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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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247話 譲渡

 馬琴(まこと)の『能力(ちから)』が沈黙した。

今まで好きなように、描いた漢字を具現化できていたのが急に出来なくなってしまったのだ。

それどころか、ルティーナの手のひらにすら、漢字が浮かばなくなったのである。


原因を考えても、(デンゴラド)によりルティーナが重傷になったことが起因しているとしか考えようがなかった。

つまり、ルティーナとの繋がりが切れたため、『能力(ちから)』が使えなくなったのではないかと。

そうなると、サーミャに自分を召喚してもらい戦うしかないのだ。


そこへ、ロザリナと共に状態異常を解消されたシャルレシカが駆け寄って来たのであった。


「シャルは怪我が無くてよかっ――」


「ルナぁ? マコマコ? 悩まなくても、大丈夫ですよぉ」


「?」

(?)


「ん~とですねぇ、いっぱい夢を見たんですよぉ……まずぅ~ルナが滅茶苦茶強くなる夢とぉ――」


(予知夢か? いっぱい夢を見たって……ルナが強くなる?)


「……私が? (今、漢字すら使えなくなって、ただの剣を振り回すしかできない幼気な少女に成り下がってるんですけどぉ)」

「リーナ、ごめんっ! 私、さっきの大怪我が原因で漢字が使えなくなっちゃったの! どうやら、マコトとの繋がりが切れちゃったみたい」

「申し訳ないんだけど、私とシャルを一緒に守ってくれない?」


「えっ! まだ完治してないからじゃない? もう一回――」


「大丈夫、リーナはとにかく魔力温存して!」



しかし、奮闘するサーミャとエリアルではあったが、黒竜(ブラック・デンゴラド)にはこれといった致命傷は与えられず、天空からの攻撃という有利も生かしきれてないのであった。

漢字の援護もできず守ってもらうしかない状態になってしまったルティーナの顔が歪んだ瞬間、シャルレシカが夢の続きを語り始める。


「大丈夫ですぅ! 私が切り札なんですぅ!」


「「はぁ?」」


(切り札って? シャルは、どんな予知夢を見たんだ?)


(シャルはいつも通りよ、いつ起こるかわからないんだから)

(期待してないで、もっと漢字の事を念じなさいよ! ほら、いつもみたいに漢字を見ながら『起動(きどう)』『起動(きどう)』って! そのうちに――)


 ドゴーンっ! ズバババーーンっ!


(はぁ?)


(い、今の俺じゃないぞ?)


(え、まさか……)


(そういえばルナ、描いてあった漢字を普通に【(ばく)】って読んでたよな? ……そうか)



 ――まずぅ~ルナが滅茶苦茶強くなる夢とぉ――



(え、どういうこと? ……あそこにあるのは【(とげ)】、そして【(ほのお)】……あれ? 漢字なんて知らないのに読める……それに具現化したらどうなるかまで解る)


ルティーナは黒竜(ブラック・デンゴラド)からの致命的な攻撃を受け、馬琴(まこと)との『能力(ちから)』の繋がりが切れたのではなく、ルティーナに譲渡されていたのであった。

つまり馬琴(まこと)自信が、漢字を操る『能力(ちから)』を失っていたのだった。

馬琴(まこと)は早速、ルティーナに手のひらに【(でん)】を思い浮かべるように指示したところ、予想通り漢字を描くことが出来た。


(これなら!)


黒竜(ブラック・デンゴラド)の抵抗をしのぎ切れなくなってきたサーミャとエリアルの元へ、ルティーナはロザリナ達に体を支えられながらも『デストラクション・シューター』による援護射撃を始めるのであった。



「何! このような攻撃が出来る奴が、まだ居るのか?」



「(助かったぜルナっ!)」

「(さすがに、こいつを『スプラッシュ・バイパー』で拘束するにも残り魔力がやべぇ! 飛翔する体力もそろそろ限界だぜ)」



「ええい! こざかしいっ!(あいつらの意思が読めても複数相手だとやりづらい、やはり1人1人分断しないと……俺の分身がやられた理由は間違いなくこいつらのチームワークだ)」

「(しかし、一番回復していない翼ばかり狙いよって! こうなれば、アレを使うか)」



(デンゴラド)は自らの鱗を四方八方に弾丸のように吹き飛ばし強襲した。


エリアルはサーミャを守るため大剣を氷で覆わせ身を挺したが、その勢いをまともにくらい岩場に叩きつけられ、そのまま地上に転落し崩れてきた土砂の下敷きになってしまった。

サーミャはエリアルのおかげで致命傷を避けられたものの、翼を損傷し彼女も地面に叩きつけられた衝撃で足を骨折してしまう。


「く、くそっ水場も破壊されちまった……『スプラッシュ・バイパー』はもう使えねぇ……それに足が……」

「それよりエルがっ! あたいをかばいやがって! 無事なら返事してくれ~っ」




(え、エルちゃん、大丈夫?)


(うう……? い、痛くない? 岩場に強打したはずなのに)


(怪我はないの? 痛覚が麻痺しちゃった?)


(いいや普段と変わらないんだ)

(……でも、激痛が走って意識が飛びそうだった瞬間はあるんですが)

(いや、やっぱり防具はボロボロだ……だけど、怪我一つ無いなんてありえない――)


(あっ、もしかしてあの石!)


エリアルは慌てて懐にいれていたミレイユから託された秘宝を確認したところ、真っ二つに砕けていた様を見て呆然としていた。


(こ、これは本当に僕の身代わりをしてくれたっていうことなのかい?)


(そうね。それしか説明できないわ……どうやって発動したのか理由は分からないけど)


(それは後回しですね! 今はみんなを助けに戻りましょう)




一方、ロザリナは『シャイン・ウォール』を広域展開し、ルティーナとシャルレシカを守ろうとしたが、防御と治療に魔力を使い過ぎ、結果、魔力不足に陥り3人は吹き飛ばされてしまった。

しかしルティーナは、咄嗟にシャルレシカに触れ【(かたい)】を描き守り切っていたのであった。


「る、ルナ、無事?」


「無事よ怪我は大したことないわ、リーナにはいっぱい借りができちゃったわね」


(それより、武器がなくなっちゃったよマコト)


「そんなの、この前のでチャラよ、でも私もうほとんど魔力が残ってないみたい……」

「私は……ここまでね」


「攻撃が止んでるうちに少しでも魔力回復に集中してて」

「私には『ヒーリング・ストーン』があるから、これで治癒するわ」


(でもどうするのよ? まともに動けるのはシャルしかいないわよ? 逃げる練習しかしてないし)


(ミヤたちの方からも全く反撃が始まらない……)


(まさか……マコト! 縁起でもない事を言わないでよ!)



全員が各々弱気になる中、シャルレシカだけ戦場に響くほどの大声を張り上げ、皆を鼓舞するのであった。


「みんなぁ! 弱気になっちゃだめぇ~っ」


「「「「!」」」」

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