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61話 空ノ戦闘

 館の庭園ではデフルウとデーアベが大暴れしていたが、デーアベが急にエルヴァルクを狙ったかのように襲い始める。

すると彼は、ロザリナの父親の名前をデーアベに対して叫ぶ。それを聞いたロザリナは冷静さを失いデーアベに彼を襲わせ大怪我をさせる。

しかし、最終的にはエルヴァルクに自首することを条件に、彼を救い、彼女の魔法でデーアベを一時だけでも元の姿に戻せたが、親子の愛情を確かめ合いながら別れの時を迎えるのであった。

一方、ルティーナは――。

 エレヴァルク敷地内の騒ぎが収まり始めた頃、ルティーナはデルグーイに変身しようとしているゲレンガに手をこまねいていた。


(まだ変身してないよね? 今のうちに倒しちゃえばいいじゃん)


(無理無理っ、両手はシャルを抱えてるからふさがってるし、シャルの腕じゃ魔法は当てられない……牽制しかできない)


ルティーナは、ゲレンガと距離をあけて着陸しシャルレシカを降ろす事にしたのであった。

しかし馬琴(まこと)は、いつも通りシャルレシカを堅くせずにルティーナに頼み事をさせて、再び空へ舞い上がりゲレンガの元へ向かおうとした。

だが、すぐそこにはデルグーイ体になったゲレンガが待ち構えていた。


「さぁ~お嬢ちゃん、第二回戦を始めようかぁ~っ」


デルグーイになったゲレンガは、普通の魔物とは全く異質なものであった。

その姿は、手が羽になり、足の指がかぎ爪のようになり、筋肉も増強していた。それ以外は羽毛で覆いつつまれたゲレンガであった。


「そ~だよっ、これが最強の鳥人(まだ完成品じゃねぇけどな)さぁ~空を制する者には、どんな冒険者でも歯がたたねぇだろ?」


「私も飛べるのよ! 勝った気にならないでよね」


「(確かに、こいつ良く見ると羽がはえてやがる? やはり、あの方の仲間か?)」


ゲレンガは容赦なくルティーナに対して高速で突進してくるが、彼女は手で触れることすら出来ずに交わされてしまうのだ。

何度も何度も旋回しては、防具のないルティーナに対して足爪で襲う。


(漢字の事が警戒されている……それに速い)


(マコト、ごめんね……あいつに触れられない……)


(なんだよ急に……ルナがいつも軽快に動いてくれるから助かってるんだ。俺こそ1人じゃ――)


ゲレンガの攻撃はますます速度を上げていく中、動きが鈍り始めたルティーナは、ぎりぎり攻撃をかわすものの徐々に細かい傷をおい始めたのであった。


「ほらほらぁどうしたぁ~。やっぱりお前、触れないと攻撃できないんだろ?」


(痛いよ~)


(ルナのやる気が……無理もないか……今まで、攻撃をまともに受けたことなかったからな)

(もうちょっとだけ頑張れ! ルナ)


ルティーナは突進してくるゲレンガに対して、手を広げ【(かがやき)】を描き『起動(きどう)』したのであった。

発光で目をつぶされる前にゲレンガは突進をやめ急上昇したのであった。


「あははっ、そんな事もできるのかぁ? てめぇが手を広げたら警戒するに決まってるだろうがぁぁ~」

「浮かび上がる模様で、いろんな魔法が使える? ……そんな魔法が使えるってことは……ただの娘ではないな。貴様も勇者か? なら我々の仲間だろ? なぜ、逆らう?」


(どういうことだ? あの方って? この『能力(ちから)』は勇者のものなのか?)


「あの方って、勇者のことかしら?」


「!」

「(そうだ、こいつが勇者な訳はない……ドグルスが8年前に妨害したはず……)逆らう以上は始末しないといけねぇな~っ」

「(……どうせ俺は、元通りに戻れる保障はねぇ――せめて、あの方の障害は排除せねば……後10分変身していられるかどうか)」


再び、ゲレンガは高速飛行でルティーナを襲い始める。

ルティーナは懐から手裏剣を取り出し、攻撃を交わしながら、少し大きめに【(あらし)】を描き、ゲレンガに向けて投げ、周りの気流を乱して飛行の邪魔し警戒させ距離を広げた。


すると地上から『フレイム・ボム』が打ち上げられた。


(シャルの準備が整ったな!)

(ルナっありがとう、がんばって攻撃をかわしてくれたおかげだよ)


(反撃開始ねっ!)


馬琴(まこと)は、シャルレシカを降ろした場所に【(みず)】を描き、彼女に池になるぐらい溜まるのを待たせていたのだ。


「すっ『スプラッシュ・バイパー』~っ」

「すっ『スプラッシュ・バイパー』~っ」

「すっ『スプラッシュ・バイパー』~っ」


溜めた水が巻き上げられ、3匹の水蛇がゲレンガに向かって飛んで行ったが、軽々とかわされるのであった。

しかし、ルティーナは水蛇の陰に隠れ手裏剣に【(こおる)】を2m程の大きさで描き、水蛇に投げ込み『起動(きどう)』した。

水蛇は一部が凍りついたまま、シャルに操られてゲレンガを襲う。

ルティーナは、水蛇の動きに一緒に着いていき、氷越しに見える旋回中のゲレンガの位置を見定め【(くだく)】と【(うつ)】を2重描きしては『起動(きどう)』を繰り返して、無数の砕けた鋭利な氷でゲレンガを攻撃した。


「なっ! なんだとっ!」

「魔法の水蛇を凍らせて攻撃だと? かといって、下の女にもうかつに近づけねぇ」


(『スプラッシュ・バイパー』は水を使った魔法だから空に舞いあげてもらえば、凍らせて個体にすることで漢字が描けるっ)


(うんっ! 私はがんばって水蛇の動きについていくから、よろしくねっ)


「すっ『スプラッシュ・バイパー』~っ」

「すっ『スプラッシュ・バイパー』~っ」


 シャルレシカはルティーナとの打合せのとおり、次々と『スプラッシュ・バイパー』を上空に放たせ、ルティーナは間接的に凍らせては氷の破片で攻撃をするのであった。


そのうちに魔力の効果を失った水は豪雨のようにゲレンガに降り注ぐ。しかし普通であれば水を弾くはずの羽毛が黒ずみ始め体がの自由が奪われていく。

ルティーナの狙いは、ゲレンガに水蛇による攻撃と砕けた氷で攻撃し意識させることにで、凍らせた部分に【(どく)】を目いっぱい描いては『起動(きどう)』を繰り返していることを悟らせなかったのだ。

そして、【(こおる)】を解除することで毒化した雨が降り注いでいたのであった。


長時間、毒雨を浴びゲレンガの羽が麻痺し飛べなくなり、そのまま落下して地面に激しく叩きつけられたのであった。


「くそっ……水を……毒に……油断した……ぜ……ちくし……ぶはっ」


そして、ゲレンガは毒雨により腐りながら絶命するのであった。


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