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20話 魔法使イ ~其ノ壱~

ルティーナはドリネ達と再会し、任務が受けられない事情を説明した上で、うまく任務が受けられるように仕組むのであった。

案の定、ドリネがレミーナと薬草採取の依頼の仕事の段取りをしているところに、ルティーナが訪問しうまく初仕事を受けることができたのであった。

そしてルティーナは、『能力(ちから)』を使い薬草採取を始めるのであった。


 ルティーナは順調に『能力(ちから)』を駆使し、1日もかからないうちに必要量の薬草を採取してしまうのであった。

その効率っぷりにあきれるドリネ夫婦であったが、そのまま屋敷までもどり、翌日の昼にはギルドに報告するのであった。


「え……? ルナリカちゃん……。も、もう終わっちゃたのぉ?」

「いやいやいや……いくらなんでも、早すぎ――」


任務報告を受けたレミーナは、3日程かかる任務を翌日には完了してしまったことに、驚きを隠せず動揺していた。


「レミーナさん我々もびっくりですよ、2人が手伝ってくれたので助かりました」

「手数料を含めて金貨11枚、こちらにおいておきますね。それでは、かわいい冒険者さん達、ありがとうね! また頼むよ」



そしてドリネ夫婦は、ルティーナに相槌を打って去っていくのであった。

レミーナはルティーナに報酬の金貨10枚を手渡し、当面の生活がなんとかなったと安心して宿に戻ろうとしていたルティーナ達を制止するのであった。


「(ねぇルナリカちゃん……今、時間はあるかしら?)」


「どうしたんですか? レミーナさん小声で?」


「(ちょっと、大きな声で言えない話だから、こっちに来てくれる?)」


レミーナは、客室に2人を呼び出した。


「ルナリカちゃんってさぁ……ブロンダル程の冒険者を簡単にぶっ飛ばすし、鍛冶屋で新しい武器の商談はするし、宿屋の娘さんも助けたって話も聞いたわよ」

「さらには今回の案件も、いとも簡単に……」

「格闘家? 商人? 魔法使い? 薬師? ……本当に職がないの?」


「え~だってぇ、鑑定士のおじいさんがぁ~――」


「それは、そうなんだけどぉ(オリハーデさんが、こんな凄い素質を見落とすはすが……)」


レミーナはそんな2人を見込んで依頼したいことがあると、翌日の昼にここに来てほしいと伝えるのであった。

ルティーナ達は、それを了承し宿に戻っていくのであった。



 そして翌日の昼、ルティーナ達はギルドの客室に入っていった。

そこにレミーナは4人の冒険者――『碧き閃光』――というパーティーをつれてくるのであった。


「はじめまして、君たちがレミーナが言っていた冒険者さん達だね」

「私が(かしら)をやっている、アンハルト=オズール――金の剣士だ。そして左から……」


「俺は、グルバス=ブラウダ――金の武闘家だ」


「私は、シェシカ=アーベン――金の回復師です」


「私は、ヘレン=レルナード――銀の魔法使いです」



「え、あ……紹介に預かりました、ルナリカ=リターナ……しょ、職業無しですぅ――」


「((((む、無職ぅ~?))))」


「私はぁ~、シャルレシカ=ブルムダール――占い師ぃですぅ」


「……おいレミーナっ! どういうことだっ、占い師の子はいいとして、無職の子って?」


(すみませんね、無職で……)


「こらぁ! バカっ! 落ち込んじゃったじゃないのぉ――」

「ご、ごめんね、ルナリカちゃん……。こいつ、無神経で……実は、私のお兄ちゃんなんだ……」


「え、お兄さん??」



レミーナは、ルティーナ達の実績があるにもかかわらず冒険証のランクのせいで案件を得ることができないことを説明した上で、例の話をしてみてはとアンハルトに打診した。

状況を理解したアンハルトは、2年前の出来事を淡々と語りはじめるのであった。



 当時、『碧き閃光』は、剣士がアンハルトとヴァイス=クレッサという男、グルバス、シェシカ、それと魔法師サーミャ=キャスティルという女の5人で組んでいた。


事件はある盗賊団の捕獲案件を失敗してしまった事から始まった。

その時ヴァイスは盗賊団の罠にかかってしまい、彼を助けたいのであれば、シェシカにサーミャの使っている『エクソシズム・ケーン』というあらゆる魔法を誰でも使える杖を持って指定の場所に来いと脅迫された。

しかし、その話を聞いたサーミャは、皆が就寝している間に単身で指定場所に行ってしまったのであった。


彼女から詳しく聞いたわけではなかったが、ヴァイスが罠にはまった原因は自分のせいだと悔やんでいた。

ヴァイスとサーミャは翌年結婚する約束をしていたため、彼氏を助けたい一心で飛び出してしまったのではないかとアンハルトは思っていた。


サーミャの不在に気が付いたアンハルト達が、指定の場所に駆けつけた時には盗賊団の姿もなく、杖もなく、首をはねられたヴァイスの骸と、泣き崩れ戦意を失ったサーミャを目撃するのであった。


その時、サーミャは何故か綺麗な宝石がついた首輪をし、ひどく悲しい瞳で俺たちをみつめていた。

ヴァイスの遺体と傷心のサーミャを宿に連れて帰ったが、その後、彼女は何も語ることもなく、その日のうちに姿を消してしまったのであった。


 それから1年後、魔法使いとしてヘレンが入り、今は4人で活動を再開していると――。


「……そんな事があったんですね」

「二人は恋人同士だったんですね。さぞ、サーミャさん辛かったんでしょうね……」


(ここでも首輪かよっ――)


「で、レミーナさんは、私たちに、サーミャさんを探してほしいという依頼をしたいということですね?」


「察しがいいですね、ルナリカちゃん。その通りです」

「今までも、占い師を有する冒険者達に相談をしてみたのですが……全く、サーミャさんの足取りがつかめないんです」


 アンハルトから提示された報酬は、案件を受ける時に、『碧き閃光』の名を使っていいという好条件であった。

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