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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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228話 銀竜《シルバー・デンゴラド》 ~後編~

 ルティーナ達は(デンゴラド)の死角になるような場所を探し、近くの岩場に着地した。

そして、すぐにサーミャを元の姿に戻し『サモン・オーバーコール』でエリアルをその場に召喚させるのであった。


「あっ、ミヤ! 呼ばれるのは呼ばれるで、結構、怖いよねコレ」


(す、すご~い! ミヤちゃんの……召喚魔法)


「え、エル? ところで、その武器は」


「これかい? 本当はタリスさんとこで、穂先がデカい槍を注文したかったんだけど、後回しになったから、とりあえず王宮で普通の槍を貸してもらったんだ」


「大剣と槍?……」


(既に剣士でなくなっているような)


誉美(ともみ)はエルに何を吹き込んだんだ? 穂先のデカい槍? それって槍なのか?)



そしてエリアルは、(デンゴラド)の説明をルティーナから受け、魔法が通用しないという点で自分たちは虚を突けることを説明するが、他に秘密がありそうなことに警戒することを忠告する。


(え、あんなのと戦うの?)


(怖いですか?)


(……ううん、意外と楽しみ)


(ぷっ……トモミさんったら、初戦からあんな化け物なのに)


(頑張りましょう、エルちゃん)


(はい)



馬琴(まこと)は、今後の黒竜(ブラック・デンゴラド)との闘いに備え、(デンゴラド)から出来るだけ情報を入手したいと考えていた。

それだけでなく、前回のように不意打ちでなく出来る限り実力で戦う想定で作戦を決めた。


まずは、『デストラクション・シューター』で狙撃を試みることで、(デンゴラド)の硬度を確認する。

次に、今、迫ってきている雷雲を利用しようと目論んでいた。


「……? あ、そうか! なるほどな、アレを利用すれば時間を止めなくても……」


「で、僕はどうするんだい?」


「あいつは魔法は効かないと過信しているから、トモミさんとの連携でガンガン攻撃をして」


(僕の力じゃ、あの位置に居られると風の刃ぐらいしか攻撃方法がないし……豪雨だとますます役にたたな――)


(大丈夫よエルちゃん)


(?)


(そのための槍なんだから)


(?)


「う~ん、なんかトモミさんが任せてって言ってるから、了解した」


(え~、なんであいつがノリノリなんだ?)


「とりあえず、雨が激しくなったら攻撃を始めるから、ミヤは準備しておいてね」


「あぁ」



 そして5分が経過し、雨は次第に豪雨になり銀竜(シルバー・デンゴラド)の視界はほぼ奪われた。

ルティーナ達は相手が大きい為、場所は把握できていた。


そして、ルティーナは狙いをつけ『デストラクション・シューター』を構え、【(どく)】と【(ばく)】を2mぐらいの大きさで2重描きした手裏剣を3枚連続で射出し、銀竜(シルバー・デンゴラド)はまったく気付かずに当てられた瞬間に、漢字を順番に『起動(きどう)』した。


銀竜(シルバー・デンゴラド)は何が起こったかわからず、毒を浴びた瞬間に爆破によりウロコが飛び散った。

すると、その部位から毒が浸み込み、高度を落とし始めた。


それを見たサーミャは、『エクソシズム・ケーン』と雨を使って『スプラッシュ・バイパー』を5匹を繰り出し地上近くまで引きずり降ろした。

『スプラッシュ・バイパー』は水を操作している魔法のため、銀竜(シルバー・デンゴラド)の魔法反射の対象にはならず、そのまま利用できたのであった。



(エルちゃんっ! こっちも暴れるわよっ!)


「『ランス・オブ・インフィニティライジングプラズマ』っ」

(【(のびる)】×10っ【(かみなり)】)


「うぉぉぉぉ~」


エリアルは、大剣を地面に突き刺し、槍を両手でもち穂先を(デンゴラド)に向けていた。

穂先は2倍、4倍、8倍、16倍、そして1024倍、つまりもともと20cmだったものが全長200m以上の穂先に化けていた。


「なんだそりゃ、穂先が雷をまとったまま、勢いよく伸びまくってる?」


(マコトのカンジより使い勝手が良くない?)


(俺の場合は漢字を描く時間が必要だけど、単純に伝播させるだけだからか……)

(なるほど、それなら伸びるで2倍の長さになるのを連続で掛けて、しかも重さはそのままか……剣でなく槍なら持つ手の負荷が分散できる……やるな誉美(ともみ)


(関心していないで、今度は私たちの番よ!)



(デンゴラド)は見えない視界の中、巻き付く『スプラッシュ・バイパー』で動きの自由が奪われ

地上に引きずり降ろされただけでなく、意味不明の攻撃を受けている状況に混乱していた。


 ザクっ! バリバリバリっ!


『ぐ、ぐわ~っ! こ、この雷撃は、魔法じゃない! 魔法なら反射されるはずっ!』


銀竜(シルバー・デンゴラド)は刺さった槍を抜こうと暴れ、すかさず誉美(ともみ)は『停止(ていし)』させ、もとの槍に戻すのであった。


「もっと、やってやれ! しかし動きは封じてるが、なかなか抵抗しやがって、結構、魔力を使わせやがるぜ」

「っつうか、こっちにじりじり向かってきてないか?」


『あの魔法使いとは違う……転移魔法で仲間に合流したのか……こしゃくな!』


「魔法は跳ね返すけど、あのウロコはリュウガほど強固ではなさそうね」

「エルっ、さっきの槍の穂先を貸して!」


「?」


ルティーナは、エリアルの槍の穂先に、【(だい)】と【(ばく)】を追記した小さくしている爆弾を【(はる)】でくっつけた。

さっきと同じように槍を伸ばし(デンゴラド)を狙うように指示するのであった。


「これは? あの時の……わかった! 『ランス・オブ・インフィニティライジング』っ」

(【(のびる)】×10っ)



『むっ! なんだ何かが迫ってくる! この程度かわしてくれ――』



穂先が(デンゴラド)に到達する瞬間、馬琴(まこと)は【(はる)】を解除し、誉美(ともみ)は槍を元の姿に戻させ、銀竜(シルバー・デンゴラド)の目前で爆弾だけを置き去りにに、全ての漢字を仕掛けた順に解除していった。

そして、サーミャも『スプラッシュ・バイパー』を一斉に解除する。

すると――。


 ドゴーーーーーーーーーーンっ(大爆破音)


『ぐ、ぐわーっ!』


さすがの(デンゴラド)も強烈な爆風に巻き込まれ、体中のウロコの半分以上がそげ落ち、血まみれになりながら地面に倒れこむのであった。


『ぶ、ぶはっ……い、いかん、このままでは! 人間ごときに……』

『くそぉ、一体、どこから攻撃をっ』



「トドメを刺しにいこうぜっ」


「それじゃ2人とも軽くしたから、私につかま――」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ(地響き音)



「「「?」」」



突然、シャルレシカとロザリナの居る、方向から地響きが鳴り響き、ルティーナ達に向かって地割れが発生した。

ルティーナはすぐさま2人を持ち上げて飛翔し難を逃れたが、そのまま地割れは王国方向に向かって走っていき、その場にいた銀竜(シルバー・デンゴラド)は血まみれのまま地割れの中に飲み込まれるように消えて行った。


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