37話 零ノ運命《デスティニー》
~弐章の振り返り~
ルティーナとシャルレシカは冒険者登録はできたものの新人に加え戦闘職には向いていない職業であった為、まともに仕事を得る事が出来ず苦労していた。
そんな中、失踪した魔法使い探しの仕事を受けることになる。
探し出した魔法使いの名前はサーミャといい、攻撃の5属性すべての魔法が使えるのであった。
失踪した理由を知る内に、自分の父親を殺害しようとした男達が身に着けていた『カース・ストーン』を使う、ドグルスにたどり着く。
3人は共闘することになり、卑劣な罠にかかりながらもドグルスの元へたどり着き倒すのであった。
そしてサーミャは無事、ノスガルドに戻り『碧き閃光』のメンバーと和解することができた。
左から シャルレシカ/ルティーナ/サーミャ
ルティーナと馬琴は無事にアンハルトからの依頼を達成した上、バルスト暗殺に関わる大物が2人居ることを知り、父親暗殺未遂の理由に一歩近づくことができた。
3人は朝まで続いた宴会が響いて1日ゆっくり休むことにしたが、サーミャは2年間失踪していたこともあり冒険者証の再発行が必要と言われ、二日酔いにも関わらずしぶしぶギルドに再登録に出かけていた。
だが、そこで待ち受けていたのは『金の魔法使い』であった権利がはく奪され、規則上、『銀の魔法使い』つまり事実上の降格からの再スタートとなり、愚痴をもらしながら宿に戻ってくるのであった。
「な、なんでだぁ~っ……なんで銀なんだぁ~……あたいは金だろ? 再登録でも金からだろ? あのじじっ人のこと酒くせぇって逃げ回りやがるし」
「あ~~っせっかく出向いてやったのによぉ~、ちくしょぉ~すまねぇっルナ……おまえの役に立てると思ってたのにぃ~」
(ただの酔っ払いじゃないか?)
(ぷっ……)
「おかえり、いきなりだね……(あぁ、あの時、役に立てるかもって言ってたのはこの事だったのね)」
「でも、ミヤを探し出した報酬で『碧き閃光』の後ろ盾が使えるようになったから大丈夫よ。ありがとね」
「はぁ? そんな報酬だったのかよ……先に言えよぉ」
「そうだ、うちらも3人でパーティーを組もうぜ! かっこいい名前を決めてくれよルナっ」
サーミャからの無茶ぶりに困惑したルティーナであったが、馬琴に相談し『零の運命』と命名することにしたのであった。
「『決められた運命を零からやりなおす』って感じの意味を込めてみたのよ……気に入らなかった?」
「へぇ、自分の運命は自分で決めるみたいな感じでかっこいいじゃんっ、あたいは好きだよ! そういうの」
「ところでさルナ、ヘレンの生き別れのお姉さんの件は、どうすんだ? あたいの時みたいにサクッとシャルが――」
先日の夜、ルティーナ達の活躍を祝って『碧き閃光』の拠点で宴会が行われていた時の話。
ヘレンから3歳の時に生き別れになった姉を探しているのでサーミャの様に探してもらえないかと相談を受けたが、シャルレシカの占いでも記憶が全く読み取れないという結果になり彼女は愕然としてしまった。
そんな彼女を元気付けるかのようにルティーナは声をかけ、自分たちも何か情報が見つかれば共有すると約束していたのであった。
「同い年らしいじゃん? 姉なのに? あ、そっか双子?」
「唯一、探せるとしたらヘレンと同じ顔した奴を見つけるしかねぇって事だよな……」
「さすがに17年前に生き別れた事を、母親から聞かされただけか……」
「なぜか、水晶に映ったお母さんはぁ、嫌な顔をしてたのがぁ気になりますぅ」
「何かありそうだけど、今日はここまでね」
「ふぁ~っ、明日からは『零の運命』の初仕事~忙しくなるわよ! 今日はもう寝ましょうっ」
――『零の運命』として任務を受けられる、現状の職業種類と冒険者階級の状況――
『碧き閃光』
金の冒険者3人 剣士、格闘家、回復師
銀の冒険者1人 魔術師
『零の運命』
銀の冒険者2人 魔術師、占い師
白の冒険者1人 職業なし
(なんか私、扱い酷くない?)
(それならいっそ、白金の無職を目指すか? それの方が凄いって言われるぞ)
(え~)
そして翌日、3人はギルドの掲示板
以前とは条件を見るたびに涙をのんでいたが、条件が一致しすぎて仕事が選びたい放題になっていた。
「なぁなぁルナっ、この護衛任務よくね? 金貨なんと1人10枚っ!」
「それにブクレインまでの護衛だから、街で新たな情報が入手出来るかもしんねぇぜ?」
「いいわね、たまには違った街で息抜きもできそうね」
「あのぉ~すみません~レミーナさ~んっ」
「この任務を請けたいんですが……」
「いきなり飛びついたわね。それ優良案件よ! それに条件は全く問題ないしね」
「でもアバダルト商会に行ったら、『碧き閃光』からの『紹介状――我らが認める実力と問題が発生した際の保障するという旨が記載されている――』を、必ず依頼主のガイゼルさんに見せることを忘れないでね」
「常連様だから粗相のないようにね」
「「「は~い」」」
――任務の内容――
[アバダルト商会→ギルド]
・ブクレイン王国の貴族エルバルクの屋敷までの商品の運搬に伴う護衛。
帰りは護衛は不要。
・街道では、盗賊に襲撃される事例が増加しているため、最大五人で、特に戦闘系の職業を希望。
・1泊2日での馬車移動、宿泊は野営。
[報酬]
・護衛一人につき金貨10枚
ほくほく顔でアバダルト商会で移動中のルティーナ達であったが、途中、サーミャが突然、遠くに居た男に声をかけた。
「お~いっこっちだこっち! ちょっと面かせよぉ~どうせ暇してんだろ?」
「さすがに、うちらだけじゃ、誓約書だけで納得させるのは難しそうだからさ……さもないと……」
そのサーミャにからまれた男は『碧き閃光』の金の格闘家グルバスであった。
「げ、サーミャじゃねぇか? 納得って……そうか依頼主のとこに行くのか?」
「つうか、さもないとって……まだ、あんときの事を根にもってやがんのか……」
「暇してんだろ? 付き合えよ」
「――ったく、お前は相変わらずだなぁ……髪を伸ばして、ちったぁ女らしくなったかと思ったのによ」
「(だがサーミャの判断は正しいかもな、この3人を初見じゃ……さすがに、サーミャ以外に金貨10枚払いたくないとか言い出しそうだしな、あのオヤジは……)」
だが同伴する前にグルバスは確認しいことがあった。
ルティーナが以前、新人虐めで有名なブロンダルをギルドでぶっ飛ばした話しが気になっていて、商会に行く前に少し手合わせしたいと願い出たが、サーミャにあれはただの身体強化とは別物だと説明し、死にたくないならやめるべきと諭されてしまうのであった。
それを聞き、これなら安心して紹介でできると、グルバスは3人を連れてアバダルト商会へ向うのであった。




