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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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232/250

232話 機転

 馬琴(まこと)は、ルティーナを透明にし飛翔することで、(デンゴラド)の視界から消え、さらに意識介入からも逃れ優位に立っていながらも、次の手が打てずにどうすることも出来なかった。


ルティーナを探す(デンゴラド)は、空中から容赦なくサーミャ達を攻撃し追い詰ていく。


「(そろそろヤバいぜ、マコマコまだかよぉ~)」


「『シャイン・ウォール』っ! ミヤっ、ぼーっとしないで」


「すまねぇっ」


「ごほっごほっ、凄い砂煙だ」



(デンゴラド)は、消えたルティーナの場所を把握しようと焦り無闇に攻撃しすぎた為、偶然にも舞い上がった、砂煙で全員の姿が見えなくなる。

意識介入から一時的に開放されていた瞬間に、ルティーナ以外の3人は集まり密談をする。


(エルちゃん、私の作戦を皆に説明して……)


(マコトさんもきっと作戦を……それでは状況が混――)


(大丈夫、きっと馬琴(まこと)は手詰まり状態よ)

(どうせ決定打の攻撃ができないとか言って、弱気になってるいるに違いないわ)

(だから、こっちから援護を仕掛けるのよっ!)


(でも……)


(いいからいいから、あいつの事は私が一番わかってるから!)

(まずは――)


エリアルは地面に強くめり込むぐらいに槍を突き刺し仁王立ちし、2人に誉美(ともみ)が立てた指示を伝える。

ロザリナには『シャイン・ウォール』で防御に集中してもらい、サーミャはそのまま待機するように伝えた。


『むっ?』


そして誉美(ともみ)は、槍の穂先を伸ばし始めた。

穂先は地面に突き刺さっているため、消えかかった砂煙の中から、槍の柄側が(デンゴラド)に向かって飛び出してくる。

突然の事に気づくのが遅れる(デンゴラド)であったが、とっさに身をかわす。

そして、攻撃は当たらなかったがそのまま槍は伸び続けていた。


その様子を(デンゴラド)の後ろから見ていた馬琴(まこと)は、それが誉美(ともみ)からの手助けだとすぐ気づくのであった。


そして誉美(ともみ)は、そのまま槍を元の姿に戻すのであった。

すると、穂先だけが柄に吸い込まれるように元の形状に戻り、天空に槍が残った。

その一瞬――。


(ルナっ、あの槍に手を触れてくれっ)


(? わ、わかったわ)


ルティーナは、槍を掴み【(かがやき)】を描き写して、すぐさま(デンゴラド)に向かって投げつけた。


(マコト、こんな事するんだったら、最初っから透明にした手裏剣で攻撃しても……)


(いや、意味はあるさ)


(?)


(ありがとう誉美(ともみ)! 反撃開始だ)


『なっ、さっきの槍がこっちに! あの剣士の力かっ!』


 (デンゴラド)は向かってきた槍を尻尾で振り落とそうとした瞬間、馬琴(まこと)は漢字を『起動(きどう)』するのであった。

突然、槍が発光したことで(デンゴラド)は視界を奪われた。


その瞬間、ルティーナは『デストラクション・シューター』で4m程の【(みず)】と【(はる)】の2文字を描いた手裏剣を(デンゴラド)に向かって撃ち放った。

手裏剣は(デンゴラド)の背中に刺さり、貼りつくと共に、大量の水を噴き出し始めるのであった。


それを地上から見ていたサーミャは、すかさず『スプラッシュ・バイパー』で(デンゴラド)から発生する水を操り、翼を拘束して地上に引きずり降ろそうとした。


『な、何っ拘束された! なぜ我から水が――』



(デンゴラド)は動きを封じられ地上に引きずりおろされそうになるも、悪あがきで息吹を地上に向かって放ち反撃を試みる。


(そっか、槍の攻撃は地上から打ち上げられたもの……だから、私たちが空に居て攻撃を仕掛けたと思われてない?)


(そういうこと、誉美(ともみ)の機転のおかげで助かったよ)



そしてサーミャがほぼ地上まで引きずり降ろした瞬間、ロザリナが『シャイン・プリズン』を放ち首から上を光の檻で拘束し息吹の攻撃の自由を奪う。


「ルナぁ、いいかよく聞け~」

「今から、あいつの口をこじ開けてやるからなぁぁ~っ」


『何を企んでいるっ! 開けろと言われて開けるわけがないであろうっ!』



(みんな、俺の考えてることがわかるのか?)

(いや誉美(ともみ)だな)


(さすが息ぴったりじゃない)


(で、口をあけさせてどうするの? 『デストラクション・シューター』じゃ爆弾は撃ち出せないわよ?)


(まずは、ルナは少しでも口が開いたら手裏剣をぶち込むだけでいい)


(それじゃ……)


(大丈夫さ、ミヤ達が作る隙を見逃すなよ)



(デンゴラド)は、胴体は『スプラッシュ・バイパー』、首から上は『シャイン・プリズン』で拘束され地面でのたうち回っていた。

そんな中、ルティーナは口元を狙って『デストラクション・シューター』を構えていた。

そしてサーミャの攻撃に耐えられず(デンゴラド)が思わず口を数センチ開いた瞬間、2mほどの【(ばく)】を描いた手裏剣を連続で、その口の隙間を狙って撃ち出すのであった。


光る手裏剣が飛んでるくことに(デンゴラド)は気付いたが、口の中に手裏剣が近づいた瞬間、馬琴(まこと)は起動したことで大爆発を起こされ、たまらず口を大きく開いてしまう。


すかさずルティーナは急降下し、単純に手のひらぐらいの【(ばく)】と【(おおきい)】を何個も重ね書きした小さい爆弾のまま、(デンゴラド)の口にうまく放り込み、何をされたか理解できないまま飲み込むのであった。


それを確認した馬琴(まこと)は爆弾にもともと仕掛けていた漢字をすべて解除し、もとの大きさに戻した上で、先ほど描いた漢字を『起動(きどう)』し最後に爆発させた。


すると(デンゴラド)の口の中から大爆音が聞こえ、喉下が裂け緑の血が大量に噴き出し、虚ろな目をしたまま地面に倒れこんだ。

その瞬間、エリアルは大剣を氷の刃にし首元に刃を突きつけた。


(? マコトっ勝ったの?)

(でもなんで? ちっちゃい漢字なのに、あんな大爆発が起こせたの?)


誉美(ともみ)がエルの槍を伸ばしてただろ?)


(?)


漢字の『能力(ちから)』は触れている間に漢字を大きくできるが、それができない状況下では、漢字を重ね描きすることで、例えば【(おおきい)】であれば倍々で大きくすることができたのだ。


(そっか、だから同じカンジばっかり言ってたのね)

(それならもっと大きくしてやれば……)


(いや、殺しては聞きたいことが聞けないからな)


そしてルティーナは姿を現しながら、空から降りてくるのであった。


『そ、そうか、貴様……姿を消し……て飛んで……いたのか……なんなん……だその能力は……』

『我に質問す……る権利はないか……くそ、我の負けを……認めよう……』


「さぁ約束通り、いろいろ聞かせてもらうわよ」


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