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8話 索敵

ルティーナ達は『バルデランの森』へ薬草採取の任務で親に同伴していたが、そこへ魔物に追われる少女と遭遇し……


シャルレシカ=ブルムダール 挿絵(By みてみん)


 デフルウ――狼の魔物――

素早い動きと鋭い爪と牙を持ち、普段は群れで行動するため複数で囲まれると厄介な存在だが、1匹の単独行動はあまり考えられないとされていた。

他にもいるのでは無いかと警戒しながらもバルストはデフルウと戦いを始めた。

デフルウが飛び掛かってくるも、バルストはその高齢を感じさせぬ機敏な動きで容易にかわし、背面に回り込んだ瞬間、剣で心臓を一突きにして駆逐した。


馬琴(まこと)は、そんなバルストの戦う姿を見て、改めて彼が剣豪と呼ばれる所以を理解できるほど華麗な動きに看取れていた。


「はぁ、はぁ……あ、ありがとうぉ~ございましたぁ~死んじゃうところでしたぁ~」


緑髪の少女は息を切らしながら、助けられたことに感謝を述べた。

彼女の名前はシャルレシカ=ブルムダール。アジャンレ村で占い師をやっているらしいが、バルストはその村の名前を聞いて少し悩みながらもあまり深く追求することはしなかった。

それ以前に、年齢が18歳と聞き……その上、豊満な体形にルティーナと見比べて心が痛くなるバルストであった。


(しかし、めちゃくちゃおっとりした子だよね……ん? どうしたルナ?)


(わ、私より年下なんて……しかも……)


そんなルティーナの劣等感をよそに、シャルレシカはルティーナに気づき、可愛らしい少女だとなつき自分のことを「シャル」と呼んでほしいと言う。


しかし、アンナは何故ここに居たのか疑問が沸き理由を問う。

するとシャルレシカは時折見る不思議な夢について語り始めた。


「私にはぁ~たまに不思議な夢をぉ見ることがあってぇ~数日前ぇこの森でぇ~皆さんと出会うぁ~夢を見ましたぁ~」


この森に訪れたのはその夢がきっかけだと語る。

そして首に掛けている水晶を見せ、皆の気配はこれですぐわかったと言い、しかし魔物が近くにいたことに気付き、それを知らせようとしたが逆に追われる立場になってしまったという。

その話しを聞いた全員、彼女の言動に一体何を言っているのかを理解することだ出来ず呆然としていた。


(シャルって、て、て、て、天然……? なのか……)


(それに、私たちがここに来るのがわかってたって……どういう事?)

「シャルはさぁ、私たちに会うために来たのぉ?」


 シャルレシカは、アジャンレ村を出た後に山を2日かけて街道まで降りて、馬車を何台か乗り継いで8日かかったと言う。

それを聞いた全員は、この任務を受ける前から知っていたことになり、彼女が占い師という職業に納得がいくのであった。

ここで、シャルレシカは、自分は索敵魔法が使えることを自負し役にたつと一行に同行したいと申し出た。


 ルティーナはシャルレシカの能力に感嘆し、父親にとって助けになるだろうと述べた。バルストも索敵魔法が使えることは安全性が向上するとドリネに上申、彼女への報酬は自身が個別に支払うと申し出た。

それを聞いたドリネは快諾し、六人になった一行は『バルデランの森』に入り、時間を潰してしまったため早速作業に取り掛かった。


 ドリネ、ミリア、ルティーナは薬草採取を始め、シャルレシカは索敵魔法を展開し周りを監視し、その傍らでグスルトとアンナは野営の準備を行うのであった。

シャルレシカは周囲の状況を把握し、バルストに半径2km圏内には魔物らしきものはいないと伝えた。

バルストは索敵魔法は半径500mが主流の中、シャルレシカの半端ない索敵の能力の高さに驚き、他に解ることはあるのかと尋ねた。

彼女は、索敵時に力の強弱や悪意の有無も感知できると答えた。さらに20m以内であれば索敵をしなくても危害を加えそうな悪意を察知できると伝えた。

それを聞いたバルストは、定期的に索敵を行い1.5km圏内に魔物が近づいたら知らせてほしいと頼んだ。

シャルレシカはそれを快諾したが、一方でルティーナの方をじっと見つめ、バルストより巨大な力を感じ取ったことに内心で疑問を感じていた。


 その頃、薬草収集を進めていたミリアはルティーナに薬草の採れ具合を尋ねた。


「ルナちゃん~そっちは薬草はうまくとれていますかぁ~?」


「これでいんですよねぇ?」


ルティーナは回収した薬草が入った籠ごとミリアに渡した。ミリアは大量な草が入った籠を見て、適当に回収したのだなと思っていたがよく見てみると全て上薬草であったことに驚愕した。


「え、え、す、すごいねぇ、私が積んだ薬草を1回見せただけで間違わずに、まだ2時間しか経ってないのに……もうこんなに採れちゃったのね」

「ルナちゃんには、素質があるのかな? あははは……」。


ルティーナは内心で、『能力(ちから)』を使ってましたと言えないと思いながら、密かに笑みを浮かべた。

いろいろな方法を試しながら薬草採取を楽しんでいたが、結局、手のひらに【(さぐる)】って描いて、草の周りをまさぐると自分の記憶した薬草と同じものがあれば反応するってカラクリであった。


1日目の採取は無事に終了しアンナの準備した夕食を皆で過ごすのであった。

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