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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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219話 遺言


 ルティーナは春斗(はると)に部屋に来て欲しい頼まれ、ロザリナ達を連れ戻し、シェシカ達に子供達の面倒を見るように頼み、5人で部屋へに集合した。


「おじい様? どうかしたの?」


「あぁ、お前たちには最後に色々話しておかなければいけないと思ってな」


「最後って――」


「あ、すまんすまん、言い方が悪かった」

「明後日にノモナーガに戻ると聞いてな、次にいつ逢えるかわからないから、今のうちにってことさ」


(……)


「もうっ、縁起の悪い事言わないでよ」


「ロザリナは心配性だね」

「それより話したいことが2つあるんだ」


 春斗(はると)は、まず、黒竜(ブラック・デンゴラド)の事について話し始める。

ルティーナ達もナガアキの件が片付いた後に、ゆっくり話を聞くつもりであった為、聞きたいことは山程、溜まっていた。


「封印されているのは、マコト君が知っている地名なら佐渡島だ」


(佐渡島……確かに、イスガの地図にもあったな)


「私に場所はよくわかりませんが、マコトは理解しているようなので大丈夫です」

「船を使うのですか?」


彼らは、船の移動は海の魔物との消耗戦になるため、あえてさけ、大陸側から徐々に海に向かって岩の漢字を繋いぎ半日かけ島まで道を作ったという。


(かなり手間だが、確かに漢字を使えば、魔力も体力も消耗しない)

(俺は八丈島とは違って佐渡島なら、陸地から見えるからルナに飛翔してもらい、ミヤの転移を考えたが、それが利用できるのならルナの体力が温存できる――)


しかし、マコトの期待とは裏腹に、春斗(はると)はデンゴラドを封印ときの火山爆発て、その道はおそらくなくなっているだろうと言われ、頭を抱える。


話を切り替え、ルティーナは黒竜(ブラック・デンゴラド)以外の(デンゴラド)の事を聞くことにした。


すると、春斗(はると)はルティーナが何を言っているのかわらず首をかしげる。


「その(デンゴラド)は、私達は知らないし遭遇もしなければ、被害の報告すら聞いていない」


「そうね、黒竜(ブラック・デンゴラド)が自分で唯一の存在だと言っていたわ」


(唯一か)


「ところでルティーナ、その赤竜(レッド・デンゴラド)というのは、どれぐらいの大きさだったんですか?」


「私達の3倍くらいだったから全長5〜6mぐらいだったはず」


春斗(はると)は、ルティーナ達の見た(デンゴラド)は別物だと語る。

なぜなら、自分達が戦ったデンゴラドは全長30m位はあったのだ。


(まさか、子供の(デンゴラド)だったって事?)


(兄者と言っていたから、それはない)


「ちょっと待ってくれ! アレの6倍も大きいのか? そんなヤツに、あたいの時間停止って効くのかよ?」


「僕達はあの巨体相手ですら、ほぼ斬撃が効かなかったのに……」


話しをしている内に、馬琴(まこと)は漢字での攻撃に不安を覚えた。


漢字は手のひらから対象物に転写してから触れたままでなければ、事象範囲を広げることが出来ず、そんな巨体に致命傷を与えられるとしても、最低でも5m以上の大きさにしなければならなかった。

そうなるとルティーナは6秒間手を放さずに触れていなければならなくなる。

仮にサーミャの時間停止が10秒通用すれば、発動までギリギリである。


しかし、実際戦ってもいない想像を超える相手を10秒止められる確証が無い状態では作戦がたてられなかったのだ。


それに加え、以前サーミャ達と魔法の実験した時、『クロノ・モラトリス』は連続して使えず最低でも5秒間のタイムラグが必要なことと、彼女も魔力では満タンの状態で5回が限界であった。


仮に、『デストラクション・シューター』で漢字を描いた手裏剣を射出するとしても、漢字が大きいと発射時点で目立つため、いくら高速弾だとしても避けられてしまう可能性も高く、当たったとしても間接的な爆発では硬度な外皮に阻まれる想像しかなかった。


「そ、そんな敵をよく倒せましたね?」


「結局は私たちの能力でも致命傷は与えられず、弱りきった所を長明(ながあき)の闇魔法で封印する方法しかなかったんだ」


「その詠唱ってのは? 闇魔法が使えりゃできるのかい?」


「いいや、あれはおそらく召喚された勇者だけに使える魔法だと思われる」


「?」


「そもそも、マコト君と私の『能力(ちから)』は、この世界には存在していないだろ?」


「それと同じ?」


「そういうことだと思う」


(ミヤが居ても、再封印は出来ないってことか……)


(それじゃ、私たちは倒しきるしかないってことね)


(…………)



 現実を知ったルティーナ達の顔色を気にしてか、春斗(はると)は2つ目の話に切り替える。


「私達からルティーナとエリアルとロザリナに伝授できることをしておきたいんだが」


「私、これ以上に強くなれるの?」


「……気休めかもしれないが」


「で、僕達は何をすれば?」


そうしてルティーナとエリアルは春斗(はると)から漢字を使う『能力(ちから)』の本質を、ロザリナは尼帆(まほ)から勇者が使える光攻撃魔法を伝授することになる。


「実際、手取り足取りはできないから座学になってしまうが許してくれ」


「いえいえ、お話が聞けるだけでも」



「光攻撃魔法かぁ? リーナ、それを伝授できたら、あたいと1戦やろうぜ!」


「ぷっ、相変わらずね。わかったわ! 怪我させても治してあげるわ」


「言うじゃねぇか?」


「「ふふふ」」


(戦闘狂は相変わらずだな)


そしてサーミャは長話になるだろうとシャルレシカを連れ、アンハルト達の手伝いに部屋を出ていく。



「さぁロザリナ、あなたはこっちに来なさい」


「はい、おばあ様」


「バルストさん、申し訳ないのですが、私を外へ連れていってもらませんか?」

「これからロザリナに、私の奥義を教えたいので」


そうして、尼帆(まほ)はバルストに抱きかかえられたまま、ロザリナと2人、孤児院の広場へ出かけるのであった。

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