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64話 絵空事

 ルティーナ達はノスガルドに戻って来た。

ルティーナはガイゼルに事件の報告をする為にアバダルト商会へ訪問し、他のメンバーは『碧き閃光』の拠点に向かった。

そしてサーミャはアンハルトと魔物の生態について話し合いをし、ロザリナとシャルレシカは魔法の修行を行うのであった。

一方、ルティーナ達の知らないところで、謎の動きが進んでいた。


 ルティーナ達はそれぞれの訪問先から帰路し、待ち合わせしていたカルラの宿に再び世話になることにした。


「ルナお姉ちゃん~おかえりぃ」


「あっカルラ! 今日もかわいらしいわねぇ」


「つか、あの2人見てると……」


「ああ゛? なんか言ったミヤ?」


「ゲホッゲホゥ、な、なんでもないよ……それより部屋に行くぞっ、アンハルトから聞いた話を――」



 そして、サーミャはアンハルトから聞いた話を皆に共有したのであった。

だいたいの予想が当たっていた馬琴(まこと)だが、行方不明の冒険者が居たことに驚愕した。

その全員がゲレンガの魔物にされる実験に使われていたのではないかと疑問視していた。


(ドグルスは呪いの石……ゲレンガは魔物化……こいつら他にも何かやっているのか?)


「ありがと、そろそろ私たちに接触してきてもおかしくないわね……待ち状態になるのはしゃくだけど」


「そうそう、待ってる間に時間潰しのいい話があるぜ」


「?」


サーミャは1週間後に開催されるノモナーガ王国の『生国祭』について語り始める。


「そういえば、子供のころお父さんに連れていてもらった記憶が、この前のようにあるわ」


(そりゃ寝てたからこの前だろうな、ははは)


(ていっ!)

「で、それがどうかしたの?」


アンハルトからここ2年前から開催されている『王国祭』最終日の目玉『王国武闘大会』があると聞いたのだ。


「舞踏? 踊るの?」


「なわけねぇーよっ! なにボケてんだよルナっ」


「え、武闘? 戦う方?」


「そうだよ」


サーミャはアンハルトから聞いた昨年の『王国武闘大会』の詳細を話し始めた。



――王国武闘大会――


『銀』以下の冒険者であれば誰でも参加ができる。

そして予選を行い、選抜された16人の冒険者にて本戦が行われトーナメント戦で優勝者を決める流れ。


・本線にて1回戦を突破すると賞金、金貨50枚

・準優勝者は賞金、金貨300枚、準決勝で敗退しても金貨100枚 加え冒険者の階級を1つ上げる

・優勝者は賞金、金貨500枚と冒険者の階級を2つ上げる(ただし、上限は『金』)



(それって、私、銀の冒険者になれるチャンスじゃん)


(優勝すればなっ)


「アンハルトが言うには、冒険者の原石を底上げするのが目的で始まったらしい」


「1回戦目を勝つだけでも金貨50枚……大判振舞いね」


「リーナまでぇ~、まさかあんた達……」


「「出ないの? ルナ」」


(あ、ガイゼルさんの言ってたことは、そういうこと……)


しかし、そんな3人をがんばってくださいね的な表情でシャルレシカはのほほんと眺めていた。

すかさずサーミャは突っ込みを入れた。


「はぁ? シャルあんたも出るんたよっ」


「ほへぇ? 私ぃ非戦闘員ん~」


「杖貸してあげるからっ戦えっ」

 

「ひぃ~」


そして4人は準決勝まで総なめすれば、金貨1000枚を手に入れることができることしか頭になかった。

さらには、宿暮らしから解放されたいと自分たちの拠点を立てる目標に変わりつつあった。


「あっ、いいですね」


(おいおい……まるで絵空事だな)

(対戦形式で、上位4人に入る組み合わせなんて……どんな確率かわかってんのか?)


(いいじゃない? 夢があって)


「よしっ、4人で上位をいただくぞっ~」


「「お~」」

「ひぃ~」


ふと冷静になったロザリナが、サーミャにどうやったら参加できるのかを問うのであった。

しかし、サーミャは突然沈黙し聞いてなかったと自白し、全員は真っ白になるのであった。


「…………そうだそうだっ、そろそろご飯だぜ、シャルっ」


「「「ごまかすんじゃないっ」」」


「明日ギルドに行って、アンハルトさんに聞くしかないね」




 そして翌日、4人は『碧き閃光』の拠点に向かおうとしていると、慌ててギルドに向かおうとしていたレミーナと遭遇するのであった。


「あれ? ルナリカじゃない?」

「こんなところで、うろうろしてていいの? あなたたちは『武闘会』でないの?」


レミーナはノスガルドの中心にある広場に向かおうとしていた。

そこで彼女が『武闘会』への参加書類を配布する担当でギルドから移動しているところであったのだ。

ルティーナ達は、都合がいいとレミーナに着いていくのであった。


「それにしても、冒険者がいっぱいいるね?」


「んじゃ、みんな後でね」


「?」


「ん、ん~はぁ~い! 皆さんお待たせしました。10日後に開催される『王国武闘大会』への第1回目の参加票を配布します~」

「1回目は配布枚数に限りはございませんが、明日、2回目以降の配布をしますが人数調整させていただきますのでご了承ください」


「あっぶねぇ~知らなかったら、出れなかったかもしれないじゃんっミヤぁ~」


「あははは……」


「詳しい賞品内容と規則についてはそちらを御覧ください」

「基本的に昨年とルールは変わっておりませんが良く目を通しておいてください」

「さぁ! お前たちっ『金の冒険者』になりたいかぁ~っ!」


「「「「「「「「お~~っ」」」」」」」」


「賞金が欲しいかぁ~っ!」


「「「「「「「「お~~っ」」」」」」」」


(なんなんだ、この状況?)


「おっルナリカちゃん、やっぱり来たか?」


「あ、アンハルトさんっ」


アンハルトは話も最後まで聞いて帰らなかったサーミャを心配していてが、無事に参加票を手に入れたのを見て安心した。

そして、一緒に着いてきたヘレンも参加するからお手柔らかにと挨拶するのであった。


「そうかヘレンは『銀』だもんね」

(でもあの戦法はねぇ……お手柔らかにしてほしいのはこっちかも~)


「?」

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