表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/99

27話 盗賊潰シ

 ルティーナは、闇魔法で操られた小鳥に追跡されてしまいサーミャの居場所を何者かに知られてしまった。

馬琴(まこと)はヘレンへの疑いが晴れず、シャルレシカの体力が回復次第、翌朝に移動することを決めたが、先手を打たれてしまった。

だが、ルティーナ達は返り討ちにするのであった。


 ルティーナ達は捕まえた男達を縄で締め上げ、まず首輪がついていないことを確認した。

彼女たちは宿の夕食をとらなかったため睡眠薬の犠牲にはならなかった。

シャルレシカが必死に夕食は食べないように仕向けていたからであった。


「あの食いしん坊のシャルが、食べちゃダメっていうからさ、おかしいとは思ってたのよね……」

「この宿の人達、全員熟睡してるんだぁ~……それはそれで好都合」


「でもさ、あんた達のおかげで、あたい達はご飯抜きで、腹が減って寝られなかっから、機嫌が悪いんだ」

「シャル、あたいの時みたいに、こいつらの記憶を覗いちゃいなよっ」


しかし、シャルレシカは十分な食事と睡眠を取っていないため、ルティーナは拷問に使えそうな漢字を次々に手に浮かばせては男達に描いたのであった。

宿の客は全員熟睡していたため、彼らの悲鳴は虚しく宿内に響くだけでだれも気にするものはいかった。そして憂さ晴らし的な拷問は、数時間続くのであった。



「ルナ……あんたって、怖い子ね……でも、久しぶりに大笑いしたわっ。拷問屋でも始めたら?」


「いや~ミヤさんったら。これぐらい、まだ序の口ですわよ」


「「おほほほほ」」


「楽しそうですねぇ~おふたりぃさん~、私はぁお腹ペコペコですけどぉ眠いんでぇ~あとはお任せしますぅ……むにゅむにゅ」


「「寝るなよっ!」」



ルティーナは、寝堕ちしたシャルレシカを横目に、男達の体に【(ねむる)】を描き爆睡させたのを確認して、彼らの隠れ家とされる場所へサーミャと向かうのであった。


――それから日が昇ろうとして頃、合流場所の洞窟前までたどり着いた。


「あいつら、何をしてやがるっ! もう朝だぞっ!」


「しかたねぇ、俺達が出――」


 ドゴォォォ~ンッッッ!!!!

 

「ななな、なんだっ! 今の爆発はぁぁぁ~! 何があっ――」


洞窟の入口付近で聞こえる爆音に、慌てふためく盗賊たち。

それを確認しようと外へ向かうと、爆煙の向こう側からルティーナとサーミャがとても不機嫌そうな顔つきで歩み寄ってきた――。


「「あ~眠たいっ! 腹が減ったっ! おまえら、覚悟はできてんだろうなぁ?」」


「はぁ、なんでてめえらがっ……」


「今頃、あたい達の代りに、いい夢でも見てんじゃねぇのか?」


「あの女っ、本当に、く、首輪をしてねぇぞっ! さっきの爆発はお前の――」


「あぁそうさ! 久しぶりに爆裂系の呪文をぶちかましてスッキリしたぜ」

「そうかい、首輪の事を知ってんだな。つうことはお(かしら)様の事色々教えてもたおうか?」


「ええぇいっ! こっちは10人以上も居るんだっ! 小娘二人なんぞ捕まえてやるよっ! 野郎共かかれっ!」



襲い掛かってくる盗賊達を前に、サーミャは呪文の詠唱をはじめ、それをフォロするかのようにルティーナが前線に立つ。

ルティーナは、すでに漢字が描かれている手裏剣を2枚取り出し、連続で襲い掛かる族の中に投げ込む。

手裏剣は、数人の賊を切りつけながら飛んでいき、着弾するまえに1つの目の手裏剣に対して『起動(きどう)』を唱えた。

その手裏剣には【(きり)】が描かれており、族の真ん中から霧が吹き出し全員を包み込んだ。

あとから投げた手裏剣は、そのまま飛んでいき奥の岩壁にぶつかり転々とした。

盗賊たちは突然の霧に巻き込まれたことで混乱する。


サーミャは詠唱を終え、呪文を霧の中に向かって『ライトニング・スプレッド ――広範囲に広がる雷撃――』を放つ。


雷は霧の水分の効果で広範囲に広がり、盗賊たちは効率的に電撃に包み込まれ絶叫とともに気を失っていった。

ルティーナは同時に【(きり)】の発生を解除して止め、サーミャは霧を払うため『ストーム・サイクロン』を追い打ちするのであった。

そして、視界の先にはリーダーらしい1人だけ無事な男の姿が現れた。


「げっ、げ……なん、なんだ! てめえら……」


「さすが、この中で一番偉そうにしているだけのことはありそうね?」


「(なんなんだこいつらっ……)」


 盗賊は、一旦、後ずさりして二人との距離を取ろうとしていた。


「あら? ルナさん、あの手裏剣はなんで投げたの?」


「え、ミヤさんったら、万が一の保険じゃないですかぁ」


 ルティーナの投げた無起動の手裏剣には、【(ばく)】が描かれていた。

盗賊が案の定、距離をとって手裏剣の位置まで後退した瞬間、爆発させ油断していた盗賊は爆破に巻き込まれた。


「呪文……唱え……てねぇのに……爆発……し……た?」


結果、2人は盗賊の隠れ家を、いとも簡単に攻略した。

そして、ルティーナは気絶している盗賊達に【(ねむる)】と【(かるい)】と【(かすか)】を一人づつ体をつつみこむサイズで3重描きし、寝させた上で小さくして軽くした。

全員を袋詰めにして、サーミャと2人でシャルレシカの待つ宿に帰るのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ