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36話 後片付ケ

 ドグルスとの戦いを終え、無事に洞窟を脱出したルティーナ達であった。

そしてヘレンから裏切った事情を聴いたところ、自分の体内に『カース・ストーン』を埋め込まれ『碧き閃光』に潜入してサーミャとシェシカの情報を流していたのであった。

ドルグスからは解放されたヘレンであったが、最大の問題が残されていた。



金の回復師:シェシカ=アーベン

挿絵(By みてみん)

 盗賊団を討伐し、夕方になってしまったが4人はノスガルドに戻って来ることが出来た。

サーミャは数年ぶりに見たノスガルドの街並みに涙していたが、その時――。


「……サ……もしかして、サーミャなのか……」

「サーミャだよな?」


「ア、アンハルト……じゃねぇか……ひ、久しぶりだね……元気だったかい?」


「ばっ馬鹿野郎ぉ~~っ! どんだけ心配したと思ってるんだ~……ば……馬鹿野郎――」


「もう、相変わらず人の事を馬鹿馬鹿言うのは変わってないな……あははっ……本当に昔のままだな」


久しぶりの再会に盛り上がっている中、ヘレンが申し訳なさそうにアンハルトに声をかけるのであった。

彼女は、『碧き閃光』が討伐案件を遂行している最中に行方不明になっていたことしにして、ドグルスの招集を受けていたのであった。

アンハルトはヘレンを責めるわけでもなく、ルティーナ達と一緒に居た事と何か関係あるのではないかと問いかけるのであった。

ルティーナはうなづくも、全ての起こったことを語りたいと、『碧き閃光』のメンバー全員に声をかけオリハーデの居る鑑定部屋に集合するようにお願いするのであった。



――そして1時間後、鑑定室に全員が集まる。

『碧き閃光』の面々は、風貌が変わったサーミャに驚くも誰も怒ってはいなく、逢えたことに喜びを感じていたのであった。

積のる話しはたくさんあったが、とりあえずはルティーナの報告を聞くことにし、サーミャの失踪の理由から今に至る経緯を語るのであった。



「――そ、そうか……ヘレン、お前……」


「みんな……ごめんなさい……私が奴らの罠にはまったせいで……」


「なぁ、アンハルト……許してやってもらえないか? この子は、あたいと同じなんだよ」

「……あたいは逃げ出してしまったけど、この子はこの子なりに自分の目的のために戦ってたのよ」


「苦しかったんだな……別に責める気はないさ。全部悪いのは、そのドグルスって奴さ」

「これからいくらでもやり直せるさ。生きててくれたんだから」


「ありがとう、アンハルト……。そして、みんなを騙していて本当にごめんなさいっ」



全員は良いムードになっていたが、ルティーナは最大の問題を切り出す。

まずはシェシカの使える『再生魔法』について確認したが、サーミャが知っていた2年以上前とは比べ物にならない位の魔法になっていた。


「私だって成長しているわよ。相当な消失とかで無い限り、残魔力量次第だけど最高3分以内なら再生や結合は可能よ」


「(……凄いな、そりゃ盗賊団も欲しがるわ……って理由だったのか?)」

「なぁシェシカ、お前を監視していた身とは言え、ヘレンを助けてやってくれねぇか?」


「任せなさい!」



ルティーナは、ヘレンの体内にある『カース・ストーン』の位置をシャルレシカに詳細に探させた上で部分をえぐり取り、シェシカに再生魔法をかけてほしいというものであった。

いきなりの展開に動揺する男性陣であったが、彼女の服を脱がすからと外に追い出した。

オリハーデは自分の部屋でなんてことをするのだと反対したが、ルティーナの甘えについつい許してしまうのであった。


シャルレシカに石の場所を探さしている間に、馬琴(まこと)はヘレンを【(ねむる)】で包み込み眠りにつかせる。

シェシカはその光景が不思議でしょうがなかったが、これがルティーナの無職の力だとサーミャに秘密にするように説得されていた。


(マコト、見たら殺すわよ)


(さっきから目線を外してるのはルナだろ? 間違わずに部位を見ないと大変な事になるぞ!)


「ちょうどここぉ~深さぁ2cmぐらいのところにぃ埋まってますぅ……ルナぁ~見てますぅ?」


「ごめんシャル、私の指をそこに当ててくれる?」


シャルレシカは言われるがまま、ルティーナの指を該当箇所にあてがうのであった。

馬琴(まこと)は、石の大きさと浸食範囲を考慮し【(えぐる)】を約6cmで描き『起動(きどう)』した。

すると、ヘレンの背中から血しぶきとともに肉片がくり抜かれると同時に、シェシカは準備指定た詠唱を唱え終える。


「『シャイン・レストレーション ――再生――』っ」


シェシカの両手から放たれる眩い光で、ヘレンの傷口を包み込んだ。

しばらくすると出血は止まり、えぐられた背中の傷が蘇生し始め、数分後には綺麗な背中に戻っていた。

そして無事に終わったことを確認した馬琴(まこと)は【(ねむる)】を解除してヘレンの目を覚まさせ、男性陣を部屋に呼び戻すのであった。



「お、おぉいっ! ルナリカや! わ、わしの部屋がぁ……ち、血ぃいぃ~――というかお前も血まみれじゃないかぁ~っ!」


「ごめんねぇ……おじいちゃん……こんな事になるなんて思わなかったのぉ……ゆ・る・し・て」


「血まみれで孫っぽく言われても……恐怖でしかないわいっ」


「しかし、こんなもんを体内に直接埋め込むなんて……なんて卑劣な事をする奴らだ」



「う、う~ん」


「ヘレンさん、気分はどうですか?」


「あ、うんっ、痛くな――きゃ~~っ、ルナリカ……血――」


「あははは……でも、もう大丈夫よ! これで本当に解放されたのよ!」



ヘレンはルティーナ達に感謝し、全てが終わったかと思われたその時、一部始終を見ていたレミーナが口を開いた。


「昔、この盗賊討伐案件は失敗してもう案件としては無いんだけど……」

「あなた達、討伐しちゃったんだよね? ギルド長に報告しておいたほうがいいかしら?」


「その件は、報告しないでいてもらえませんか?」

「どうもこの組織には、まだ上の組織が存在しているようだし、どうも大物が絡んでいるみたいなので、ここだけの話でお願いします」


「おぃ、ルナリカちゃん……それは本当なのか?」


ルティーナは簡単な説明ではあるが、この件には大物が裏に潜んでいる事は解ったが、詳細が不明の状況で、なるべく事は隠しておきたい旨と伝えた。


「とりあえず今は、みんなが無事で再会できたことを喜びましょう」


「……さすがに、血まみれの笑顔で言われてもな……」


「「「「「「「「「あはっははははっ」」」」」」」」


「ルナリカや、部屋の掃除はじぃじがするから、さっさと風呂に入って着替えて来なさいっ」


(ぷっ、じ、じぃじ、じぃじだって……)


(ルナっ言うなっ、ぶはっ……やべっ、ツボった……)



ルティーナがお風呂に行っている間に、アンハルトはサーミャに今後の事を問われていた。

しかしサーミャは『碧き閃光』に戻ってくる気はなく、返しきれない程の借りができたルティーナ達の手助けをするために一緒に冒険してやりたいことを伝えた。


「――だから、アンハルト……最後のわがままを聞いてくれないか?」


「しかたないな……わかったよ。お前がそういうなら……」

「ルナリカが着替えてきたら、みんなで、お前たちの冒険者の結成会でもやろうか?」


「わぁ~い。お腹ペコペコですぅ~」


「アンハルト! 財布覚悟しといたほうがいいぜ……」


「?」


そして、宴は翌朝まで続くのであった。



(第弐章 「仕事探シ」編 完)


次回から、第参章 「戦ウ聖女」編 に入ります。

ルティーナ、シャルレシカ、サーミャは3人でパーティーを組むことになり、新たな仕事を得て他の国への冒険が始まる。そこで出会った謎の少女は――。


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