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31話 魔法封ジ ~其ノ弐~

 ルティーナはヘレンの強襲を負かした。だが、彼女には訳があると馬琴(まこと)は悟り、治療しその場を去るのであった。

そして、アジトの奥へと1人突き進むのであった。

一方、罠の穴に転落してしまったサーミャ達は無事であった。とりあえず道なりに脱出を試みるが大きな扉の部屋へたどり着く。

しかしそこでも罠にかかり水責めをされてしまうのであった。


 サーミャとシャルレシカは天井の四隅から噴き出す水に動揺していた。

1分もしないうちに早くも膝下まで水が溜まってまった。普通なら水の発生源を魔法で攻撃すると考えればいいが、この部屋では魔法が使えなかった。

その状況は、サーミャの忌まわしいヴァイスを失った過去の記憶を呼び覚ましてしまった。

シャルレシカは自分の見つけた隠し扉の前でここで間違いなと、開ける手助けをサーミャに求めようとしたが、彼女は体が萎縮し意識が飛んでしまっていたのであった。


――それから5分後、水位は2m程に達していたがサーミャとシャルレシカは、もともと軽装であることが功を奏してかろうじて水面に浮き耐えていた。

しかし気を失っているため何度か沈んでしまうサーミャを、シャルレシカが彼女の顔を水面に出すことに必死であがいていた。


「しっかりしてぇくだ……ブハッ……さぁ~い……ミヤぁ~……ブハッ……お願いぃ……………」

「も……もう~……私ぃ……体力がぁ……ご、ごめ……んな……ミヤ――」


天井まで水で満たされるまで後15分ぐらいであろう状態で、シャルレシカも力尽き2人とも水面下に沈み始めた。

そんな刹那の中、サーミャは意識の中に閉じこもって自問自答を繰り返していた。


 魔法が使えない……怖いっ……怖いっ……か、体が動かない……シャルをシャルだけは助けなきゃ……体動いてよっ……

 シャルは、生きる力を失った私にミヤって新しい名前をくれた……

 ルナは、私の首輪を取ってくれた大事な『能力(ちから)』の弱点を教えてくれるほど、あたいを信用してくれた……

 2人は私に笑顔を取り戻してくれた恩人……このまま私はシャルもを見殺しにしてしまうの? どうしたらいいの? たすけて、ルナ……



 ――効果は円を描くように広がるから角には届かないんだよね――



 ! それだ……ルナっ、ありがとう!


水中で目を覚まし、シャルレシカを抱え水面に顔を出すことが出来た。

シャルレシカも意識を失う寸前で息を吹き返しサーミャに抱きつくのであった。

サーミャはルティーナの言葉をヒントにこの部屋で魔法が使えない原因と範囲を考察していた。

部屋に入る前は魔法が使えたが、部屋の中で使えなくなった。魔法を使えなくする何かがあるとしたら部屋の中心から半円球の様に広がっていると推測した。

発信源が天井なら下の隅で魔法が使えると判断し、床下に魔法を封印する何かがあると考えた方が自然であった。


「それなら入ったばかりの位置でも魔法も使えないし、水責めが始まったら床は水の底になるから対応できない……設置するなら好都合ってことね」

「……ごめんなシャル! あたいに賭けに乗ってくれるかい?」


「はぁ~い、ミヤは大事なぁ友達ですからぁ! 信じてますぅ~」



残り5分になり、サーミャはシャルレシカを連れて壁に付くように移動し『ロック・バスター ――石や土を集め螺旋状に回転する岩を放つ――』呪文の詠唱を始める。

そして詠唱中に手の周りに石や土が集まってきたことで、魔法が使えるのを確信した。


サーミャは魔法を放ち、壁に沿って目の前の墨の噴水口周辺を破壊することに成功したのであった。

狙った通り、天井の隅は魔法を封じる効果の影響はなかったのだ。


「さぁ、ガンガン行くぜっ! もう一発っ!」

「(こんな方法しか思いつかないけど、やるしかないっ! あの先に広い水路があると信じるしかないっ)」


さらに同じ壊れた水路に、何度も何度も同じ魔法を撃ち込み続け、どんどん穴を大きくした。

2人は、残り1分になったところで壊した水路に移動し侵入するこができた。

そして、かろうじて脱出したサーミャとシャルレシカであったが、水の流れる狭い通路を這いながら進むことにした。


「シャル、このまま進めば何とかなる?」


「はぁ~い。この先はぁ湖のほとりがあるみたいですぅ」


「み、湖? そこから、水を引き込んでたっていたってことね……」


このままだと地上に出ることになるが、逆走はできないためやむを得ず出口を目指すのであった。


「ところでさ、ルナの方はどうなってるの?」


「ルナはぁ、最深部の方には向かって進んでますよぉ~」

「あっ、1つの悪意のぉ反応が消えてるぅ~魔物の反応もぉほとんど消えてますぅ……」


「さすが、ルナっ! 派手にやらかしてんなぁ~。あたいも負けちゃいられねぇなっ!」

「ん? シャルどうした? さっさと外に出――とっても胸が邪魔そうだな…… (シャルを先に行かしたのは失敗だった……)」


「胸がぁ痛~いぃですぅ――む、無理ですぅ~」


「(もいでやろうか? こいつ……)」



その後2人は、なんとか地上に出ることが出来たが、シャルレシカが洞窟の入口の方角を示すが、全くの反対方向の様で戻れそうにもなかった。

しかしシャルレシカが、別の入口があることに気が付いた。


「ねぇ~ねぇ~ミヤぁ~、あそこにぃ~入り口があるよぉ~」


「えっ! あれか? 木々で隠れて分かりにくいけど……別の入口? それとも脱出用に作られた出口なのか?」


「でもぉ、この先にぃ~1つの大きなぁ悪意があるからぁ~、きっとぉ目的の場所ですよぉ~」


「だが奴は魔法封印の罠を確実に張ってるはず! 自分の場所だけ目立つようにして誘ってやがるんだ」

「シャルが索敵している時に他の気配が見え隠れしてたのはあの魔法封印する何かに索敵魔法が阻害されていたのなら合致がいく……何人か潜んでいるのは間違いねぇ」


サーミャはシャルレシカに留守番をさせ、様子を見るために単身その入口へ侵入していった。

彼女はこまめに『ライトニング・ニードル』を放ちながら、魔法が消失する場所を見極めていた。

しばらくすると、雷の矢が突然消失する場所が発生したのであった。


「この先から魔法は使えない……」

「シャルの言ってた位置からすると、あと100m先に奴はいる……」


サーミャは、一旦入口まで戻りシャルレシカと合流すのであった。


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