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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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198話 |蠢《うごめ》ク廃宮

 ルティーナ達は自分達が住んでいる世界が、馬琴(まこと)の未来の世界だということを知り驚愕する。

馬琴(まこと)はイスガに行くことができれば、書籍の事実と長明(ながあき)のアジトがわかると言うのだった。

 ルティーナは行ける理由として、以前サーミャが偶然、実在しないヴァイスを対象に『ディメンジョン・テレポート』が成立し墓の前に転移出来た話に疑問を持っていたことをみんなに話し始めた。


「もう亡くなっている場合は、その人の遺骨がある所――へ転移できるんじゃないかと思うの?」


「確かに出来そうだけど、転移の目印は誰に――」


「あそこにはぁ王様の遺骨がありますぅ」


「おい待てシャル、あたいは王様の顔なんて知ら――」


「……解りますよぉ、あの人ならぁ」


「「「「!」」」」


シャルレシカは自分の能力で、バルステンにいるミレイユの記憶から水晶に父親=イスガ王の顔を映し出せば、サーミャが転移に使えると。


しかし課題がもう1つあった。


「いやいや転移した途端、土の中は嫌だぜ」


イスガを封印した際に砂漠は大地となってしまったが、馬琴(まこと)はイスガ王国の城や街はそのままで、砂漠だった砂だけが固まっているのではないかと想像していた。


「なんでそう思うんだい?」


マコトはイスガ城の外に出た時の光景、空に砂が雲のように渦巻いていたことを踏まえると空で大地が固まっていると考えていた。

もしその大地が、空から地上 押しつぶしてしまうと、爆弾が大爆発を起こしてしまい封印の意味をなさないからだと。


「そうかあの爆弾は、昔にこの大陸をボロボロにしたカクミサイルってやつと同じなんだよな……そんな物が爆発したらタダじゃ済まないな」

「だけど、無事に行けたとしても何が分かるんだ?」


「あの時、私とリーナが飛ばされた、この世界の地図の情報がわかる部屋だったのよ」


「なるほど、そこなら孤島の場所がわかるか」



 そしてルティーナとサーミャは、一旦、ノモナーガで待つエリアルの元へ転移した。

そこにはブルデーノ王国のデモの事を知らせに来ていたハーレイが一緒に報告を心待ちにしていた。

とりあえず一緒にノモナーガ城に向い、ノキア王にブルデーノ王国のデモ鎮圧とその原因について報告し、続いて、アジャンレ村が襲撃されロザリナが再びナガアキに誘拐された件も報告した。


自分達は、これからイスガを再び訪問し大陸の詳細地図を入手して長明(ながあき)のアジトに攻め込みロザリナ救出と彼の確保を行うと伝えた。


馬琴(まこと)はあえて、この場では春斗(はると)達に出会ったと世界の真実の件は伏せるようにルティーナに指示していた。

今の時点で情報が漏れ、なんらかの方法で長明(ながあき)の耳に入るような事があれば、ロザリナの危険が増してしまうことを避けるためであり、この世界の成り立ちを説明するのは、今ではないと考えていたからであった。


とりあえずノキア王は状況を理解し、アジャンレ村復興の為に『バリア・ストーン』を2つルティーナに引き渡す段取りとなり、早速、倉庫からもらい受けた『バリア・ストーン』を手で持てるぐらいの大きさまで小さくし、アジャンレ村に持ち帰るのであった。



 アジャンレ村に戻ったルティーナ達は、すぐにアンハルトに『バリア・ストーン』を小さいまま引き渡した。

彼らに石は後ほど元の大きさに戻す前提での設置とアジャンレ村の復興作業を依頼し、自分達はその足でバルステン王国のミレイユの元へ、シャルレシカとエリアル、そしてシェシカを借り、5人で転移するのであった。



 久しぶりに故郷に戻りミレイユと再会したエリアルであったが、喜び合う間もなく彼女に事情を説明し、王様の顔を思い浮かべてもらうように伝え、シャルレシカに記憶を読み取らせてもらうのであった。


「これが、バルステン王か……覚えたぜ」


「ねぇ私までここに連れて来られた理由って? まさか……」


「よくわかってんじゃねぇか? シェシカ」


「……はいはいわかったわよ、確かにこの魔法の最大の欠点よね」


シェシカはロザリナの代わりに『ヒーリング・ストーン』をしぶしぶ充電を始める。


「エリアル、私はロザリナじゃないから充電に1つに10分ぐらいかかっちゃうわ」

「その間、ミレイユさんとお話しでもしてたら?」


「ありがとうございます。シェシカさん」



 『ヒーリング・ストーン』の充電が完了した後、ルティーナ達はシェシカを残しイスガに向かって転移を試みるのであった。

そして、たどり着いた先は――。


「げっ、真っ暗じゃねぇか?」

「しかも、酷でぇ腐敗臭がっ」


ルティーナは早速、地面に手をつき【(あかり)】と【(かぜ)】を描いた。

すると、辺りは明るく照らされ、風によって空気も循環された。

そこには広い部屋と荒れ果てた床が広がるのであった。


「そうだね間違いない! 僕とシャルが訪れた大量の遺体が安置されていた場所だ……そこに王様の遺骨があったんだ。そして、シャルに魔法で土葬してもらったんだよ」


そしてエリアル達に案内され爆弾があった場所まで進み、当時の脱出時に使ったルートで移動し、途中にある地図の部屋に転移した扉まで戻ることにした。


「しかし、本当にマコマコのいう通り、そのままの残っててびっくりだぜ」


「外はどうなっているんだろう?」


「魔物化した人たちは、可哀想だけど、事実を知らずにさ迷っているのかもね」

「ねぇルナぁ……外では何か動く気配を外から感じますぅ」


「やはり、生きているのね……空は砂だけが固形化したって言うマコトの想像は正しかったようね」


そして目的の扉に向かう途中でサーミャは天上が崩れ道を指さし、この先に書庫があると説明し二手に分かれて行動する事を提案した。


ルティーナはシャルレシカにサーミャの手助けをするように指示し、帰りは脱出した銅像のある部屋で合流する事にした。


そして、ルティーナとエリアルは地図の部屋へ、サーミャとシャルレシカは書庫の部屋にそれぞれ進んで行った。


「しっかし、あたいと人形兵との闘いで通路がめちゃくちゃだな……あの時に人形兵は壊してやったからこの通路の先には居ねぇはずだけど」


「さすがにぃ、私はぁ無機物の人形兵からはぁ悪意が感じ取れないんでぇ……」


「しかたねぇよ、とりあえず杖を持ってな」

「何かあれば頼りにしてるぜ」


 サーミャは塞がった通路に向かって、弱めに『アース・クエイク』を放ち地ならしを行い通路の岩を排除しながら前に進んで行った。

しかし、岩が開かれた通路の向こう側には人形兵がうごめき、サーミャと目が合うや否や襲い掛かって来た。


「げっ! こいつら、なんで動いてやが――いや、あの時、倒した人形なのか? だが破壊した痕跡が見当たらねぇ? どういうことだ?」


「ふえぇぇ~っ」


「シャルっ、水と雷で反撃しろっ」


 2人は以前の人形兵の攻略の手順でなんとか退けることができ、無事に書庫にたどり着くことができたのであった。


「まさか、まだ居たとは思わなかったぜ」

「あれは別物なのか? だが、あたいが前に破壊した奴らの残骸がなかった……つまりは時間が経って勝手に修復したってことなのか?」


「ミヤぁ、ここはぁ私が見張っておきますからぁ、調べ物をやってくださぃ〜」


「お、おう」

「(とは言うものの、部屋はさすがに滅茶苦茶だな……まぁ、あたいが最上級魔法をぶっ放しちまったからしょうがないか)


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