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51話 迫ル決断

 ルティーナ達は『ヘルグレンの森』でアンハルト達と魔物討伐をしていた。

魔物は想像通り、知的であるかのように攻めて来る。

序盤は優勢に進めていたが、巨大なデーアベに囲まれてしまったアンハルトとヘレンとロザリナ。

ロザリナが魔力が不安定になり、防御魔法が破綻したことで他の2人が重傷を負ってしまう。

追い詰められた彼女は――。


 ロザリナ達のピンチに駆けつけたルティーナの加勢により、デーベア達の足元を凍りつかせ自由を奪っていた。

そのおかげで、三人は一時的に危機を回避することができた。


そのころ1人残されたシャルレシカの周りには、魔物が群がり始めていた。

ロザリナ達の対処を考えている時に、護身用にシャルレシカの足元に複数個、25cm程の【(こおる)】を描いておいたのであった。

ルティーナは見てすぐさま『起動(きどう)』し、シャルレシカのまわりに集まった魔物の達の足元を凍らせ動きを封じるのであった。

さすがに彼女を堅くしているとは言え、絶対安全というわけでないことはルティーナが一番わかっていた。


「ありがとぉ~ルナぁ~怖かったぁですぅ~」


「シャルっ、グルバスさんたち来るまで、もうちょっと頑張るのよぉ~」


「――ル、ルナっどうしよう、私、魔法が使えなくなっちゃったよ……」


馬琴(まこと)は動揺しているロザリナが魔力制御が出来ていないことに気づいた。

まだ1分しか経ってはいないが、シェシカが最短で来たとしても5分以上はかかり再生魔法が間に合わないと悟る。

とにかくロザリナにかけるしかなかった。


「もう貴方しかいないのよっ! 再生魔法を詠唱してっ! お願いっ! このままだと2人が――」


(駄目だ! リーナを追い詰めるのは逆効果だ!)


「やめて! 私には無理よっ! 私のせいで――」


「馬鹿っ! 貴方なら助けられるのよ! リーナしか居ないのよ!」


「そもそも使ったことがないし、体も熱くない……再生魔法なんて……」


(まずいなリーナが自信をどんどん失っちまってる)


(ごめんなさい、どうしよう……マコト……)


(シェシカさんの今の魔力量も1回使えるかどうか……どちらか1人は……)


「ロ、ロザリナっ……おれの怪我は完治しなくていいっ! ヘレンを……ヘレンを完治してやってくれ! 頼むっ」


「アン……ハルト、私のことは――」


「ば、馬鹿野郎っ! お姉さんを探すんだろっ! そんな足でどうやって探すんだっ!」


「(2人を救えるのは、私だけ……どうすれば……どうすればっ)」


「でも、アンハルトさんが戦えなくなったら……」


「(私の力はこのために……体が熱い――) わ、私が助けるんだぁぁぁぁ~~っ!」


ロザリナが叫んだ途端、急に体が神々しく輝き始め『シャイン・レストレーション』を詠唱し始める。

そして怪我をしている2人を優しく包み込み、しばらくすると出血は完全に止まりヘレンの左足とアンハルトの右肩が再生し始めたのである。


「(ロザリナ? この暖かい光……なんだろう心地がいい……以前にも……どこかで?)」


(よしっ! 魔力が解放されたっ)


(一度に2人も再生しているの? 魔力は足りるの?)


(とにかく任せよう)


「よかったリーナはそのまま集中してっ! デーベアは私に任せてっ!」


「うんっ! ごめんねルナ」


「ルナリカっ! シャルレシカの所は片づけたぞっ! さっさとそっちの熊共を殺っちまえっ~~っ」


(おっ、グルバスさん)


「わかった~っ!」


 その頃、放置していたデーアベ達は足元の氷を壊し脱出しようとしていた。


(マコト~っ燃やしちゃえばいいじゃんっ)


(森じゃなかったら俺もそうしたいんだけど、もし木々に引火したら『能力(ちから)』じゃないから消せないだよっ)

(それに、動けないアンハルトさん達にも近すぎるし)


(あっ)


地面に手をつき、再び近づかれる前に【(こおる)】を展開し接近を阻んだが、足元は封じられたデーアベであったが、ルティーナの体格では懐に飛び込み攻撃が出来ない。

(とげ)】【(ざん)】を小範囲で展開したがデーアベには致命傷にならなかった。

逆に足元の氷を破壊してしまい動けるようにさせてしまった。

だが足が負傷しているため、まともに動けなかった。そこでルティーナは短剣に【(ざん)】を描き切れ味を良くし、何度か斬りかかり駆逐をしたのであった。


デーアベをすべて倒し振り返ると、ロザリナ達3人はその場に倒れこんでいた。

魔力を使い果たし疲れ切ったロザリナ、そしてアンハルトとヘレンの傷はすべて完治していたが、出血が酷かったためか意識を失っていた。


「よくやったわねリーナ。2人同時に再生しちゃうなんて……奇跡ね」


「う、うん……助けられたんだよね? よかったぁ~」

「(……でも、このままじゃ……)」


(さすがに、シェシカさんが言ってた猶予時間を経過していたから、諦めてたけど……この力は一体)



「お~いっ! ルナリカぁ~ シャルレシカが、もう魔物は居ないってさっ」



ルティーナはシャルレシカの体の硬化を解除し、グルバスとシェシカを自分の所へ呼び寄せ3人を馬車まで運ぶように頼むのであった。

グルバスはアンハルトを背負い、ヘレンを抱っこした状態で馬車まで移動し、ロザリナは足元がおぼつかないながらもシェシカに肩を貸してもらい移動するのであった。


「本当に潜在魔力が凄いのねロザリナ。2人同時になんて……」

「私が間に合ったとしても無理だったわ……助けてくれて本当にありがとう」


「肝心なところで、魔力が消えてしまって……偶然です」


「そっか、でも自信を持っていいのよ。あんな切迫した状況で使えたんだから! 本当に人を助けたいって願ったからよ」

「魔力制御はその内に身につくから焦ることはないわよ」


「はぃ先生。ありがとうございました」



そして無事に担当地区の魔物の制圧を完了できたルティーナ達は『碧き閃光』の拠点に戻るのであった。


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