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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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209話 策ト援軍

 シャルレシカは、『エクソシズム・ケーン』を使い広域索敵で、ロザリナの魔力をこめた杖を探そうとするが、今いる位置ではまだ見つける事ができなかった。

その代わりに10km範囲の索敵で魔物の存在位置を把握し、できる限り遭遇しないルートを選択し船を進める。


(……もう何時間経ったのかしら)


(まずいな、このまま進むと……星の位置からすれば東側に進路がかなりずれてしまう)


このまま直進すると八丈島の横をかすめ、そのまま大西洋に抜けてしまう可能性があった。

馬琴(まこと)は、どうすれば魔物に遭遇せずに西側に進路を寄せられるかを考えていた。


「なぁマコマコ、このままだと離れていくんだろ? あたいが一発でかいのを海にぶち込んでやろうか?」


「だめだよミヤ、そろそろ島が近いかもしれないんだから、ナガアキに接近を悟られてしまうわ」


「あぁ~一発でなんとかならねぇのかよ」


「とりあえず、あと少しだけ安全な範囲まで進んで、もう一回索敵して南西に進むルートを検討しましょう」


ルティーナ達は5km程進み、再度シャルレシカに索敵を行わせる。

魔物もそれなりに移動しており、西側の安全を確認した上で南西に舵を切った。

それを1時間ほど繰り返し、徐々に八丈島に近づいていくのであった。


モルデリド王国から出向して10時間程経過した頃、水平線が少し明るさを帯び始めていた。


すると――。


「見つけましたよぉ~リーナの魔力ですぅ! この先、真っすぐに9kmですぅ」


そして、馬琴(まこと)は行動を起こす。

サーミャにはハーレイの元へ一度転移するように指示した。

不思議そうな顔でサーミャは作戦の意図を問う。


「んっ、なんで親父なんだよ?」


「ミヤに魔力を補充してきて欲しいのよ」


「なるほどな! 今なら、あの役立たずは魔力が有り余ってるもんな」


「「「(酷い、言われ方……)」」」


「あと、何か私の武器になりそうなものを探してきて、木の板でもなんでもいいわ」


「わかった(っつっても、さすがにタリスさんとこに行ってる余裕はねぇし……何かあるかな?)」


しかしサーミャが居なければ船は操舵できないことは理解しており、戻ってくるまではこの場で魔物が迫って来ても凌ぐというのだ。

そしてサーミャが戻ってくれば、ルティーナはシャルレシカを連れて直接飛翔し、2人は一度安全なモルディナに戻り、合図したら自分の元へ転移してくればいいと伝えた。


しかし、サーミャとエリアルは自分たちだけ楽するのは嫌だと拒み、ここまできたらルティーナ達が上陸するのを見守ると言う事をきかなかった。


「わかったわ。もし30分経っても私から合図がなければ、作戦失敗とみなしていいわ」

「必ずモルディナに撤退して、私を召喚で連れ戻して」


「あぁ」

「ところで、島についたら合図はどうするんだ?」

「通話に使えそうな動物を、戻ったついでに持ってこようか?」


「大丈夫よ」


ルティーナはサーミャの手首に【かがやき】を描き、光ったら合図だと思ってほしいと伝えた。


そして作戦を理解したサーミャは、一旦ハーレイの元へ転移していくのであった。



 ――そしてサーミャが転移して数分が経過し、シャルレシカが索敵を再開すると、数匹の魔物が船の存在に気づき近寄り始めていた。

ルティーナはすぐに、船全体に【(かたい)】を2重と【(うかぶ)】を描き沈まないように強度を上げるのであった。

そして、ルティーナとエリアルはなんとか2人で魔物を退けならが、サーミャの帰還まで耐え凌いでいくのであった。


「だけど、ルナの浮く手裏剣は結構便利だね (僕にも水中に攻撃が出来たらいいのに……)」


「でも、予想以上に使いすぎたわ……弾切れよ」


(こんなに魔物が居るなんて思わなかったわ)

(最初っから船に手裏剣を積んでおけばよかったね)


「そいうえばルナ、もうすぐ日が明けてしまいますよ」

「ミヤはどうし――」


そんな心配をする中、ルティーナ達の目の前に黒い空間が現れたと思うと、ウエンディに連れられたサーミャが飛び出してきた。


「う、ウエンディ様ぁ?」


「はぁ~い」

「みんな~まだ怪我してない? 戦闘もできる回復師のご用命はないですか?」


「って! ウエンディ様はハーレイ様の介護を――」


ウエンディは、サーミャに魔力を使わせたくないと自分の転移で彼女を連れてきた。

一方、ハーレイはサーミャに回復したばかりの全魔力をすべて託し爆睡してしまい、つまらないとルティーナ達に借りを返す為にやって来たのであった。


「それとぉ、作戦は娘から聞いてるから、気をつけて行ってらっしゃいルナリカちゃん」


「娘とか言うなよっ! はずいだろ?」

「そもそも、また親父と結婚してねぇだろっ」


「え~っ、硬い事は言わないの」


(き、緊張感ゼロだな、ウエンディ様は……)


ウエンディは、サーミャからルティーナの作戦を聞き、上陸するまでの間、サーミャが無駄に魔力を使わせないように自分がその役を買って出たのだ。


「わかりました。とっても頼もしい援軍です」


「そうだハーレイ様が、これならルナリカちゃんが武器にできるだろうって、王宮からかき集めてきたから時間がかかっちゃったのよ、ごめんなさいね」


「!」


(おおっ、これは!)


(さすがハーレイ様。さすがモテるのおじさん代表だわ)

(マコトも見習いなさいっ)


(俺には誉美(ともみ)が居るんだから、今さらモテる必要ねぇよっ)



そしてシャルレシカをいつも様に小さく軽くし、ルティーナは懐に入れ朝焼けが広がる空へ羽ばたいていくのであった。


「それじゃシャルっ、案内よろしくネ」


「はぁ~い」



サーミャは『エクソシズム・ケーン』をウエンディに渡し、シャルレシカで杖が覚えた索敵をしてもらう。

するとシャルレシカまでは出来ないが、彼女でも常人が使う索敵より広いの500mの索敵が行えたことに驚くも、早速、四方から数匹のデクーシャが近寄っていると2人に伝えた。


「さぁみんなで、ルナリカちゃんの言っていた30分間、船を沈められないように耐えるわっ」

「みんなの攻撃魔法で殲滅よ」


「あぁ」

「はいっ (僕のは魔法じゃないんだけどね)」


 しかし、意気込んだ瞬間に船体が衝撃と共に大きく揺れる。――デクーシャが船体の後方に体当たりを仕掛けてきた。


「っぶねぇ! ルナが堅くしてなっかたらやばかったぜ」


「後ろ? 後方には魔物は居なかったはずよ……」

「そうか、平地と違って、海の上なんだから、深く潜航されればされるほど近くにいても500mから外れるってこと?」


「このままでは船に穴を開けられては沈没してしまうぞ」


「サーミャちゃん、杖を使って船の後ろを『スプラッシュ・バイパー』を操って渦で守って!」


「……(親父と同じで、いつも漂々としてるけど、こういう場面はしっかりしてるんだな)」


「エリアルちゃんっ、2人で飛び出るデクーシャを攻撃よ」


「はいっ」


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