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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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200話 |竜《デンゴラド》ノ襲撃

 ルティーナとエリアルは聞いたこともない咆哮が響く中、後方を振り返ると全長5mほどあろう竜が飛翔していることに気づいた。

そして、その竜はルティーナ達を睨むように見つめていた。


「なに? あの魔物?」


(竜だ……俺の世界では架空の生物だ……本当に居たのか)


(それって、ハルトさんが封印したっていう(デンゴラド)なの? もう封印が解けてるじゃん)


(だが、名前の通り黒の竜じゃないのか? 赤い――)



『貴様らか……まだ、人間のままでいるやつがいたのか?』


「――喋った?  ムルシア語を?」


(え、ルナ、何が聞こえた?)


(え、聞こえなかったの?)


その竜は普通の会話ではなく、ルティーナ達の頭の中に直接語りかけていたのであった。


『まさか、我が息吹を浴びて魔物にならぬ者が……いや、それはない……我は感覚的に100年近く砂流に閉じ込められていたはず、つまり外からの部外者かっ』

『――ということは外に出る方法があるということだな』


(……あの時バルステンの道中で、シャルが砂漠の街道で気づいた大きな反応って、こいつだったのか!)


『ん、貴様ら2人しかおらぬのに、ほかに2つの意識を感じるぞ――』


「こいつ!」


『ところで貴様ら、さっき言ってた別の竜とはどういう意味だ?』


(! そうか直接語りかけてくるってことは、俺の考えも……聞こえてたのか?)


『容姿は小娘なのに……男の声? どういうことだ?』

『貴様に興味が沸いたぞ、名前をきいてやろう。我が名はリュウガだ』


「ルナ、あいつと何を話しているんだ?」


「相手は、私じゃないわ」


(俺は馬琴(まこと)だ! リュウガでいいのか? ここから外に出たいなら質問に答えてもらおうか?)


馬琴(まこと)は交渉を装い自分の疑問を投げかけ始めた。

おおよそ聞かれる内容はわかっていたリュウガは、半笑いながら話を聞いてやることにした。

そして馬琴(まこと)は、イスガに攻め込み国民たちを魔物にした理由を問い詰る。


『ふん、やはりつまらん質問だったな』

『我はこの世界を調べていた。そして初めて立ち寄ったこの国は、巨大な爆弾を作っていたとは』

『こいつらは危険な民族とみなし、兄者の言いつけの通り滅ぼそうとしただけさ……』


(兄者?)


だが城の上空をけん制しながら飛翔していたリュウガであったが、イスガ王の封印により空が砂に埋め尽くされ激しい砂流と砂圧にリュウガは巻き込まれ、身動きが取れなくなり流されるままに何十年も彷徨っていたのだった。


そして数か月前、突然、流砂が止まったかと思うといきなり岩と化し、閉じ込められたには変わりないが、体の自由が利くようになり、岩を砕き脱出してきたのであった。


(動いていたわけでなく、流砂に流されていたから、シャルは見失っていたのか)

(だが、俺達がこの国を封印してしまったから……結果的に助けてしまった?)


『そうか、貴様らのおかげで我は脱出できたのか! あははは』

『気が済んだか? 今度は我の番だな……ここから地上に出ることに協力するなら、命だけは助けやってもいいぞ』


(くっ)


『だが、おかしいな』

『我が居なくとも2人の兄者達ならば、地上は滅んでいるはず……』


(「達」だと? 2匹以上、地上に? そんなはずは――)


『やはり何か知ってるな……答えろっ』




『…………ぶっ、ぶははははっははぁ~っ! 小娘、何を考えているかと思えば……ハッタリか?』

『くだらん娘っ、貴様の思念を読めば――』


(えっ)


『――っ! 兄者が封印されているだと!』


(えっ? 今度はルナと会話を――いや記憶が読まれた?)



ルティーナから読み取った記憶に、同様するリュウガであった。

それが真実なら地上が無事だというのは納得できるが、黒竜(デンゴラド)がそんな簡単に封印されたことに納得できなかった。


『そ、そうか! 今度は、我を封印するために、ここに来たということかっ!』

『貴様らと戯れている場合ではない! 一刻も早く兄者を――』



馬琴(まこと)は、もう少し情報を得たかったが、戦闘になりつつある状況下で黒竜(デンゴラド)の前哨戦と位置づけ、『デストラクション・シューター』が通用するか勝負に出る。


『前哨戦……だと? ふざけたことを――死ねっ』


「(? ルナ、どんな話をしているんだい? あいつ、なにか口から――)」


「(エルには会話が聞こえてなあったの?)」


(……どういうことだ)



 その時、リュウガはルティーナ達に向かい火炎を今にもぶちまけようとしていた。

ルティーナは『デストラクション・シューター』の電極の準備が必要であったため、エリアルに防御をまかせるのであった。


――その瞬間、リュウガは火炎を放出する。

エリアルは大剣に氷属性与え、ルティーナと共に火炎からなんとか逃れるのであった。


そし反撃準備が出来たルティーナは、火炎が止まった瞬間にエリアルの肩に『デストラクション・シューター』を装着した右手を置き、リュウガに照準をつけ25cmの【(ばく)】を描いた手裏剣を撃ち出すのであった。


手裏剣が高速のためリュウガはかわすことができず腹部に命中した。

それを見た馬琴(まこと)はすかさず爆発させるも、ほとんど効いていなかったのだ。


『今の攻撃はなんだっ!』


(なんて固さよっ……あれ? 私の攻撃はバレてなかった? 思考を読めるんじゃ?)


(もしかして、意識に介入できるのは1度に1人なんじゃないか?)


『……』

『(くそっ、この娘の中で2つの意識がある……のはまぎらわしい! 何をしようとしているのか読めないっ? こいつらは危険だっ!)』

『(そうなると、そっちの娘も……)』


 ルティーナはあきらめずに、胴体でなく羽を狙って手裏剣を打ち込み続けた結果、リュウガはたまらず地上に降り、直接攻撃をしてきた。


しかし、地上に下りてくるのを待ちわびていたかのように、防御に徹していたエリアルは隙をねらって風の剣で切りかかり羽に傷を負わせるのであった。

リュウガはをかすめるようにエリアルに向かって火炎を放つのであったが、エリアルは再び大剣を凍らせ盾として攻撃を防いだ。


『く、くそぉ~っ! ゴミ虫共がぁ~っ! 調子に乗りおってからにぃぃぃぃ!』


 リュウガは弱点を隠す感じで羽を折り畳み攻撃対象にならないようにし、手や足、そして尻尾を振り回しながら2人を襲うのであった。

ルティーナはエリアルが凌いでくれている隙に、『デストラクション・シューター』の【(でん)】の大きさを50cm書き換え再起動し、さらに高速な手裏剣をぶち込むが大きなダメージは与えられていなかった。


「結局、羽ぐらいしかまともに斬れないのかっ」


『貴様ら、その程度で! 多少手加減してやったが、今度は、最大の火炎をあびせてやるわ』


(ルナっ!)


「エルっこっちに来て、城を後ろ盾にするのよっ」


『(ちっ、頭は切れるようだな……爆弾を盾に)』

『だが、そこの不可思議な攻撃をする娘、手数が減っているぞ……そうか、弾切れなのか?』


(うまく、人の心を読んできやがる……)


「(ルナっ、僕が連続攻撃を仕掛けるから! 策を練ってくれ!)」


『そうか作戦を考えるのは、その小娘なのか? もう1人は黙ったままだな?』


「今度は僕の意識が……」

「『ソード・オブ・ボルケーノ』っ!」

(【(ほのお)】)

「くらえっ、炎の刃っ!」


『(もう一人の思考が……ほのお? どんな作戦だ?)』


ルティーナがリュウガがエリアルに集中してる隙に『デストラクション・シューター』で【(ばく)】のクナイを打ち込むのであった。


『!』


(やはり、1人の思考しか読めないらしいな)


『舐めた真似を……だが、躰が温まって来たぞ』


(くそっ準備運動かよ)


『塵にしてくれ――……』


――その時、リュウガの動きが完全に止まった。


「なんだ、楽しそうじゃねぇか?」


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