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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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244/250

244話 決裂

 朝時(あさとき)は、黒竜(ブラック・デンゴラド)に全員が集中する瞬間を待っていたかのように、ルティーナ達を裏切るのであった。

シャルレシカを睡眠薬で眠らせ彼女の背中から抱きかかえ、『ダーク・バニッシュ』と『ダーク・インビジブル』を掛け姿と気配を消すのであった。

シャルレシカが居なければ気配は読まれなくなると考えるが、サーミャの『エクソシズム・ケーン』が「索敵魔法」を学習していることを皆の話から理解していた為、彼に一切の油断はない。


 『この程度では首輪は爆発しない』ことを確信した上での愚行であった。


実際、馬琴(まこと)は予想通り殺すつもりは一切なかった。

彼が仕掛けていた条件、それは――。


 『空を飛べば爆発する』


とありえない物にしていたのだ。

だから、あえて朝時(あさとき)に飛翔の練習させなかったのもその為であり、この条件にしたのは彼を殺すつもりは一切なく、本当に反旗を翻さない為のお守りであった。

しかし、馬琴(まこと)の優しさを逆手に取られ、簡単に踏みにじられてしまったのだ。




そんな状況、サーミャ達は(デンゴラド)と対峙する前に出来る限りデルグーイを減らすことに集中しすぎていたため、朝時(あさとき)とシャルレシカが消えたことに全く気が付いていなかった。

そして(デンゴラド)が近づいていると伝え回るルティーナと馬琴(まこと)さえも。



「みんなっ、奴が来たわよっ! デグルーイはもういいわ!」

「きっと、邪魔になるから追い払うはずよ! マコトが、連携はないと思うって」


「もう来たか! エルがほとんど片づけてくれたから、魔力もばっちり残ってるぜ」


「意外と効率よく戦っててくれたのね」


「うるせぇ。いつもと違うってのはわかってるさ」


そしてエリアルが周辺のデルグーイを全て沈黙させた後、4人は一か所に集まる。

そこで4人は、まだ1km先だとはわかっていても、黒い何かが向かってくるのが見え、息を呑む。


「あれが……黒竜(ブラック・デンゴラド)

「急いで地上に戻りましょう! シャル達と合――!」

「シャル? タイヘイ……が居ない?」


「まさか! あの豚野郎!」


(リーナ、言い方、言い方)


「あいつは知らねぇようだな、どこに隠れようとあたいが――」


朝時(あさとき)の予想通り、サーミャは『エクソシズム・ケーン』で索敵を行なった。

彼女は杖の学習能力でシャルレシカ程ではなく500mの範囲しかつかえなかったが十分のはずであったにも関わらず、気配を消されており見つけることが出来なかった。


完全に馬琴(まこと)の思いが裏目になったことに気付くが、もう手遅れだった。

(デンゴラド)が迫りくる中、沈黙していたルティーナを見かねたサーミャは、朝時(あさとき)も知らない『サモン・オーバーコール』を使い、シャルレシカを呼び寄せると提案する。


しかし、それを聞いた馬琴(まこと)はストップをかける。


その魔法は対象者を強引に呼び寄せられるが、他の転移魔法のように接触しているものまで召喚できる。

つまり、消えた状態の2人、そしてシャルレシカが拘束されているとしたら、朝時(あさとき)をこの空に召喚すると『カース・ストーン』が爆発しシャルレシカの身が危険なのだと説明する。


『くっそ! あの野郎! 肝心な時に! 完全に馴染んだと油断してたぜ』


これから地上に降りて、召喚をする手もあったが(デンゴラド)はもう目前に迫っていたのだ。

だが(デンゴラド)は完全に飛翔できないのか、低空飛行でフラフラとしたものだったが、ルティーナ達を完全に見据えていた。



「なぁマコマコ、あいつ……」


(早期決戦の意味はあったな……完全体になる前でよかった)


「あっちの方に私がしかけたカンジがあるわ、シャル達の事は後回しよ!」

「とにかく地上に居りて対話に持ち込むわよ」


(万が一、一緒に姿を消しているシャルが巻き込まれないか心配だけど)


(もぅ、タイヘイの馬鹿っ!)



 そして数分後、(デンゴラド)はルティーナ達の構える地に着陸するのであった。


「貴様らが魔物達を始末したのか……世が狂わせ、食料と護衛ように呼び寄せたのに」


(まさか、自分の回復のためにデグルーイを)


「(あぁ、聞こえているぞ。その通りだ)」

「さて! お前たちに問う! 世を封印したあの魔法使い……いや勇者はどこに居るっ!」


(ナガアキのことか)


「そうだったな、ナガアキと呼ばれていたな――」


心理を読むところは他の(デンゴラド)同じであり、彼女達の思考は順に読まれてしまっていた。

そして、リュウガやリュウゼ達が彼女達に敗れたことと、さらには長明(ながあき)を倒したことを知り、呆然としていた。

さらには――。


「そこの赤髪の娘! 世と交渉するためにわざわざここまできただと?」

「なるほどな確かにこの世界に、あの時の勇者は居ないのか……そして、逆召喚ができるとはな――」


「(私の心を……!)」


「なら、話は早ぇ! あたいの魔法で――」


「――そうだな、交渉する必要はないなっ」

「そこの小娘、いや、そこに宿る男よ。お前の言う通りなら世は数千年前から召喚されたということか? だから戻せると?」

「そうか……やはり、ここは地球だったか……息吹は感じておった」


(よしっ! これなら――)


「――なら、まずは危険なお前たちを喰らい、次にこの狂った世界を滅ぼしてくれるわっ!」


「! ちょっと待って……」


黒竜(ブラック・デンゴラド)は、馬琴(まこと)の思想とは違っていた。

彼にとって『元の世界に戻す』という言葉は、彼女達の自己満足にすぎないと。

そもそも、無理やりこの世界に呼び寄せたのは、この世界の人間、そして傲慢な理由で地球を守護するはずだった自分をボロ雑巾のように召喚したあげく、勇者を名乗るものに駆逐されせようとしたのは事実無根。

これ以上、この世は滅ぼすという自分の使命の条件と一致する状況はないと判断したのだ。


「この世界を見るに、過去に自分が居なくなった……その時に一度、愚かな行為でこの文明は滅んだと見た」

「それであれば、なおさら、もとの世界に戻っても勝手に滅ぶと解っている文明になぞ興味がない!」

「過去にはマヤやシュメールや数々の文明を滅ぼして来たが、自滅したのであれば、過去に戻る必要はないのだ! この意味がわからんか? マコトという勇者よ」



そう言い放たれた、馬琴(まこと)は言葉を失う。


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