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32話 魔法封ジ ~其ノ参~

 洞窟で水責めに遭うサーミャとシャルレシカ。

そこでは魔法が使えない場所であったため昔の葛藤と戦うサーミャは、2人の存在が支えとなり脱出する方法を見出す。

なんとか脱出したが洞窟の入口の反対側の外に出てしまった。

しかし、その洞窟からは盗賊団の巣への最短距離であり、サーミャは自分の魔法がどこまで使えるのか調べつつ潜入していた。

 サーミャが洞窟に潜入して10分もしないうちに、シャルレシカの待つ湖のほとりに戻ってくるのであった。

シャルレシカに再度、中の敵の様子を索敵で確認し変化がないことに笑みがこぼれた。


「魔法が届かなくても攻撃できることを、あいつらに知らしめてやるわっ」


早速、サーミャは湖に向かって長めの呪文の詠唱を始める。

そして数秒後、湖の水面が大きく揺れ始め水柱が3本10m程の高さで蛇の様な姿で舞い上がる。


「度肝を抜かせてやるわぁ~っ! 『スプラッシュ・バイパー ――水を纏う大蛇――』っ!」


その蛇のような水流は怒号と共に、洞窟の入口にむかって一直線に飛んで行った。



「これならどうっ? たとえ魔法が消えても、押し寄せる水の勢いは消えないわよっ!」

「あたいらが味わた水責めの仕返だぜ!」


サーミャの予想通り放った『スプラッシュ・バイパー』は、洞窟の途中で魔力が消失したが、操っていた水の勢いは止まらなかった。

水は洞窟の先に津波の様に突き進み、土石流が盗賊達のいる部屋の扉を突き破り流れこんだ。


「ぶはっ! 何だっ! 何が起こったぁ!」


慌てふためく盗賊たち。そんな中、一人冷静さをふるまう男がいた。


「ちっ、魔女め」

「この程度の事で、うろたえてんじゃねぇっ! てめぇら殺すぞっ! お前らはドグルス様の指示通りやってりゃいいんだよっ!」


ドグルスは、反対側の入口付近にいる仲間にその場の『マジックシール・ストーン ――魔法封印効果のある石――』を破壊させ、無事な者を避難を始めた。

そして、全員に魔法耐性があるという鎧を装着させ、土砂流に巻き込まれた仲間は見捨てるのであった。

続けて、土魔法が使える仲間に『ロック・ウォール ――土の壁――』を2重、3重仕掛け、土石流の盾を作るのであった。


ドグルスの予想は的中していた。サーミャは追撃の詠唱をしていたのであった。



「ミヤぁ、悪意が急に増えましたぁ~20ぐらいぃ反対側に集まってますぅ……ん、3つほど弱くなてるぅ?」


「――やっぱりね、魔法を阻害する何かを取り払ったのね」

「そうなったら、2撃目行くよっ! 『スプラッシュ・バイパー』~っ!」


そして、2撃目を放ったあと予想どおり入口から水が逆流してきた。

攻撃の好機と判断したサーミャは、シャルレシカにルティーナも現地に近づいているということを確認した上で、留守番するように指示した。

彼女は入口付近の洞窟内の水を使って『スプラッシュ・バイパー』の詠唱を始め、逆に湖に向かって放つことで、洞窟の水を除去するのであった。

その後、洞窟に再度潜入を試みる。念のため『ライトニング・ニードル』で魔法の発動を常に確認していた。

雷の針が同じ場所で消失したことを確認し、その奥を確認すると『ロック・ウォール』でつくった壁があることに気づく。


「なるほど、あそこまで行けば魔法が使えるってことね」



サーミャが様子を見ている最中、突然に壁がくずれ中から複数の矢が放たれたが、『ストーム・サイクロン』で薙ぎ払うのであった。

そして、薄気味悪い笑い声をしながらドグルスが姿を現し、サーミャの心情は搔きむしられるのであった。


「ぐぐ……てめぇ~~~っ! てめぇ……てめぇだけは~っ地獄に送ってやるから覚悟しなっ!」


「ほぉ~どうやって首輪をはずした? どうでもいいかぁ~。首輪は実験だったからな」


「(どういうこと?)」


「あぁ~気にするな。お前も、あの闇魔術師みたいに利用してやるよ~」


「(闇魔術師? ヘレンの事?)」


「野郎ども、あの女を生け捕りにしろっ!」


 ドグルスの号令で剣をもった盗賊が迫り狂う中、サーミャは『フレイム・ボム』を放ち威嚇しせめぎ合いとなった。

サーミャは、ルティーナが来れば逆転できるという気持ちで対峙を続けた。


「では、これならどう対応するんだ? 野郎ども、弓を構えろっ」


ドグルスはいつの間にか入口から離れた場所に移動し、そこにあった箱を手に取りサーミャの近くに投げ込んだ。

その直後、急に魔法が使えなくなり慌てるサーミャ――。


「あの箱の中に封印するなんか入ってるの? あの箱を壊すか? あれを遠くに放りなげれば……だけど、ここから拾いにいくには余裕が――」


サーミャが躊躇している中、複数の矢がサーミャを襲う。防御する術がなく、矢の1本が左太ももに刺さってしまい転倒した。

動けなくなったサーミャに容赦なく盗賊たちが襲い掛かる中、シャルレシカが後ろから駆け寄ってきた。


「な、なんで来たのよっ馬鹿っ」


「だってぇ~ルナがぁ、迷子にぃ~」

「ルナぁ~~~~っっっっここだよぉぉぉ~~っ!」


突然、洞窟内で大反響するぐらいの予想外の大声で、シャルレシカが絶叫した。

すると真横の壁が解けはじめ、そこからルティーナが現れた。


「助かったわ! シャルっ」


(掘り進んで行く内に、マジで、どこに居るか分からなくなってたわ……)


「はぁ?、てめぇ どうやって岩壁からっ……まさかっ」


「私? 私は通りすがりの無職っ! ルナリカよっ!」

「あんたが、例のクソ野郎ねっ! うちのミヤが相当お世話になったようで……覚悟なさいっ!」


「無職だとぉ? てめぇが、ミヤを探したって言うガキかぁ~っ!」


ドルグルは矢を無防備なサーミャ達に放つが、ルティーナは2人をかばうように仁王立ちし、地面に手をついて【(かま)】で三人を包み込んで弓を弾きかえした。

盗賊たちは、目の前で何が起こっているか理解できなかったが、【(かま)】で出来た岩に群がり、剣で砕こうとするのであった。


「なんだっ今のは? 魔法は使かえねぇのにっ! どうなってやがるっ!」


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