くっ、思いっきり正面を見てしまった……こんなタイミングでも目くらましが使えるのか……油断したっ)」


ルティーナは再び短剣を闘技場から抜き取り、鞘に納めた。

そして手持ちの手裏剣の残り全部を、エリアルの周りにばらまきながら走り回った。


目がなれはじめたエリアルは自分の周りに不自然にばらかれている手裏剣に違和感をおぼえた。


「これは……サーミャさんにもやってたやつだね」

「結局、何もなかったよね?(でも、さっきの手裏剣は……さっきの試合は手の内を明かさない様にしていたのか?)」


(……)


ルティーナは鞘に収めたままの鞘の方を両手に持ち、短剣の柄のほうを向けてエリアルに振りかざし、短剣を射出した。

想定外の攻撃にエリアルは一瞬躊躇したが、周りの手裏剣を意識してしまったため移動せず、再びルティーナに拾えないように剣で後ろ方に弾き飛ばした。


「大事な短剣を捨ててよかったのかい?」


「捨ててないからご心配なく」


「?」


ルティーナは、糸巻とクナイを取り出し、その糸をクナイに結び付け輪投げのように頭上で振り回しはじめ、エリアルをけん制した。

そしてそのままクナイをエリアルに放ったが、彼女は剣で交わそうとするが、その剣にクナイの糸が巻きつく。


「これが狙いかっ」


ルティーナは剣をひっぱり手繰り寄せようとしたが、エリアルは咄嗟に――。


「『ソード・オブ・ヴォルケーノ』っ!」

(【(ほのお)】っ)


すると剣に巻き付いた糸は炎で焼き切れ、クナイは落ちるのであった。

そしてエリアルは、そのまま炎をまとった剣でルティーナに切りかかるのであった。


「熱い、熱いっ!」


たまらずルティーナは、一番エリアルの近くにある【(ばく)】を描いておいた手裏剣に対して『起動(きどう)』させ、爆発させることで一瞬、場を止めるのであった。


「なっ! 爆発した? 手裏剣が……(やっぱり、サーミャさんとの作戦とは違う!)」


エリアルは周りにある手裏剣と自分との距離に、再び目が行ってしまい動きが鈍ってしまった。


ルティーナは再び、新しいクナイを取り出し切れた糸をクナイに結び、再び輪投げように頭上で振り回した。

今度はそのクナイには【(みず)】が描いてあり、起動することで周りに水を噴射させるのであった。

エリアルにかかろうとした水は、『ソード・オブ・ヴォルケーノ』の熱気により水蒸気と化し霧となり、彼女の周囲がだんだん霞がかかり始めるのであった。

 

ルティーナはそのまま糸巻のクナイごとエリアルに放り投げ、そして鞄から何かを取り出しエリアルに背をむけて反対方向に力いっぱい投げるのであった。

エリアルは彼女の行為が不明であったが、とりあえず飛んでくるクナイを交わし攻撃に移ろうとした、その瞬間――。

エリアルの後ろから、彼女が弾き飛ばしたはずのルティーナの短剣が襲ってきた。


「!」


彼女は霧で周囲が見えにくくなっていた為、不意に後ろから飛んできた短剣に気づくのが遅れ、魔剣を持っている手に直撃してしまい、つい手放してしまった。

すぐさま、ルティーナは懐に飛び込み左手の手のひらに【(はじく)】を描いた状態で、【(ちから)】が残っている左腕の腕力にのせてエリアルの腹部に掌底をぶち込んだ。

そのままエリアルは、後方にとばされ場外の壁に打ち付けられた。


「がはっ、な、何が……」


ルティーナは短剣を射出する前に、鞄の中にあるもう一つの糸巻と糸を透明にしておいて、糸を短剣の持ち手に結びつけていたのであった。

そしてエリアルには、無駄に投げつけた糸巻とクナイに集中させている隙に、透明にした糸巻を反対方向に投げることで短剣を引き寄せていたのであった。


結局、エリアルは腹部に強打を浴びた上、場外の壁に叩きつけられてしまったため、さすがにうずくまったまま動けなくなっていた。



「……8、9、10っ」

「エリアルは場外数え10により、優勝はっルナリカ=リターナっ!」



「「「「「「おおおぉ~っ!」」」」」」

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