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52話 疑ウ生態

 ロザリナは魔力が不安定になりながらも、自分のせいで大怪我をしてしまったアンハルトとヘレンを再生魔法で救うことができた。

そして無事に担当地区の魔物を討伐することができたルティーナ達は『碧き閃光』の拠点に戻るのであった。

 任務を終え、『碧き閃光』の拠点に到着する頃、気を失っていたアンハルトが目を覚ます。


「うぅ、そうか終わったんだな。肝心な時に気を失っていてすまなかった」

「ヘレンも無事なようだな。しかも俺の腕は正直あきらめていたんだがな……ありがとうロザリナ」

「『零の運命』、改めて礼を言わせてもらうよ」


「謝るのは私のほうです。一度はあきらめてしまったのですから……」


「あ、あのぉ……」


「んっヘレン? もじもじしちゃって」


「私も脚を治してくれてありがとう。これでまたお姉さんを探すことが出来ます」

「でも、あの光魔法をどこかで……私と以前お会いしたことはありませんか? 」


「そんな礼なんていいわよっ」

「人違いじゃないかな? ルナ達に会うまでブクレインを出たこともなければ、そもそもあの魔法は初めて使ったんだよ」


「そ、そうでしたね……(でも……)」

「今度、また組むことがあったら、今度はロザリナを私が守りますっ」


「よろしくね」



 一方、ルティーナはアンハルトに『ヘルグレンの森』にいた魔物について、話し合いを始めた。

シャルレシカの索敵による行動面を考察していた馬琴(まこと)の意見をルティーナに語らせ、アンハルトとグルバスからは魔物の攻撃に関する面について意見を交換した。


そこへヘレンが割り込んで来た。


「あのぉ、魔物操作の件なんですが……」


「そういえば操れないって言ってたな?」


ヘレンは魔物の中に少し大きめではあったがデフルウが混じっており、自分でも操ったことがある魔物であったにも関わらず魔力が通じなかったという。


(魔物なら大きな魔物ほど操りにくく、数にも制限ができるんだったね)


「操れないって人間なら条件付きでないと無理なんだろうけど……ってことは知的なデフルウだから魔力が巨大すぎて操れなかったってことじゃねぇか?」


「魔物たちの行動なんですが、やっぱり不可解なんです」

「戦力の分散の仕方が様子見で、一番手薄とみたアンハルトさんの所に大戦力をあてがうなんて、魔物たちが頭がいいというより……指揮を取っていた魔物がいる雰囲気が強かったです」


「指揮を執っていたルナリカがそう分析するならそうなのかもな」

「やはり、魔物が頭が良くなったというより操られている線の方が強いか……」

「だがどうやって?」


「今回の話とは違いますが、以前、私は『カオス・ストーン』を埋め込まれたデフルウに遭遇したことがあります」


「『カオス・ストーン』?」


「その状態にされた魔物が倒されると、付近にいる同種の魔物に、倒された魔物の返り血を浴びた対象を襲わせるというものでした」


「なんじゃそりゃ? 聞いたこともねぇぞっ!」

「ルナリカ、何が言いたい?」


 ルティーナは仮説で、これは黒魔術で操られた魔物ではなく、誰もまだ知らない未知の道具によって魔物を操れるものが存在するのではないかと語り始める。

アンハルトは半分否定しながらも、思い返してみればデーアベたちの目線は3匹ともヘレンしか見ていなかったことから統一した指示が出されていたと事実は否めなかった。


「まだ、なんとも言えませんが、あの森の魔物だけならいいんですが……。今後、他の魔物案件は十分注意が必要そうですね」


「それじゃ俺は明日、他の冒険者たちの区画の状況の話も聞いてみるよ」


「お願いします。私たちは明日から数日ブクレインにアバダルト商会の護衛任務に行きますので、また帰ってきてから情報交換しましょう」


そして、アンハルトから報酬をもらい無事に生還できたことを祝い、打ち上げと言う名の豪遊が翌朝まで続いたのであった。




 その翌日――。


「よぉ、ルナリカじゃないか? どうした出発までまだ1時間はあるぞ! 気合入ってるじゃないか……」

「お前だけか? 他の三人はいないが、もしかして……?」


「えぇ~、れ、例の件で、私だけ先に来ました」


「あれな……で、どんな段取りになるんだ?」


ルティーナの作戦では、ガイゼルからエルヴァルクの館には護衛団と言われる凄腕の男達がいると聞かされていたたので、手裏剣の実演を口実に館の護衛団を全員を外へ連れ出すように話を持っていき、その隙に3人に潜入させ館を調査させる計画であった。


「そんなので大丈夫か? 調査って1時間ぐらいじゃ何もできねだろ?」


「そこは考えがあるので大丈夫です」


「そうかい。今回はお膳立てまでは協力してやるから、護衛料をちったぁ割引してくれよっ」


「ありがとうございますっ」

「でも……割引は次回からですよっ! 今回はすでに交渉した額で成立してるんでっ」

「商売ですからっ」


「あはは、こりゃ参ったな。そうだな約束は大切だ、ルナリカ~お前は立派な商売人だよ」

「さぁ、そろそろ時間だが、他の連中はまだなのか?」


(さすがにミヤが二日酔いが酷くて、シャルが食べ過ぎて消化不良でうなされて、ロザリナが看病してるっなんて言えねぇ~)


「あ、もうすぐ来ますよ……たぶん」


「なんだよ、そのたぶんって」


「お~いっルナ~いるかぁ~」


(ま、間に合ったぁ~)


「リーナっ~ガイゼルさんに紹介するからこっちに来てぇ~」


ルティーナはカイゼルに面接ということでロザリナの紹介をしたが、まだ回復魔法が自由に使えない話をごまかしつつ格闘術で護衛することをゴリ押ししたのであった。

ガイゼルも前回のように見た目にこだわらずルティーナを信じ同行を許可した。

そして、ノスガルドを出発しシャルレシカは国境を超えたあたりで、索敵魔法を展開し始めた。


「この辺はどうかわからないけど、魔物が増え始めたっていうのは気になる」

「人為的でないことを祈りたいが――」


「ルナぁ~魔物が迫ってきていますぅ~。正面1.5km先からぁ5匹ぃ~、その右側1.8km先からぁ9匹かなぁ~」


(結構、いるな……)


「さぁ、みんな! やるわよっ!」

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