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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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178話 老兵ノ登場ト反撃

 ルティーナ達がモルディナでノキア王救出の準備をしていた頃、ノモナーガ城の特設墓地では朝時(あさとき)が目的の第一段階を終えようとしていた。

『サモナー・ストーン』の破片の手元側を布で包んだまま、フェンガの遺体の顔に接触させると怪しい光とともに、朝時(あさとき)の体は水晶の中に吸い出されるのであった。


「ぶははははっ、やったぞ! 思ったとおりだ! この水晶をダブリスの体にぶっ刺せば、支配し完全に俺のものにできる!」


「貴様っ逃げられるとでも――」


「あたりまえだろ? ダブリスの身体能力と俺様の闇魔法がありゃこれ以上のものはないぜ! しかも、あいつらは戻って来れねぇんだからな」

「さらにはこいつは洗脳したまま、脱出できるまで利用しつくし始末してやるさ」


そして朝時(あさとき)は、ノキア王を連れ特設墓地を後にし、ダブリスを拘束している応接間に足早に戻るのであった。

応接間ではダブリスが気を失ったまま手足を拘束されうなだれている姿を目にした時、ノキア王はもう全てが終わってしまったと開き直り、朝時(あさとき)の行動を止めようとブランデァにしがみついた。

――たとえ首輪の『カース・ストーン』の条件が発動してしまって命を落とすと解っていながらも。


だがギルド長の名は伊達ではなく、体術であっさりとノキア王を床に叩きつける。


「あんた、首輪が怖くねぇのか?」

「って、残念だったな、それ、なにが条件か俺も知らねぇんだ! んじゃ、そこでゆっくり、俺様が降臨する様をおがんでな!」



そしてブランデァはダブリスの拘束具を外し、朝時(あさとき)の『サモナー・ストーン』を突き刺そうとした瞬間――。

ダブリスは、華麗に身を交わしノキア王の前に立つのであった。


「残念だったなタイヘイっ!」


「な、何故だ! 貴様は眠らせていたはず――」


「わたくしでございます」

「貴方を油断させるために一芝居打たせていただきました」


そこへ現れたのは、執事のデーハイグであった。

彼は、ブランディァが城に来た時から邪悪な黒魔法のオーラを感じていたが、ダブリスがなんとかするであろうと様子を見ていた。

しかしノキア王に『カース・ストーン』を装着し、ダブリスを拘束されたことが予想外であったため、一旦、ブランデァを野放しにし、部屋を出た後にすぐに彼を目覚めさせたのだという。

その後、すぐに2人を尾行し、何を企んでいるのかを理解したところでダブリスと反撃の機会を伺っていたのだ。


「おのれデーハイグ! てめぇっ! ただの執事じゃ――」


「俺も、さっき知らされたんだがな、このお方は元暗殺部隊の2代目の長」


「「!」」



 デーハイグ=グルシア。彼は70年前の15歳の時に暗殺部隊に入り、功績を積み上げていく中で能力の高さと思慮深さを評価され若くして2代目の隊長となる。

そして20年の月日が流れ3代目に隊長の座を引き継ぎ、自分は先代の王の執事として身の回りの世話をしながら護衛する役職につき今に至ると言う。


「たしかに暗殺部隊内はお互いの素性はできるだけ情報交換しない事を徹底しておったからな」

「世ですら父親から教えてもらってなかったが、助かったぞ!」


「しかし陰ながら王を守る身でありながら、爆破事件に続いて、2度目の失態を……本当に申し訳ございません」


「そんなことはどうでもいい! もうろくじじぃが、何もかも滅茶苦茶じゃねぇかっ」


ノキア王は我に帰り、ハーレイ達を急いで救出するように2人に命令する。

しかしデーハイグは笑顔で、全員無事だと伝える。


大広間の罠は、自分の息子のドグルスが当時、朝時(あさとき)に体を乗っ取られていたノキア王の指示で、賊が押し入った場合の備えという理由で作ったものであり自分も相談を受け仕掛けを共に作ったのだと語る。


「すぐに救出いたしますと、そやつが何をするかわかりませんでしたのでギリギリまで引っ張り、私が罠を停止いたしました」

「数人兵士が取り残されておりましたが、証言によるとハーレイ様の魔法で他の兵士といっしょに転移したとのことです。怪我人はおりますが死者はございません」


「そうか、よかった」


「はぁドグルスがお前の息子だと~、まさか召喚したときの水晶があれば誉美(ともみ)を吸い出せるって情報をふきこんだのも――」


「――左様で、ノキア王はあの爆破事件の後から、まるで別人でしたからね」

「私なりに色々調べさせていただきました」


「ちっふざけるなっ」

「(くそっ、暗殺部隊2人相手をブランデァでは……)」





 ――その頃ルティーナ達は、ハーレイに連れられサーミャが居る部屋に転移していた。

そして目の前のサーミャが黒い肌になり横たわり静かに眠っているのを見たルティーナ達は言葉を失っていた。


「く、黒い? どういうことですかっ」


「まぁ詳しい話はあれだが、簡単に言えば闇魔術が体に浸み込んでるって言った方がわかりやすいかな? あと3日ぐらいは目が覚めねぇだろう」

「後は俺が毎日、魔力を補給してやんねぇといけねぇんだがな」


馬琴(まこと)は早速、ヘルアドに城の索敵をさせノキア王がどこに居るかと、取り巻く気配を探らせた。

ヘルアドは先日、城に訪問していたことでノキア王とデーハイグには会って居たお陰で、より詳しい状況が得られたのであった。


「とりあえずノキアは、100m先の部屋におる様じゃの」


「それなら、応接室だな」


「ノキアの右には執事だったかの? ん? 気配はそのはずなんじゃが、なんだこの魔力は……あの時は気配を消しておったな?」


(デーハイグさんのことだよね?)


そして、ノキア王の左に大きな魔力の持ち主と、その3人に間をとって対峙する悪意が存在していると説明した。


「だが、なんじゃこいつ、ルナリカっお前と同じ感覚がするぞい」


「おい、ルナリカちゃん! それって――」


「えぇタイヘイですね。魂はフェンガさんの遺体の中でしぶとく生きていたということですね」


「それでブランディアを洗脳して……」


「あと1人は、ダブリスさんですね……でも、デーハイグさんも巻き込まれているのは想定外ですね」


「奴がノキア王だった時に、どれだけの人間に『ダーク・トランスファー』を仕込んでやがったんだ……」

「そういえば奴が集めた『サモナー・ストーン』は、ノキア王がルナリカちゃん達の今後の為に、倉庫に保存しておいたと言っていたな……石の中に戻って、またノキアになるつもりなのか?」



そしてルティーナとロザリナとハーレイは3人でノキア王の救出に向かい、ヘルセラはサーミャと居るように指示を出した。

ロザリナは早速、『シャイン・キャンセラー』を条件展開で、自分の周り半径30m内の闇魔法をで10分間封殺する詠唱を始める。


「リーナの詠唱が終わったら教えて!」

「準備ができたら、ハーレイさんが魔法で扉をぶっ壊して注意を引いてください!」

「私がブランデァさんを拘束します!」


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