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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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177話 再会ト依頼ノ中断

 ノモナーガ王国での異変の中、ルティーナとウエンディが手合わせを始める頃に話は戻る。

お互いが攻撃態勢に入った時に、割り込むようにウエンディの目の前に転移空間が発生し、その場の全員が戸惑うのであった。


ルティーナはサーミャが転移してきたと思い込み、迎撃しようとしたウエンディを制止する。

しかし、その空間から現れたのは、ハーレイと10人近い疲弊した兵士達であった。


「すまねぇウエンディ! 話は後だっ!」


「お、お前らっ無事か――る、ルナリカちゃんも居た! 俺はツイてる」


「なんで……ディメンジョン・テレポートを使えるん――」


「そんなことより、ノキア王が人質にされたっ!」


「な、なんですって!」


 突然、現れたハーレイ達に、その場に居た全員が驚愕するが、それどころではないとノモナーガ城で今、起こっていることを全員に簡単に説明し、1分でも早く救出をしなければならないことを必死に伝えた。


(ギルド長が謀叛を起こした……やっぱり絡んでいたのか)

(しかも、ノキア王の首に厄介なカース・ストーンを付けられてるとは――)



「はぁ、はぁ、はぁ――」


「? う、ウエンディ様? 体調でも」


「は、ハーレイ様~っ、我慢できませんっ」


いきなり、ウエンディはハーレイに飛び掛かり、押し倒し抱きしめ悶えるのであった。


「う、ウエンディさん?」


「私に逢いたくて、飛んできてくれたのですね。あ~ん、御会いしたくていつもいつも淋しい毎日をすごしてましたのよ」

「二番目の妻が無理なら、愛人でもかまいませんから――」


(なんなんだ、この展開……ついて行けない……)


「や、やめろウエンディっ (だから、会いたくなかったんだ)」

「とにかく、今は緊急事態なんだ! 俺の為なら、今、負傷してる兵士達を看てろっ!」


「は~い、ウエンディはハーレイ様の言うことならなんでもっ」


(え……扱い雑……つうかウエンディ様、軽っ)



馬琴(まこと)は何故、サーミャでなくハーレイが転移してきたのか悩んでいたが、サーミャは修行中で動けないため、同じ5属性の攻撃魔法が使えるハーレイが代わりに『ヒーリング・ストーン』を使い転移してきたと解釈した。

さっそく現状をふまえ救出作戦を考える間、ロザリナに充電をさせながら負傷している兵士の治療に協力させるのであった。


「ハーレイ様、私もウエンディ様のお手伝いしますが、とりあえすヒーリング・ストーンを充電するので貸してください」


「あ、さすがにわかってるな、済まないが頼む」

「ところでルナリカちゃん、申し訳ないが……」


「わかってますよ、今、この後のこの場の対応と救出作戦を考えてます」




「ねぇロザリナちゃん、ハーレイ様の2番目の妻は私ですからね! 若い子が相手だろうと、これだけは譲りませんよ!」


「(目が怖い~っ)」


「でも、どうやってここに来られたのか? その石に秘密がありそうですねぇ~ハーレイ様?」

「この件が終わったらゆっくり、私の部屋で将来も踏まえてお話しましょうねっ」


「(ハーレイ様っいきなり、転移魔法をバラしちゃってどうするんですかぁ)」


「(仕方ねぇだろ? そうしねぇと全滅だったんだよ)」


ルティーナはハウルセン王には一旦任務を離れる事について説明していたが、場の流れから取り残されたモルディナ王は不服そうな顔つきで様子を見守っていた。

馬琴(まこと)は、その様子に気づき、この事が原因で2国の国交に影響を及ばせてしまったかと不安に襲われる。


実はハーレイは30年前、モルディナ王国がグランデ王国だった頃、その魔法師団に所属していたのだ。

そして彼の魔法特性を買われ、当時8歳になるウエンディが同じ攻撃5属性の素質があった為、家庭教師も兼任させられていた。

それから7年後、同盟を結んでいたノモナーガ王国に出向が決まった時、同じ魔法師団に居たサフィーヌと結婚し連れていったのであった。

その翌年にサーミャが生まれた報告があるまでは、定期的に顔を出していたが、サフィーヌが死去して以降は、年一回の軍事会議以外は疎遠となっていた。


それ以外は、事あるごとに突然訪問してきては消えることを繰り返していたハーレイが、今回の大事を持ち込みながら、自分には一言もないことに対して思う所があった。

それに加え、ウエンディの気持ちも無碍にしている姿も気に入らなかった。


しかし、さすがのハーレイも空気に気づき、気まずそうにモルディナ王に報告をする。


「モルディナ王、ご、ご無沙汰しております。今回の転移先におられることを想定しておらず、挨拶が……」


「ふん、相変わらずガサツよの。ノキアも大変じゃろうて」

「まぁ、自分から挨拶に来ただけでも変わったのだな。しかし、ウエンディを頼って来るとはの……こやつももう40近い、そろそろ――」


「(こうなるから、避けてたんだよ!)一大事の中、不謹慎かと。この件が落ち着いたら――」


「そうか、ならよい」


「ハーレイ様、こちらの準備はできました」


馬琴(まこと)はハウルセン王達に、今回の件が終わるまでモルディナに滞在してもらい、事件の収集後は、転移魔法で安全にブルディーノに連れて帰ることを約束していた。

そして、ノキア王の救出作戦も考えていた。


「ところでミヤは、城に居るんですよね? それが前提になる作戦なのですが」


「それはそうなんだが、サーミャちゃんは今は昏睡と言うか? 儀式で起きられないんだ」


「そんな状態で、城に置いてきたんですかっ!」


「怒るなって、俺の秘密部屋でぐっすり寝てるし、気づかれてないから大丈夫だよ」


そしてハーレイは、ロザリナに充電してもらった『ヒーリング・ストーン』を胸に、ルティーナとロザリナとヘルセラの4人でサーミャを目印に転移する準備をすすめてた。

怪我人の介護はウエンディに任せ、完治後は自力でノモナーガに帰還するように指示を出した。


「しかしハーレイ様、無事な者だけでも一緒――」


「いや、またあんな罠があったら今度こそ全滅だ」

「それにルナリカちゃんの作戦は完璧だから、安心して戻ってこい」


「わかりました、ご武運を」


「それとウエンディちゃん、後は頼んだぜ」

「あと、戻ってくるとき、お前の所に行くから黒い空間が現れても騒ぐなよ」


「あら、さっきまで呼び捨てしてくれてたのにぃ~いけずですね」

「わかりましたわ! ちゃんとお風呂に入って、いけない下着を着けてお待ちしていますね」


(マコト、いけない下着? って何?)


(ぶはっ)


そして4人は全員に見守られながら、ノモナーガ城に居るサーミャの元へ転移するのであった。

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