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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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196話 真ノ世界

 ついにルティーナ達は、過去に召喚され生き延びていた2人の勇者、春斗(はると)尼帆(まほ)に出会う事が出来た。

そして2人から衝撃の過去を聞かされただけでなく、ロザリナは長明(ながあき)の孫でなく、2人の孫であることがわかった。

それを知ったことで、一刻も早くロザリナを救出しなければならない事態に陥るのであった。

 ルティーナから長明(ながあき)が自分の孫と思い込みロザリナを誘拐した話を聞かされた2人は、ある1つの魔法が頭をよぎる。


「おそらく……イスガの本に記されていた、闇魔法の究極魔法……『ダーク・リージューヴィネイト』」


その魔法は、『直系の親族の生きた肉体』と『その大量の新鮮な血液』そして『満月の月光』の条件が揃えば、自分がその肉体に転生できるというものであった。


「つまりナガアキの孫でないリーナに、その魔法を使ったら……どうなっちゃうの?」


「おそらく、術が破綻し、2人共死ぬ……」


「でも春斗(はると)の面影があると気付いてしまったら……ロザリナが」


ルティーナは、ロザリナは春斗(はると)の面影より尼帆(まほ)の輪郭と色違いの両目が特徴がそっくりだと安心させる。

しかし、ロザリナの危険度が上がってしまった事には変わりがなかった。


「シャル、とにかくナガアキの居場所を……」


「う~ん、おそらくぅマホさんたちからぁナガアキの顔が解ると思うのですがぁ~……」


(そうか、わかっても80年前の当時の顔か……)


シャルレシカは、尼帆(まほ)の顔、つまり5年前の姿からこの場所を絞り込むまで2時間近くかかっていた。

そうなると80年前の姿から、長明(ながあき)を単純に16倍の時間で探せるのか保障がなかった。


(くそ、やはり例の作戦がはまる事を祈るしかないか……)


「でもロザリナが……最後に私たちの曾孫が生きててくれたことを、教えてくれただけでも嬉しいよ」


「でも、逢いたかったですね春斗(はると)――」



「絶対、逢わせてあげますから、最後なんて言わないで! あきらめないでっ!」


「もういいんだ。せっかく私たちに逢いに来てくれたのに申し訳ないが、そろそろお迎えかな……ここ数日眠くてしょうがない……」


「最後にマコトさんに、この世界の真実を伝えさせてくれないか?」


(この世界の真実?)



「――まず、ここから出ませんか? それからでも……」


春斗(はると)達はルティーナの提案を拒絶した。

自分たちはもう歩くことはできない上、再び暗殺部隊から逃げ伸びる生活をするぐらいならこのまま死なせてほしいと願った。



「ミヤっ、聞こえる?」


ルティーナは通信用の小鳥でサーミャに呼びかける。



「? ルナリカさん……俺の話しを聞いてますか?」



「どうした? こっちは近隣に残ってやがった魔物の討伐をして、村の復興中だぜ!」



「お願いがあるんだけど、お母さんに孤児院で2人用の寝床と流動食を用意してもらって、準備できたら『サモン・オーバーコール』で私を呼び寄せてくれない?」



「老人を見つけたんだな! あぁ、わかった」



「『サモン・オーバーコール』? それは召喚魔法じゃないか!」


「知っているんですか?」


「俺達をこの世界に呼んだ召喚士しか使えない魔法……そうか召喚士が存在するのか」


(?)


「それなら、安全に私たちを移動できるということだな」



「お~い! ルナっ、とりあえず寝床の準備はできたぜ! 詠唱するから準備できたら声をかけてくれっ」



「早いわね! わかったわ」

「シャルは私を抱きしめていてね、そしてお二人は私と手をつないでください」


「ちょっと待ってくれ! あそこにある本も持って来てくれないか? マコトさんに見せたいんだ」


「ミヤっ! もうちょっとだけ待っててねっ」

「ハルトさん、わかりました。シャル持ってきてくれる?」




 そして、4人はアジャンレ村の孤児院へと転送されるのであった。

ルティーナ達は春斗(はると)尼帆(まほ)をそっと着地させ、用意してあった寝床に寝かせるのであった。


「……かなり顔色が悪いですね……大丈夫ですか? もうすぐ食べ物ができますから――」


「(ハルトさん、今は、勇者の件は隠しておいてくださいね)」


「(あぁ)」


「お母さん、後はお願いね」


「(ルナっ、この老人たちは?)」


「(あとで説明するから、お願い)」


「(……仕方ないわね。わかったわ)」



動けなくなってから尼帆(まほ)の回復魔法だけで生き延びていた2人は、食事を与えられ少しつづではあるが顔色がよくなりつつあった。

少し元気を取り戻した2人は、馬琴(まこと)に伝えたいと言って、再びグラデスと出会った頃の話を語り始めた。



彼らは長明(ながあき)の洗脳魔法を解呪し、春斗(はると)の漢字で自分達にここで出会った場所の記憶だけ消し別れたのであった。

しかし自分たちに逢った記憶を残しておいたのは、もしかしたら長明(ながあき)に出会えるかもしれないと願っての行為であった。


そしてグラデスと別れた後、洞窟に戻ろうとした途中で1人の男の遺体を発見する。


それは春斗(はると)達に遭遇する前にグラデスが始末した男であった。


そんなことも知らない2人は、その遺体を土葬し去ろうとしたが不自然に落ちていた本を発見する。

後に知ることだが、その本はイスガの本であり殺されていた男のものだと。つまり、追われて殺される前に隠したのか落としたのかであろうと。



2人は本を持ち帰り、中身を閲覧するが、そこには衝撃の事実が記載されていた。


自分たちの居た洞窟は、数千年前の秋田県にある黒又山(くろまたやま)であった事を知り、この世界は自分たちのいた地球の未来……つまり異世界に召喚されたわけでなく、未来に飛ばされていた事を知るのであった。

そして、ノモナーガ王国は栃木県南部あたりである事まで――。



「アキタ? イバラギ? 何のこと?」


「マコトさんには解っているかと……」


(あぁ、俺の居た日本という場所の地名だ)


(え、ええ、えぇ? それじゃマコトは過去の人なの? 元々この世界はマコトが居た場所?)


(だが何かが違う……違いすぎる! 確かに日本は周りが海で囲まれた島だったが、他の大陸があるだろ?)

(それに言語が違う……わざわざ日本語を捨てないだろ!)



「なぁルナ? あたい達にも解るように説明してくれねぇか?」


「――」





「――そうか、ハルトさん達のいた過去から今が繋がっていたとは……」


「そうです。イスガには時間を操る魔法が存在します。召喚魔法はそれの応用、逆を言えば、元の世界に戻れるのではないかと……」


(それならミヤが居れば)


(そうよね、やったじゃないマコト! ついに糸口が見つかったわね!)


(そうだな、後は俺と誉美(ともみ)が外に出る方法……か)

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