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29話 魔物使イ

 シャルレシカはとらえた野党のリーダーらしき男からおおよその情報を入手した。

サーミャの因縁の男は、盗賊団首領のトルグスという男であり、さらには『碧き閃光』アンハルトの仲間であるヘレンもグルであることが判明した。

3人はそのアジトがある洞窟に潜入したが、ルティーナが不用意に罠にかかってしまい二手に分断されてしまった。

 2人を心配するルティーナは急いて瓦礫に手をあて、馬琴(まこと)は【(とける)】を大きく描いて瓦礫を除去するのであった。

しかし、道の向こうには穴が開いており2人の姿は無かった。

そして追い打ちの岩が降り落ち、その穴を再び塞いでしまうのであった。


(2人はさっきの穴に堕ちた……と考える方が懸命か)


(どうするのよ? 助けに行かなきゃっ! その岩を溶かしてよっ)


ルティーナはサーミャ達を助けに行こうと打診したが、2重災害に繋がると懸念をもった馬琴(まこと)に静止させられるのであった。

ここはサーミャを信じて2人共無事なことを祈りつつ、自分達はこのまま進むことが懸命だと説得した。

ルティーナも渋々、シャルレシカが無事であれば向こうから合流してくれると馬琴(まこと)に従うのであった。



この先、また罠を踏む可能性がある事と1人での行動となる為、徒歩のでははなく飛翔して洞窟の先を移動することにした。

しばらく飛翔し先に進もうとすると、目の前に何か飛翔するものが迫ってくる事に気づいた。


(何か飛んでくる?)


(ルナっ、左手で薙ぎ払えっ!)


馬琴(まこと)はとっさに、左手に【(おもい)】を描きルティーナは飛翔する物を叩いた。

すると奇妙な声をあげながら、その物体は落下していった。

続いて、ルティーナに天井に手をあてさせ、【(あかり)】を描き、洞窟の道自体を明るく照らした。

通路には、デトッバ――吸血こうもりの魔物――が地面で悶えていた。


「ふ~ん職業無しって言ってたのに……嘘だったのね」

「それに飛翔する魔法? さらにはデトッバの自由を奪うなんて……」


通路の先から、一人の女性と複数の魔物の目の光が闇の中から現れた。

その女性はヘレンであった。しかしルティーナは特に動揺することもなく、あっさり受け入れた。


「説明してくれる? あなたは敵としてここに居るの?」


「驚かないのね? 何も語れないわ、私はあなた達を排除する……それだけよ」


(語れない?)


(どうしたのマコト?)


(いや、別に……)


(え、やっぱり、こういう子が好み――)


「何よっ! 質問しときながら無視しないでよっ! 『ダーク・マニピュレート ――洗脳――』っ行きなさいっしもべ達っ」


号令とともに、ヘレンの闇魔法で操られた大量のデトッバ、デクースネ――毒へびの魔物――、デスウマ――ねずみの魔物――が、ルティーナに襲い掛かる。


(きゃぁ~、何々あれっ、って気色悪っ)


(闇魔法で操れるのは、小さい魔物ほど大量に操れるか……絵的にきっついなぁ~)

(だがルナ、俺知識どおりならあの魔物は吸血、毒、菌……いずれにしても噛まれたらお陀仏だぞ)


(えぇ、そうなの? あなたの居た世界では、あいつらってそんなに危険なの?)


馬琴(まこと)はルティーナに天井に手をあてさせ【(くずれる)】を描き、天井の岩を崩落させ道を塞きつつ後退した。

魔物の数を考えると【(ばく)】描く選択肢もあったが、洞窟という場所が懸念となった。

(くずれる)】も出来れば多用したくないが小規模でしのぐしか方法がないと困っていた。


(ねぇ、操ってるヘレンを倒せばいいんじゃないの?)


(ルナ……冴えてるなぁ、それっいただきだっ!)

(司令塔を失えば、統率できないはず……)


「道を塞いだからって安心してない? 私は暗順応がずば抜けてるのよ灯りが無くてもよく見えるわ」

「それに魔法使いって忘れてない? 『フレイム・ボム ――火炎弾――』」


ヘレンは、火炎の玉で塞がれた瓦礫を排除し道を開き、再びルティーナの前に立ちふさがるのであった。

天井はまずいと【(くずれる)】を壁に描きながら、羽ばたき後退を続けるしかなかったルティーナ。

それを追うように火系魔法で瓦礫を除去し、魔物を引き連れて迫るヘレン。


(くそぉ~これじゃキリがないし、どんどんさっきの落とし穴の所に戻っていっちゃうよ~)


(飛んでいる限り、敵はデトッバのみ……)


「ねぇルナリカ~ぁ、私そろそろ、追いかけっこも飽きてきたわ」


瓦礫を破壊する前にヘレンの声が聞こえた。

『フレイム・ボム』を撃ってこないことに馬琴(まこと)は警戒していたが、想定外にルティーナの両側面の岩壁の割れ目からデクーネスとデスウマが数匹飛び出し牙を向いた。


(え、なんでこんなとこからっ?)


(ルナっ! 両手を開いてっ! 目を閉じろっ!)


馬琴(まこと)は両手の平に【(かがやき)】を描き、魔物たちの目をくらませ目標を見失い地面に落ちていった。

岩壁の隙間に小さな生き物が通れる程度の小通路があり、先回りされていたのであった。


(こうなったら【(すける)】で消えて忍び寄ればいいじゃん?)


(無理無理っ! 飛んでるのが音でバレるし、この通り道に火炎魔法を一直線で放たれたら終わりだよ)


ヘレンは不意打ちが失敗したと判断したとたん『フレイム・ボム』で再び瓦礫を除去し始める。


(だがヘレンもさすがにここが洞窟って懸念があるのか? さっきから自分の通れるほどの瓦礫しか排除しない火力だ……)


馬琴(まこと)はルティーナに手を天井につかせて【(こな)】を描き粉を噴き出させた。

続いて、数歩後退し再び天井に手をついて【(くずれる)】を大き目に描き、完全に道を塞ぐのであった。


「なによ、これっ! げほっげほっ」

「目くらまし? それとも嫌がらせなの? 道を塞ぐだけでじゃ飽きたの? 万策尽きたみたいね……」

「『フレイム・ボ――』」


その瞬間、大爆発が起こりヘレンは血まみれで倒れこむのであった。


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