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42話 絡ム因縁

 ルティーナ達はドグルスの入れ墨について調べようと街を点々としていた。

そんな中、シャルレシカが昨日助けたロザリナと男達に絡まれているのに気づいてしまう。

ルティーナは昨日のトラウマがあり、避けたいと考えている中、もめごとが始まってしまった。

ロザリナは危機に陥ったが、ルティーナの手助けで窮地を脱するのであった。


 男共を退治したロザリナは、ルティーナ達のもとに駆け寄り深く頭を下げるのであった。


「あ、あのぉ昨日も今日も、助けてくれてありがとうございました」

「言い訳に聞こえるかもしれませんが、やつらに話を聞き損ねてしまったので苛立ってしまい、つい……ごめんなさい」


「いいわよ無事なら。 私も怪力女なんて言ってごめんなさいね、ロザリナっ」

「私は、ルナリカ=リターナっ! ルナでいいよ」

「この金髪美女が、サーミャ=キャステル」

「そして、この豊満な娘が、シャルレシカ=ブルムダールよ」


「何でぇ~二人ともぉ、私の紹介はぁ豊満なんですかぁ~っ」


「ぷっ……あなた達、面白いですねっ」

「でもルナちゃん……昨日のあれって魔法なの? あなたまだ12か13歳ぐらいだよね?」


「「あっ」」


ルティーナ達は、自分たちの年齢をロザリナに伝えた。

さすがにルティーナがシャルレシカより年上で、自分より1つ下ということを聞き、目を疑っていた。


「あれは魔法じゃねぇよ、ルナは無敵の無職の冒険者さっ」

「ちなみに、あたいが魔法使いな」


「無職なのに……無敵? なによそれ? 職業が無いわけないでしょ? あんな事が出来るのに」


「それがルナの『能力(ちから)』……該当する職業がないだけなんだよ」

「ところでロザリナって、あんた街で噂になってるけどさ……」


「あぁ、それね。あなた達には話してもいいかもね」



 ――ロザリナは、簡単に経緯を語り始めた。

彼女の父親はエレヴァルクという領主の元で雇われていた。

しかし1ヵ月前に、隣のワクガン王国へ仕事で移動する際に、護衛として付いていったが山賊に襲われてしまった。

幸運にも山賊は追い払うことは出来たが、翌日、山賊を手引きした疑いをかけられ警備隊に連行され、数日後、牢屋の中で自殺したため死に目にも遭わせてもらえなかったのであった。

彼女は父親が山賊の手引きをしたなんて信じられなかった。

泣きながら父親の荷物整理をしていると、護衛から帰って来た当日の内容が書いてあった日記を見つけ、目を通してしまうのであった。


「逃げた山賊の中の1人に模様の様な痣らしいものがあったのを覚えていると……」

「私は日記に書いてあった、絵を手がかりに奴を探しているの」


ルティーナ達は、ロザリナが見せた模様を見た瞬間、硬直した。


「ロザリナっ、その模様……」


「え、どうしたの? あなた達……知ってるの……まさか、仲間――」


急に目つきを変え身構えるロザリナ。


「落ち着いて~ロザリナっ、違う違うっ~」

「私達も、その模様というか『入れ墨』の事を調べてるのよ」


ルティーナは自分たちが冒険者『零の運命』を組んで、自分の父親を殺そうとした組織を探していることをロザリナに説明したのだった。

それを聞いた彼女は、深々と頭を下げるのであた。


(殴りかかる気満々だったぞ、ロザリナ……口調の割りに交戦的だなぁ)


「……私と目的は一緒なのですね……」

「サーミャさん……今、任務を請け負ってないなら、私の依頼を受けてもらえませんか?」


「あははは、そうかそうか? そう見えちゃうわなっ! あたいじゃないよ」

「ルナが(かしら)だよ! こいつ見た目とは裏腹に、とんでもなく頭がいいんだよ。難しいことも知ってるし。面白いだろ?」



それを聞いたロザリナは、再び、深々と頭をさげ謝罪した。

ルティーナはいつものことだと笑い飛ばし、自分のことはルナと呼んでくれたらそれでいいと場を和ませる。

この件に関しては、同じ目的だから依頼でなく協力関係で良いと伝えた。


「私たちはこの街をあまり知らないし、ロザリナがいてくれると心強い」

「それ以前に、あなたの格闘家としての実力を買うわよ――」


「格闘家? 私、格闘家でもなければ、冒険者じゃないわよ?」


「え? だって……」


ロザリナは特に武器も使えなく、殴り合いの方が闘いやすいと語る。

戦う気になったり怒りがこみ上げると、体が急に熱くなり、軽快に動け力が増すと答えた。


「つうか、それだけで大男をぶっとばせねぇだろ?」


「あっ、それで怪力とか悪魔とか言われてるのね?」


「まったく! 誰ですか? そんな風に人を化け物呼ばわりするのわっ!」


「あ、またリーナの魔力が上がりましたぁ~」


「ん? リーナ? 私の事? ところで、シャルレシカちゃん? 魔力が上がったってどういうこと?」


「「(って……リーナ? また、シャルのあだ名病?)」」

「そう言えば、さっきも言ってたよな?」


シャルレシカが言うには、魔力がサーミャ以上に大きくなる瞬間があると語る。

おそらく怒りで体が熱くなるのと関係があるのではないかと馬琴(まこと)は推測した。


「シャルは、うちの大占い師様さ。索敵魔法の応用で私たちの潜在能力の大きさも感知も出来るぜ」

「後、初対面とか年上とか関係なく、勝手にあだ名つけちまうから気にすんな」

「あたいも、サーミャなのにミヤって言われてるよ。かなり気にいってるけどな」


「それでリーナなのですね? ま、確かに嫌じゃないですね……」

「それより……私に潜在能力ですか? 気にした事もなんかなかったけど……」


「そういえばさリーナっ、あなた……格闘戦してたわよね? なんで拳に傷ひとつ……いや、それ以前に怪我が1つにも無いのね?」

「よく、あんな戦い方で……本当に身体能力だけなの?」



ルティーナがロザリナに疑問を投げていた様子を見ていたサーミャは、ふとシェシカが回復師になった経緯を思い出すのであった。


「リーナってさ……光系の魔法使いなんじゃないか?」


「はぃ? ……生まれてこのかた、魔法なんて使ったことなんかないですよっ」

「それに光系って、それって希少な人材じゃないですか」


「あたいの昔の仲間が、始めの頃は無意識の内に魔法を使ってたと言っていたぜ」


「む、無意識? ……確かに、怪我がないのは不自然ですね」


まったく実感がわかない顔で呆然とするロザリナであった。


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