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63話 後日談

 ~参章の振り返り~

 ルティーナとサーミャとシャルレシカの3人で正式に冒険者パーティーとして『零の運命(デスティニー)』を結成した。

そして最初の仕事でブクレイン王国への輸送護衛の仕事を受け滞在中に、自分の父親の不審死について調べているロザリナと知り合う。

ルティーナ達も調査に協力していたが、生前の父親の日記には探している謎の痣が記述されていた。

ロザリナは魔力が制御できないが、制御できれば強力な光魔法が使えることがわかり、サーミャのつてでシェシカの元で修行させることになった。

いろいろな経験を積み、最大級の再生魔法が使えるようになった彼女は、ルティーナ達と共に父親を陥れたエルヴァルクとゲレンガと対峙することになる。

ロザリナはゲレンガに魔物にされてしまった父親と遭遇し、元に戻すことは出来なかったが最後に親子の会話をすることができたのであった。

一方、ルティーナはゲレンガと対峙し辛くも勝利を納めるも、情報をほとんど得ることもできず、空中戦の課題を残すこととなった。

全てが解決し、ロザリナはルティーナに恩返しがしたいと『零の運命』に入ることを決断したのであった。



後方左から ロザリナ/サーミャ/シャルレシカ

手前はルティーナ

挿絵(By みてみん) 


 エレヴァルク領内での事件後、警備隊から解放されたルティーナ達はロザリナの家財を処分しお金に替える手続きに付き合い、1週間後4人でノスガルドへの旅路へと向かうことにした。


その頃――。


「(スレイナ……スレイナっ聞こえるか?)」


「! はい……ナガアキ様……ご無沙汰しております。どうかなされましたか?」


「(ドグルスは本来の国の任務に巻き込まれて何かあった可能性はあるが、ゲレンガまでも疎通ができなくなった! 一体どうなっているんだ?)」


「えっ……げ、ゲレンガがっ! 申し訳ございませんナガアキ様」

「私の弟ともあろう者が不甲斐ないっ! 疎通ができないということは2人とも死んだ? ……始末されたということですか?」


「(そこまではわからんっ! 直ちにブクレインとノモナーガを調べろっ! 嫌な予感がする)」


「例の案件は?」


「(お前に頼んでいる『狂暴化』の計画は、一度中断、原因の調査を優先しろっ)」


「かしこまりました。原因に関わった者はすべて始末してもよろしいでしょうか?」


「(あぁもちろんだ、計画の支障になるものはすべて排除しろっ! アレが復活するまでは誰にも悟らせるわけにはいかんのだっ)」

「(もうお前しか有能な者が居らぬのだ! 期待しているぞっ、また1週間後こちらから念話するっ)」


「ゲレンガ……魔物化の薬の開発はほぼ完成したと聞いていましたが……ブクレインの方がここからだと近いか――」




 ――ルティーナ達は、そんな会話が裏で起こっているとも知らずノスガルドの街に戻ってきたのであった。

ルティーナ以外の3人は『碧き閃光』の拠点へ向かい、そしてルティーナは1人でアバダルト商会に訪問し、ガイゼルに魔物化の話以外の顛末を説明し護衛費を受け取るのであった。



「そうか、自首したのか? あいつ……」

「ま、お得意様が1つ減っちまったが、しゃ~ないな。変な事件に巻き込まれる可能性もあったわけだし」


「割り切りいいですね」


「それが、商人ってもんだよ。ルナリカ」


「あはははは、そうでしたね」


「来週、4日くらいの遠征になる仕事の護衛を頼み……あっ来週は――」


「!」


「ガイゼルさんっ! お話中失礼します。至急、受付に来ていただけますか? 商品の苦情が入ってしまって、ご対応を……」


「あ~ぁ、わかったすぐ行く」

「悪りぃな~ルナリカぁ、知らせてくれてありがとな! また、次回依頼するわ」


「あ……(何が言いたかったんだろ?) はいっ、お邪魔しました。ではまた」




一方、『碧き閃光』に着いた3人であったが、早速、ロザリナのシェシカとグルバスが付き添い修行を始めた。

サーミャはアンハルトと魔物の件についてルティーナの代わりに対話することになったが、シャルレシカが魔法で大暴れした事を猛反して、ヘレンに魔法の説明と相手の狙い方を勉強をさせてほしいと頼むのであった。

もちろん『エクソシズム・ケーン』は持たせていないことは言うまでもない。


「なんだサーミャ、魔法の使い方ならお前が教えてやれよ」


「あたいが、教えるの下手って知ってるだろ? ヘレンはリーナにちゃんと魔法制御を教えられてるし、ちょうど2人余ったし時間潰しで丁度いいだろ?」


「あははっ酷い扱いだな、まぁ確かに、触媒なしで魔法がバンバン撃てる感覚派のお前じゃ先生は無理か」


「悪かったわねぇ~」


「で、話しを戻すがルナリカでなくお前と例の件の話し合いか? 今日はここには来ないのかい?」


「あいつはガイゼルんとこに寄ってから、クナイを強化する道具を作るって武器屋に行くって言ってたから今日は来ないと思うよ」

「あたいじゃ、不満かい?」


「いいや、そういうわけではないが、お前が補佐役をしてるのがな」


「そうかい? ルナは結構、信頼してくれてるぜ」


アンハルトは、ルティーナ達が不在だった間のことを語り始めた。

破壊されていた『バリア・ストーン』の修復は完了し、防衛力の強化と魔物に対しての魔力を強化した結果なのか『ヘルグランの森』ではほとんど魔物は出なくなったという。

他の区画で討伐対応していた冒険者達からの情報を聞いた所、特に魔物に変わったところはなく、自分たちが担当していた地区だけが異質であったと語る。


「(魔物が減ったのとあたい達がゲレンガを倒した時期は合うのか……あの森の先はブクレインに近いしな……)」


「そういえば、お前たちがガイゼルさんとこの護衛でブクレインに行ってたんだよな? 魔物の影響は大丈夫だったのか?」


「(ルティーナの予想どおりかぁ~、それじゃ巻き込まないほうが正解だな)」

「あぁ、その道中で遭遇した魔物もこのまえの森と同じような動きをしやがったんだ……」


サーミャは、ブクレイン方面で発生している魔物が新種ではないかとルティーナが分析したということにしてアンハルトに説明し、人間を魔物化する実験がされていることを説明するのをやめたのであった。

もちろんアンハルト達は信頼しているが、情報を共有することで危険にさらしたくなかったからである。


「だが、あの周辺の護衛は注意するように、情報共有だけギルドにしておくべきか」

「あと、魔物の件で他の冒険者から情報を集めたときに、最近、冒険者とか民間人の行方不明者が急増している話を耳にしたんだ」


「!」

「(まさか、魔物化の実験に使われていた? それなら辻褄があう……)」

「そ、そうなのか? 物騒だな」


「っん? お前何か知ってるのか?」


「んなわけないわよっ……ま、魔物がそういう実力のある人間を捕食したら、頭が良くなるのかなぁってさ……」


「そっそうか、そういう考えもあるな、行方不明でなく捕食されたってことかぁ……その可能性も伝えておくよ」

「ルナリカに引けに劣らず、いい意見が聞けたよ」


「あたいもなかなかだろ? (あ、あぶねぇ~バレずに済んだ)」


「ミヤ~おまたせぇ、修行終わったよ~」


「おぅサーミャっ、やっぱロザリナは武闘家に向いてるぞ? 弟子にくれよ」


「グルバス? ロザリナは聖女になる資質があるのよ! あなた見たいに野蛮にさせないで」

「でも力を見せるのはほどほどにしないと、国に持ってかれるわよ」


「あっ昔のあたいらみたいにか? あれは断るの大変だったもんなぁ~」


「ところでヘレン、シャルはどうだった?」


「え~と、たぶん大丈夫じゃないかなぁ~」


「え、多分て――」


「そういえば、そろそろじゃなかったか?」


「アレか……もうそんな時期かぁ~早いなぁ~もう1年たったのかぁ」


「「「?」」」


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