表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/250

220話 覚醒

 ロザリナと尼帆(まほ)が修行の為に部屋から出て行った後、春斗(はると)は真剣な表情で、ルティーナたちの漢字の力……刻印魔法のことをどれだけ理解しているか確認をした。


(こ、刻印魔法か……そう呼ばれていたのか、しっくりくるな)


(なんか、かっこいいじゃん! 魔法だって! 私、魔法使いで登録できるんじゃない?)


(それはいいとして、彼はどうやって『能力(ちから)』を理解したか聞いてくれ)


ルティーナが問うと、春斗(はると)は召喚された時、既に知識の中にムルシア語を勝手に理解したように、『能力(ちから)』の使い方も全てわかっていたという。

つまり、馬琴(まこと)は正しく召喚されなかったために、知識なく偶然、『能力(ちから)』に気づいたのがきっかけだったに過ぎないのだ。

ルティーナは、今までに使った漢字や効果や条件について認識している範囲を伝えた。


春斗(はると)は、彼らの漢字の使い方はほぼ認識している通りで間違いは無かったが、それを独学で理解した事に驚いていた。

一連の認識を確認したところで、使ったことの無い漢字や使えない漢字についての知識を授けた。


(そうか、やっぱり【()】とか【(ころす)】や【(ほろぼす)】は使えないのか……『起動(きどう)』しても何も起こらないはずだ)


(そんなに都合がいい漢字だったの?)


(あぁ、漢字の意味合いなら瞬殺できる)


(え、もったいない!)


春斗(はると)の結論としては、馬琴(まこと)の想像通り、普通に(デンゴラド)に長時間触れることはまず無理であるため、巨大な漢字で攻撃することはほぼ不可能だと言う。

だが、自分たちとの闘いとは違い、仲間に勇者級のサーミャが居ることは確かに有利だと言う。


(やはり、ミヤの時間停止が鍵か……)


「でも時間を止めなくても、致命傷近くまで追い詰めたんですよね?」


「あぁ、やつの甲羅を弱らせて、今からロザリナに伝授する尼帆(まほ)の光魔法で貫いたり、長明(ながあき)の剣撃で……結局、持久戦になってしまったけどな」


赤竜(レッド・デンゴラド)も相当甲羅が硬かったからな、それ以上だったら実質、詰みだな)


「だが、有効な漢字もある」


「!」


春斗(はると)が言うには、【(もろい)】という漢字が一番効き目があったらしく、強度な皮膚を弱体化させることができ、そこへ皆の攻撃を集中させじわじわとダメージを与えたという。

ただし、一瞬、手で触れるのが精一杯だったため、実際は子供だましみたいな攻撃にしかならなかったようだが、サーミャのように時間を止められれば大きな弱体化ができると。


「俺たちはできなかったが、ルティーナ達ならいけるかもしれないぞ」


「ありがとうございます。なんか頑張れる気がしてきました」


(一応、持久戦対策を考えておかないといけないな)



しかし、ルティーナと春斗(はると)が盛り上がる中、エリアルは2人の会話に入れず黙り込んでしまう。

その様子を察した春斗(はると)が話しかける。


「確か、トモミさんだったか? 今でも、エリアルと意識が繋がらないんだよね?」


「はい」


「彼女の意識が繋がれば、君はもっと強くなれるぞ」


その理由は、エリアルは発現した能力を、なんとなくでしか使いこなせていないのではないかと指摘された。

つまり、ルティーナは自分で漢字の意味がわからなくても、マコトが操ってくれるから巨大な力を発揮できるのだと。


「つまり、トモミさんの意思がこの剣に乗れば……」


「そう、出来る確証はないが、彼女の意識を呼び起こしてみたいのだが――」


馬琴(まこと)誉美(ともみ)の意識が覚醒するかも知れないという言葉に、複雑な気持ちを感じていたのであった。


(どうしたのよマコト? トモミさんの意識が戻るって嬉しくないの?)


(そりゃ、嬉しいさ……でも)

(俺とは違って、今までの実践経験もない状態で、いきなり最終決戦に巻き込むなんて)


(そっか、私も嫌かも)


(だけど、このままでは黒竜(ブラック・デンゴラド)戦の勝率は低い……何も知らないほうが誉美(ともみ)の為なのか)


(マコト! 絶対、勝つんだよね?)


(! 俺が弱気になったらだめだな……ありがとうルナ)


「悩んでいるのかい? マコト君」

「彼女をこの戦いに巻き込んでしまうことを――」


「いいえハルトさん、大丈夫ですと言っています」


「今の君たちなら、そうサーミャが居れば、召喚石を用意すれば外に出られる」

「そして現代に戻してもらうことができるだろう」


(ナガアキの言っていた通りだ、その方法で元の世界には戻れるのは本当みたいだな)


(……)


「もしマコト君、トモミさんの安全を願うなら、そのまま帰還する選択肢を選んでも、誰も文句は言わないだろう」

「そうだろ? ルティーナ、エリアル」


「そうね、今までいっぱい助けてもらったんだもんね」

「マコマコは本来被害者なんだし、後は大魔法使いのミヤと聖女リーナと大占い師シャル、そして、アンハルトさん達が居るんだから……」


(強がりを言うなよ)


(本音だよ!)


(俺がいなくなったらこの『能力(ちから)』が使えなくなっちゃうだろ)


(そ、そうなっちゃったら、私は戦力外だけど……)


「ルナ、僕と同じことを考えてるね?」

「トモミさんが居なくなれば、僕もただの剣士になって役に立たなくなってしまいますが、彼女には今まで助けてもらったお礼がしたい」


(まったく、お前らは)

(誰もまだ見捨てるって言ってないだろ?)

(イスガ王の返答次第でどう動くという話はあるけど、もし最悪な結果だったとしても、絶対! 見捨てない!)


(ま、マコトぉ~ありがとう)


(そういうことだ)

(それじゃ、頼んでもらっていいかい?)



「ハルトさん、マコトがお願いしますと言っています」



 春斗(はると)は小さくうなづき、エリアルを寝床に呼び寄せ額に手を添え、【(おもう)】を描き移した。

そして『トモミ! 目覚めろと!』と声をかけ、続けて『起動(きどう)』を叫んだ。


――しばらくすると、エリアルの意識の中で何かが呼応するのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ