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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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226話 銀竜《シルバー・デンゴラド》  ~前編~

ルティーナ達は火山噴火近くの峠入り口まで馬車で案内され、行方不明になっている近衛騎士団の捜索と被害状況を確認するため、徒歩で現場に向かう。


「かれこれ30分は歩いたか? 時折の地震で足場が安定しねぇな」

「本当に近衛騎士団のやつら、この道をすすんだのか?」


「一本道だけど、この先はわからないわね」

「そろそろシャル周りを調べてくれない? そろそろ火山まで10km以内まで来たでしょ?」


シャルレシカはサーミャから『エクソシズム・ケーン』を借り、広範囲索敵を始めた。


「でも雲行きが怪しいわね」

「大雨にならなきゃいいけど……まだ、雷音もするし」


「もし雨や雷が降ってきたら、私が頭上に薄い『シャイン・ウォール』でも展開するわよ」


「る、ルナぁっ」


そんな中、索敵していたシャルレシカは慌てるようにルティーナに抱きつき怯え始める。


「? どうしたの急に! 近衛騎士団らしい反応があった? じゃなさそうね」


「そうなんですぅ〜3km先に……大きな索敵できない空間が動いてますぅ~」


「大きな空間? 動いてる?」


(巨大な『マジックシール・ストーン』でも埋まってるの?)


(いや、動いてるって言ってるって……)

(噴火と何が関係があるのか?)



不明な空間と近衛兵との音信普通の理由は、何らかの関係性があると睨む馬琴(まこと)

そんな中、シャルレシカは索敵を続けながら、時折感じる不安を口にした。


「で、(デンゴラド)ぉ?」


「え?」


「イスガに居たぁ(デンゴラド)とぉ、一瞬だけ同じ気配を感じたりぃ消えたりぃ……」


「今度は、索敵しずらい(デンゴラド)なの?」


「そんなのに遭遇したら近衛兵なんて……」


馬琴(まこと)は急いで、ルティーナに連絡鳥でエリアルと連絡をとらせ、ギルドではなく王に直接このことを伝えるように指示した。

その連絡を受けたエリアルは、ギルドに不在の間、預けていた自分の愛馬に乗り、ノモナーガ城に報告に向かうのであった。



(今度も倒せる? あの時の爆弾がまだ4個残ってるから、なんとかなるよね?)


(不意打ちが決まればな……だけど、黒竜(ブラック・デンゴラド)戦に温存しておきたいな)


(そんなぁ~)


馬琴(まこと)はサーミャに30分後、つまり、ノキア王に報告が終わる頃に連絡し『サモン・オーバーコール』でこの場に召喚するように指示した。


「ところで、近衛騎士団は殺られてしまったのでしょうか?」


「う~ん、5kmほど先で、微かに5人ほどの反応がありますぅ」


「微か? 危険な状態って見た方がいいわね」


だが救護に行くには、謎の(デンゴラド)を超えないと行けない状況であり、飛翔して大回するしかなかった。


「しゃあねぇな、あたいとシャルでなんとか食い止めるから、飛んで後ろにまわって救助してこいよ」


「え、え、え、私もぉ~?」


「それが得策そうね、シャルが居れば危険察知ができるもの」

「でも、とにかく30分無理はしないで、エルと合流してから反撃してね」

「私は近衛騎士団を救出したらリーナに任せて、すぐ裏から強襲するから」


「あぁ、まかせなっ」



 ルティーナは、シャルレシカに近衛騎士団と(デンゴラド)の位置関係を確認したうえで、ロザリナを小さく軽くし胸元に入れ、飛翔で移動するのであった。

そして、(デンゴラド)を回避し大回りして山脈をわたっていった。


「さぁ~てとルナ達は見えなくなっちまったな」

「シャル、あと何分ぐらいで遭遇しそうなんだ?」


「え、ええ~とぉ、あれから同じ場所をぐるぐる回っているように見えますぅ~」


「ってことは、また3km付近をうろついてんのか」

「好都合だな、あと20分おとなしくしていろよ」


「私はぁ都合良くありません~」


「まぁそうい言うなって、人助けなんだから」


「うぅぅ~――!」


「どうしたシャルっ」


一瞬、油断した隙に謎の(デンゴラド)は、急に高速で移動を始め、1.5km先にまで接近していた。


「は、早いっ! まさか飛んでるのか? 20分どころじゃねぇ」


(シャルに杖を貸さないと自衛できないし、そうすると『クロノ・モラトリス』が使えねぇ……それならいっそ)

「シャル、杖を返せっ! 不意打ちで一気にケリをつけてやるぜ」


「わ、私、死んじゃうぅ~」


「あたいが絶対守ってやるから、とりあえず、そこの木陰に隠れるぜ!」


予想より早く、飛翔してくる(デンゴラド)の姿を目にする2人は驚きながらも息を殺し様子をうかがっていた。


「今度は銀色……赤いやつと同じぐらいの大きさか?」

「あいつには通用したからな、動きを止めるのは問題なさそうだな」


しかし(デンゴラド)は、サーミャ達に気づいているわけでもなく、周りの岩を砕き始め、まるで何かをさがしているかの様に周辺を徘徊していた。


「そうか、さっきの場所もしばらく動かなかったのは……一体何を探してやがる」

「あたい達を探しているわけじゃなさそうね」


「ミヤっ、殺気を感じますぅ~」


「!」



 銀竜(シルバー・デンゴラド)は口を大きく開け、火炎を噴き出し辺りの森を焼き払い始めた。


「やべっ! 丸焼きにされちまう!」

「しかたねぇ! シャルっ、仕掛けるから、あたいから離れるなよっ」


「はぃ」


そしてサーミャは、(デンゴラド)の背後から『クロノ・モラトリス』を放つ。

魔法は的確に(デンゴラド)にかかっていたはずだったが、そのまま気にせず森を焼き払い続けていた。


「…………」


「ミヤぁ? ミヤぁっ? どうしたんですかぁ」

「ひゃっ、火がぁ~っ」


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