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46話 赤ノ天使

 ルティーナ達はノスガルドにロザリナを連れて戻って来た。

そして4人は、早速2手に分かれて行動に移すことにした。

ルティーナとシャルレシカはガイゼルに不正帳簿の確認へ、サーミャはロザリナの冒険者登録をさせた後『碧き閃光』に紹介しシェシカに魔法を教えてもらおうと考えていた。

無事、冒険者登録できたロザリナであったが、肝心なシェシカが未だ任務から戻ってこないのであった。


左から、グルバス/シェシカ/アンハルト/ヘレン

挿絵(By みてみん)

 サーミャとロザリナは、のんびり応接室でお茶を飲みながら『碧き閃光』が帰ってくるのを待っていた。

 

「で、レミーナ、あんた、受付してなくていいのか? 茶菓子一緒に食べてんじゃねぇよ」


「サーミャが、茶菓子を買って来いっていうからじゃない! だいぶ儲かってるんでしょ? おごってよ」

「それにさ、私、結構あなた達に興味があるのよね! それにしても遅いわね……」


しばらく、他愛のない会話をしているうちに、アンハルトが慌てて部屋に入ってきた。


「あ~すまないレミーナっ! グルバスとヘレンが怪我しちまってさ、、、シェシカも魔力切れでさ……回復薬はないか?」

「? サーミャっ、お前もいたのか?」


「いきなり言われても……在庫探してくるから待ってて……後、回復が使える冒険者も集めてくるから待ってて!」


「あんたも怪我だらけじゃねぇか! みんなはどこにいるの? そこにシェシカは居るわよね? 案内しなっ」


「いやレミーナが――」


「なんとかしてやるから! いくよっリーナっ!」



アンハルトはサーミャに尻を叩かれながら、ギルドの外で待機させている馬車に案内させた。


「シェシカっ! どこっ?」


「おいおい……なんでサーミャなんだよぉ……それに、怪我してんのはこっちだぜ……心配ぐらいしろよっ」


「後で治してやるから、そこで死んでろっ!」


「(え~)」


「ど、どうしたのサーミャ……今、魔力が空なのよ……」

「ヘレンの傷、急いで治してあげないと残っちゃうからさ……グルバスはどうでもいいんだけど……」


「(ひでぇ~……俺の扱いっ!)」


サーミャはシェシカにとにかく光魔法の詠唱をロザリナに説明するように指示した。

ロザリナは傷だらけのグルバス達を見ながら自分に出来るわけないと逃げ出そうとしていたが、心拍数が上がり体が熱くなってきた。

出来るわけないと悲観的であったが、怪我人を放っておくこともできず、シェシカの詠唱の説明を聞き入れ実行した。

シェシカはロザリナに、すぐ詠唱できる初歩の回復呪文の詠唱と展開の方法を教えたはずなのに、中級並みの効果が起こりヘレンの傷口が一瞬で塞がり傷跡もなく治癒し驚愕した。


「えっ、サーミャっ! この子、何者っ?」


「この子はロザリナ=ノザラ! 一時的だが『零の運命』の仲間さ」

「実は光魔法の素質があるんだが使い方を知らないからさぁ、シェシカ先生にご教授お願いしようかと思って来てたんだが、まさかこんなことに……」


「ありがとう、ロザリナさん……楽になりました。凄いですねぇ」


「あ、ヘレン! あんたと同い年だからタメ語で大丈夫だよっ」


「あ、あのぉ~盛り上がっているところ大変恐縮なんだけど……俺の事、忘れてないかな?」



ロザリナは同じように呪文を詠唱し、アンハルトとグルバスを傷も治すのであった。

グルバスはいつも最後まで放置されすぎて、怪我は治っても今回も傷が残るとあきらめていたが、見事に治っていることに初歩的な回復魔法だと信じられなかった。


「回復魔法……これが本当の使い方なの?」


「シェシカさぁ、体調が戻ってからでいいんだけど、いろいろ教えてやってくれよ」

「昔、あんたが魔法に目覚めた時の話してくれただろ? それと同じっぽいんだぁ」

「今は、平常心の時は魔法とか使えないんだけど、興奮したりすると無意識に魔法を使っているみたいなんだよ」


「制御がまだ不安定なのね……わかったわ、でも初歩魔法であんな威力を見せられたら、私の心が折れちゃうわよ」


「あぁ、あたいも驚いた」

「しかし珍しいな、あんた達がギリギリの状態で帰ってくるなんて……」



 アンハルトの話によると、ここ数日『バリア・ストーン』が故意的に破壊される事件が続いており、国の警備隊が増員された都合、要所の護衛が手薄になり森の魔物が増えてしまったという。

そこで、名のある冒険者たちに声がかかり、彼らには『ヘルグレンの森』に『バリア・ストーン』の効果が利きにくい魔物が出るということで調査に参加したが、自分の担当区域で想定外の魔物の不意打ちに会い撤退してきたのだ。


「不意打ちって……あんたらしくないねぇ」


「いや、魔物にしては知的というか? なんていうんだろうか……」


「それなっ、あいつら頭使うんだよっ! 俺がヘレンに『左に避けろ』って叫んだら、逃げる前から左に飛んでいきやがったんだ」


「魔物に言葉がわかるってか? 物騒な世の中になってきたな……」


「シェシカも防御魔法で皆を守るのが精一杯で、魔力を使い切っちまうありさまだよ……」


「そうなんだ……そのうち、あたいらにも声がかかるのかな?」


「あ、それはないと思うぞ……王国からの直接の依頼だからな……実績とか、金の冒険者が居ないと……」


「マジか……。ルナがよろこんで飛びつきそうな内容なのに……」





「クシュンっ! クシュンっ! ちぃっミヤだな……」


「ミヤぁの悪意をぉ感じましたぁよぉ~」


(えっ、そんなことも分かるのか? シャル怖ぇ~)


「しっかし参ったなぁ~今日は一日ガイゼルさんが不在だなんて……失敗したなぁ~」





 シェシカはロザリナに光魔法を教える以前に魔力制御を覚えさせた方がいいと、とりあえず動けるヘレンにやり方を任せるのであった。

ヘレンも同い年の魔法使いと聞いてとても嬉しそうにロザリナに教えるのであった。


「申し訳ないけど明日の朝、改めて詠唱を教えてあげるわね。ギルドの広場で待ってるから」


「ありがとうございます。シェシカさんっ! がんばってみます」

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