25話 情報集メ
ルティーナは馬琴が気づいた『能力』の新しい使い方で、サーミャの首輪を外すことに成功した。
そしてサーミャとの間に『呪いの首輪』という共通点ができ、共に行動をすることになったのであった。
サーミャはヴァイスの敵討ちをするまでアンハルト達に存在を伝えないでほしいと伝え、ルティーナは単身でノスガルドのギルドへ移動するのであった。
ルティーナが移動している最中、シャルレシカは頼み事をされていた。
サーミャが1人勝手に暴走しないように監視するだけでなく、盗賊団の情報を得る為に占い師の能力を使う為であった。
「ふっふっふぅ、ミヤぁ~こっちもぉ始めましょうかぁ~」
「つうか、昨日1日寝てたじゃねぇか? あたいの見張りになってねぇし」
「(ルナはシャルの占いの儀式だから、自分で起きるまで絶対起こさないでねってとは言ってたけど……昼だし)」
シャルレシカはサーミャに水晶の上に両手を添えるように指示するのであった。
そして、色々な質問が繰り広げられた。
その情報からシャルレシカはサーミャの記憶をたどり、その情報から盗賊団の居場所を占いで探っていた。
一方ルティーナはノスガルドに同じ日の夕方に到着し、急いでギルドのレミーナを訪ねた。
レミーナに事情を話しアンハルトをオリハーデのいる鑑定室にを集めてもらうのであった。
「どうしたんだいルナリカ? まだ3日も経ってないぜ……やっぱり無理そうかい?」
「いいえ、進展がありましたので」
「え……?」
「シャルの占いでモルデリドを調べていると、その森でこの首輪を発見しました」
「アンハルトさん、この首輪ですが事件の日にサーミャさんが身に着けていませんでしたか?」
「あっ……! その宝石っ! 間違いないっ」
「だが、あれは外れせなかったはず……この切れ目は何かで溶かしたのか?」
「オリハーデさんに、この宝石が何なのか? 鑑定してもらえませんか?」
「ほぉそれでワシを頼ってくれたってことかい? うれしいぃのぉ、変な鑑定していも『じじぃ』言わんでくれよ」
「あははは……(根に持たれてる……)」
「(違うわよ、ルナリカちゃん。オリハーデさんはね……)」
(――?)
「(あなたが登録して帰った後、故郷のお孫さんに会えたみたいで、とっても嬉しかったんだって……)」
「(ず~っと嬉しそうに話してたもの。寂しがってたのよ、きっと)」
「おいおいルナリカっ! どうして、こんなものがっ……」
驚愕するオリハーデは、しばらく言葉を選んでいた。
この宝石は『カース・ストーン』。産地や製法までは不明だが、今、ギルドの封印庫に1個だけ未使用な原石があるという。
これは『何をどうしたら』の条件を決めると『どうなる』という結果を込めらる魔石である。
『何をどうしたら』の条件を決めると同時にその石にくっ付いているものが密着して取れなくなるのだ。
「しかし、サーミャの首は無事なのか?」
心配する3人をよそに、馬琴には1つの疑問が湧いた。
『サーミャが魔法を使えば、首が締まる』は、オリハーデの言うことが正しければ『誰が』という条件は付与できない事に気づく。
そして、ヴァイスとギータン達の首輪は『〇〇分経つと、首が締まる』だったのではないかと推察していた。
「だが、爆発するなんて条件が付与されているかもしれない」
「レミーナ、これはすぐに封印庫に入れておいた方が良いっ! よいかな、ルナリカ?」
「適切な処置をお願いします。本当に凄いんですね、オリハーデおじいちゃんっ」
尊敬する眼差しで見つめられ、『おじいちゃん』と言わたことで、オリハーデの顔は大満足で緩んでいた。
(見事にツボをついたよな……おまえ、小悪魔じゃねぇかよ――)
(えっ、こんな感じでいいんだよね? これでオリハーデさんは無料で、いろいろ鑑定してくれるよね?)
(こいつ、俺から何を学んでやがる……)
「サーミャさんの件は引き続き、シャルが現地で調査を続けていますので、また何かありましたらご報告します」
「後、彼女から首輪がはずれていると情報が漏洩すると、身の危険があるかもわかりませんから、この首輪の件はご内密にお願いしますね」
「レミーナの言ったとおり意外性にかけてよかった……」
話しを終え、鑑定士の部屋から出ようすると外にはヘレンが立っていた。
「あのぉアンハルト、『暁の疾風』の頭が、明日の討伐の件でお話したいと……」
「すまんなヘレンっ、すぐ行く。それじゃルナリカちゃん! また、今度な」
「では私は、封印庫に手続きに言ってくるね」
「ルナリカや~。また来ておくれよ……」
(あははは――)
そんな解散ムードの中、ヘレンがルティーナにサーミャの事を問いかけた。
事情を説明する中、その時の彼女の顔は、『3日でなんらかの情報を集めた』という事に驚いた顔をしているかのように見えない馬琴であった。
(どうしたの? マコト……そりゃ、大魔術師様が戻って来たら、同じ魔法使いとしての居場所がなくなるって危機感みたいなものぢゃないの?)
「そ、それでは……私も明日の討伐の準備がありますので、これで失礼しますね……」
ヘレンはそそくさとその場を立ち去りつつも、ギルドから出るルティーナの姿を遠目で見送るのであった。