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26話 胡散臭イ

 ルティーナはギルドに戻り、現状報告と『呪いの首輪』について鑑定を、シャルレシカは占いの力でサーミャの記憶から盗賊団の情報を集めていた。

首輪についている宝石の正体が『カース・ストーン』と呼ばれる物であったが、『サーミャが魔法を使うと首が締まる』という内容は偽りであったことが判明した。

情報を得たルティーナであったが、偶然、出会ったアンハルトの仲間の魔法使いのヘレンに違和感をもつ馬琴(まこと)であった。



ヘレン=レルナード:銀の魔法使い

挿絵(By みてみん)

 ルティーナは一旦、カルラの宿に泊まり翌朝すぐに2人の待つモルディナ王国に戻るのであった。

不思議につきまとう、小鳥と一緒に……。



(なんだろ……あの小鳥? ずーっとついて来てないか?)


(マコト、ギルドを出てから、あなた変よ?)


(……いろいろ考えてると、つまらない事も気になっちまってさ)


(まさかヘレン?、ちょっと影がありそうな子が趣味なワケ? 確かに、かわいかったけどね――)


(ち、違~うっ! その気になるじゃねぇーよっ! そうだな……気にしすぎかもな)



そして夕方前にモルデリド王国に無事、入国できた。その時には小鳥の姿は無かった。

やはり気のせいだったと思った馬琴(まこと)は、その日の夜の内にルティーナを飛翔して山脈を越えさせ、サーミャが住んでいた小屋で朝まで過ごすのであった。


そして昼過ぎにルティーナは2人が待つ宿へ向かった。

しかし、宿に着いたとたんシャルレシカがいきなり飛びついてきた。

 

「おぃおぃシャル……。あなたが甘えんぼさんなのはわか――」


「違いますよぉ~。シャルが戻ってくるぅ気配は察知してたんですけどぉ、小さな悪意もぉ一緒についてきているんですぅ~」


(小さな悪意? 相変わらず意味が――!)


 ルティーナは、すぐさま部屋へ移動し窓からこっそり外を見渡したが何も見つからなかった。

しかしシャルレシカは必死に悪意の方向を指さす。よく目を凝らしてみると、赤い小さな光が見えた。


(あれは、小鳥……の目? 赤い目? まさか)


「シャル、あの小鳥なの?」


「ん~そこからですねぇ~悪意がしますぅ」


「シャルって、そんなことまで分かるのか?」


そのやり取りを見ていたサーミャは、あの小鳥は闇魔法で操られていると説明する。

そしてルティーナが戻って来たことは魔法を使ってもいい事を確認した上で、右手の人差し指と中指に集中し詠唱を始めた。

すかさず小鳥に向かって銃を撃つように構え『ライトニング・ニードル ――雷をまとう針――』を撃ち放つ。

放たれた雷は、小鳥に逃げる隙も与えずに見事に命中し黒こげにした。


「反応が消えましたぁ……。すごぉいミヤぁ~」


「あ~こらっ、抱きつくなシャルっ――」


(あれが魔法……違うんだな、俺の『能力(ちから)』とは……しかし、完全に厨二病だな……)


ルティーナは、サーミャに闇魔法について問う。


――闇魔法。

回復魔法や再生魔法などの印象の良い光魔法に対し、動物や人間を操ったり姿を消したり良くない印象が強い魔法である。

しかし人間は簡単には操れないが、動物は小さければ生き物でも操れ、小さければ小さいほど操れる数も増えるのである。

1匹だけであれば視界を共有したり通話する道具としても使えるのであった。


サーミャは5種類の魔法が使えるといっても、水・雷・炎・土・風属性の攻撃特化しか使えない。

ちなみに、シャルレシカの索敵魔法は無属性魔法と言われている。


(ヘレン……あの子は何魔法使いなんだ? ――まさか、黒魔法使い)


「明日の朝すぐここを出ましょう! 尾行されてたってことは、あの首輪がらみしか考えられない……」


「ルナ、シャルのおかげでやつらの居場所がだいたいわかったぜ」

「2年前、私とヴァイスが調査したことのある洞窟の付近だから、いつでも殴り込みできるわよっ」

「だけど、あたいの記憶からここまで解るなんてねぇ」


「えへへへぇ~」


「シャルはね、物や人から思念みたいなものを読み取れるみたいなのね……」

「その代わり、思いっきり寝た後でやるか、寝てなかったらやった後に爆睡しちゃうけどね」


「(不思議ちゃんだぁ~)」



――しかし深夜、先手が打たれてしまった。3人の泊まる宿に怪しい三人組の男が忍び込んできた。

三人組はこの宿の夕食全てに睡眠薬を仕込んでいた。そのため宿の客は全員ぐっすり眠りこんでいたため、堂々と潜入していたのであった。


「ガキは怪力らしいし、魔法使いの女もこれでおねんねさ」


「あと1人は占い師……すごいムチムチで上玉らしいっすぜ」

「へぇ~そいつは楽しみだぁ、ご馳走になってもいいんだよなぁ? こんな楽な仕事でいいのかなぁ――」


そんな気楽な会話をしながら彼らは、部屋の扉の鍵をこじ開けようとしていた。

 

「『ストーム・サイクロン ――旋風――』っ」


小さな竜巻状の風が、扉をあけた男を一瞬で吹き飛ばし気絶させた。


「はぁ、どうなってやがるっ! よりによって魔法使いが起きてやがるじゃねぇかっ」


「まずは一人ね、宿の中でなかったらもっと派手なやつをぶちかましてあげようと思ったのにさ」


「ちっ、ちくしょうっ、逃げるぞっ! 失敗だぁ!」


 ルティーナはすでに、部屋前の廊下に【(ねばる)】を描いており、二人を廊下にくっつけた。


「な、なんだぁこれはっ! 足元がくっつきやがった。 どうなってやがる?」


「へぇ~ルナ、こんなこともできるのかい? これなら被害が出ないし尋問もできちゃうね」


「さぁて、夜這いする悪い子には、お仕置きの時間よ!」


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