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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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201/250

201話 光ノ秘密

 ルティーナとエリアルは、(デンゴラド)のリュウガと遭遇し対峙が始まる。

彼には『デストラクション・シューター』での手裏剣攻撃すら通用せず、対応に苦戦する。

そこへ――。


「お待たせっ! あたいも混ぜろよっ」


「「ミヤッ!」」


「長くもたねぇぞ、さっさとやっちまえマコマコっ」


 窮地に立たされたルティーナ達の元へ、最大の援軍サーミャが現れ『エクソシズム・ケーン』を使い『クロノ・モラトリス』を赤竜(レッド・デンゴラド)に放ち時間を止めるのであった。

しかし、計算通りであれば10秒の効果があるが、敵が敵だけに保証はない。


残り時間を警戒すると、馬琴(まこと)は、いくら動きが止まっていようと致命傷を与える武器がない以上、手段は1つしかなかった。


ルティーナは馬琴(まこと)に言われるがまま、リュウガの開いている口をめがけて、アジャンレで確保した爆弾に数秒で描ける【()】を写し投げ込み、うまく口の中に入った瞬間にリュウガは魔法から解放され、そのまま気づかずに爆弾を飲み込むのであった。


『なっ、何が起こった? むっ! 仲間が1人増えた? 黄金の魔女だと?』


「な、こいつ、喋れるのかよっ! (なんであたいの通り名を?)」


「こいつは意識に介入して会話してくるのよ!」


「意味がわからねぇ! もう一回止めるぞ――」


『(止める? そうか、さっき我は――)』


(いや待て! ミヤ、もう光魔法は使えないだろ!?)


(あ~! そうよ、来るときに使ったんだから、帰りの『ヒーリング・ストーン』使っちゃって! どうすんのよ)


「とにかく、ミヤは最大攻撃魔法の詠唱を始めてっ!」

「エルは防御に徹して!」


「「わかった」」



馬琴(まこと)はすぐさまリュウガの体内に放り込まれた爆弾に、仕掛けられていた5つの漢字を一度に解除し元の大きさに戻す。

体内からの爆発なら致命傷になるはずと、最後に爆弾にしかけた【()】をともした。


しかし爆発は起きず、リュウガは作戦指示の中核となっているのはルティーナと判断し、真っ先に始末することにした。


(ちょっとぉ! 爆発しないじゃないっ!)


予想外の展開にルティーナとサーミャはエリアルに守られながら、逃げ回るしかなかった。

この状況下でサーミャは、再び時間を止めると言い出すが、馬琴(まこと)に出来ないことをやりたがる意味がわからなかった。

だがサーミャはルティーナの指示を無視し、5倍の『クロノ・モラトリス』を放ちリュウガの時間を止めるのであった。


「どうして、3回目の光魔法が――」


(つ、杖が光った?)


「後で、説明してやるから、マコマコとっとと殺っちまえ! こいつにも10秒は有効なのはさっき実証したぜ」


()】では爆弾の起爆に威力が弱かった可能性を考え、もう一度、【(ばく)】を描いた爆弾を同じように口の中に放りこむのであった。


そして数秒後、リュウガが再び動き始めるが、今度は体内から鈍い爆破音が聞こえた。

強固の躰を誇っていたリュウガであったが、体内で発生した爆発に耐えられず、青い血を吐き崩れ落ち地面に横たわるように倒れた。


「トドメだっ! 5倍の『フィフス・エクスプロージョン』を食らいなっ」


 サーミャの放った魔法の弾速は遅かったが、動きが鈍っていた赤竜(レッド・デンゴラド)に当てるには十分であった。

そして魔法は胸に命中し、ルティーナ達でも貫通でいなかった皮膚を大きく粉砕した。

そこにエリアルはすかさず大剣を突き刺し『ソード・オブ・プラズマ』を発動させ心臓に電撃を打ち込むのであった。


――そして、リュウガは完全に消沈した。




「――はぁはぁ……ミヤぁ~私を置いていかないでぇくださいぃ~」


「転移で移動したら危ないから仕方ねぇだろ」



 ルティーナ達がリュウガと送風していた時、サーミャが書庫で調べ事をしている最中に、興味深い本を見つけ読み入っていた。

部屋の外で人形兵の様子を監視していたシャルレシカが、慌ててサーミャに声をかける。

普段は無索敵でも20m以内しか異変を感じ取れないシャルレシカでも、驚愕するほどの巨大な力に気づき、索敵をしたところルティーナ達と戦っていることを説明した。


サーミャは早速転移でルティーナ達を助けに行くと言い出すが、そんなことをしたら皆が地上に帰れなくなると、シャルレシカは冷静に止めようとしたがサーミャは本を突き出す。


しかしサーミャは現状を冷静に判断し、ルティーナ達が本当に危険な敵と対峙している所へ転移するのではなく、シャルレシカに合流場所までの道筋を聞き、走って現場に向かっていた。



「これがぁ……巨大な力だった魔物ですかぁ? あの時の砂漠で何度か遭遇したのと同じですぅ」

「でも今はぁ、風前の灯ですねぇ」


その時、心臓に致命傷を受けたリュウガは虫の息で死を待つのみであった。



『そうか、ほ、本当に、兄者達は倒されてしまったのか……』



「僕達、(デンゴラド)を倒したのか?」


「あたいらなら黒竜(ブラック・デンゴラド)の封印がとけても――」


(ミヤっ!)



『ぶっ、ぶははははぁは~っ!』



「! な、なんだよこいつ? 断末魔か?」



『そうか、兄者は復活するのか!』

『ぶはははっ~そうかっ』



「しまった!」



『しかし残念だったな、おそらく俺が一番弱い! 夢は見られたかな?』


「「「「「!」」」」」


(これで格下だと!? さらに強いデンゴラドが……)



『我は倒され……たが、お前らの勝利……は我の油断に……よる……ものだ。兄者……仇を……とって――ぶはっ』



「……」


「おそらく絶命しましたよぉ、ルナぁ」



 ルティーナはリュウガに手を触れ、万が一にも蘇生しないように【(かたい)】を全身を包み込むように描き、石造のように固めるのであった。

そして気がづくと、外でさ迷っていた魔物達は、元の人間の姿に戻り、笑顔で朽ち果てていくのであった。


「そうか、こいつが死んだことで息吹の呪いから解放されたんだね」


「よかった。やっと人間として死なせてあげられて」


「あと何匹いるのかわからないけどさ、デンゴラドってルナの武器でも撃ち抜けねぇのかよ?」


「こいつを倒せたのは奇跡よ。ミヤが時間を止められらなかったら勝ち目はなかったから――って、なんで連発できたのよ!」


「この『エクソシズム・ケーン』さえあれば、もう『ヒーリング・ストーン』がなくても大丈夫さ」


「「?」」


「ばぁばがぁ、ミヤにこの杖を託した未来はこのためだったんですねぇ」




サーミャが書庫で見つけた本には『エクソシズム・ケーン』の事が書かれていた。


――この杖は、試作品の自己学習する杖であったのだ。


主な使用者がサーミャが、『自分の魔法なら5倍に威力を上げられる』という効果を利用し乱用していたため、この杖はほとんどの攻撃魔法を学んでいた。

そのため、『知っている攻撃魔法なら、誰でも使える杖』として勘違いされていた。


だが『自分の魔法なら5倍に威力を上げられる』という効果は誰にでも適用するため、シェシカやロザリナに治癒で必要な時に貸していていたため、そういう物だと皆は刷り込まれていったのだった。


そう、この『エクソシズム・ケーン』は、シャルレシカの索敵、アンナやシェシカの回復、ロザリナの再生も学習していたのであった。



「――ということさ」


「そうか、つまり光魔法は回数制約も無く、ミヤの魔力で使えるんだ! それって最強の杖じゃないの!」


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