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16話 無職扱イ

ルティーナとシャルレシカはノスガルド王国にある斡旋屋ギルドに冒険者登録に向かう途中、デーアベに襲われていたカルラをいう少女を助けた。彼女はギルドがある街の宿屋の娘と聞き、目の色を変えながらも一緒に街までたどり着くことができた。

そしてギルドでは紆余曲折ありながらも、鑑定士の老人により職業鑑定をしてもらうことになりシャルレシカの占い師としての高度な能力を見抜いたことで、自分はもっとすごいと自信をもちながら鑑定に臨むルティーナであったが……


レミーナ=オズール:ギルド受付嬢

挿絵(By みてみん)

カルラ=フレンス:ノスガルドの宿屋の娘

挿絵(By みてみん)

 老人は、見事にシャルレシカの適正を見極めていた。


後で知る話しだが、この老人の名前は、オリハーデ=メルトラッハ――鑑定士だ。

ギルドでは冒険者登録者の資質判定だけでなく、持ち込まれた物の価値や、呪いの有無を判定してくれる。

知識にないものまでは鑑定できなが、知識さえあればどんな物でも解る不思議な力の持ち主で、大陸では数人しか居ない人材である。



「さて、次は、ルナリカ=リターナちゃんかな? そこの水晶に手を添えてもらえるかの?」


(つうか、私は『ちゃん』かよっ)

(まぁどうでもいいわ。マコト……私ってとんでもない能力だから、水晶が爆発したりしたら笑っちゃうわよね)


(……ま、まさかぁ)

(それはそれで目立ったら困るぞ)


ルティーナは、オリハーデの言う通り、両手をそれぞれの水晶に添えた。

しばらくすると、左手の水晶がさっそく緑色に染まりはじめた。

しかし、最初は緑色に染まっていたが薄くなり始め、それ以上濃くならなかった。

そして、右手の水晶は何も変わる様子がなかった。


「…………」


(あ、あれ? これで終わり……どういうこと?)


 オリハーデは言葉を選びながら、資質がないことを伝えた。

ルティーナは、緑色に一瞬でも染まったことと自分は剣が使えると自負していたが、その緑色が薄いのも剣士としてのレベルでなく、魔力も皆無だとはっきり言われてしまう。


「こう言ってしまっては、傷つくかもしれんが、これでは職業登録は難しいな……」

「普通冒険者になろうとする者であれば、なんらかのとりえがあるもんなんだが……」

「だから、その……ルナリカちゃん、冒険者はあきらめた方が――」


「はぁ~~~っ? くそじじぃ~っっっ! ヤブかぁ? ヤブ鑑定士かぁ~? 私の実力も知らないでぇ――」


(あぁ~口に出しちゃったよ……)


暴言を吐き暴れるルティーナをシャルレシカは必死に止めようとする。


「本当にぃ~何もぉ無いんですかぁ~? ルナはぁ、ルナはぁ~本当にぃ~凄いんですてばぁ~」


「(く、くそじじぃって……) しかし、ルナリカちゃんや……ワシの鑑定に間違いはない! 何が凄いのか? わしには全くわからんのだよ……」


「うるさいっうるさいっ! もう1回だっ! もう1回挑戦させろ! じじぃ~っ」

「今度は、その鑑定水晶を爆発させてやるからっ!」


「え~い! さっきから、じじぃじじぃ騒ぐでないわっ!」

「というか、爆発させるとか恐ろしいことを……何を言っておるんじゃ!」


オリハーデに回数で結果が変わるものではなく、これ以上言うことを聞かないと冒険者登録をしないと釘をさされ落ち込むルティーナであった。


(落ち着きなよルナ、単純にこの『能力(ちから)』ってさ、この世界に存在してないから、鑑定しようがないんじゃないかな?)

(この『能力(ちから)』が、魔法でもない、説明できない不思議なものって、ルナが一番わかってるだろ?)


(……確かに。でも、このままじゃ、私……冒険者に――)


馬琴(まこと)は意外と冷静にオリハーデの言葉を理解していた。職業登録ができないだけで冒険者にはなれないとは一言も言っていないことをルティーナに説明し謝罪するように促すのであった。

そしてルティーナは言葉の意味も理解できず感情的に暴言を吐いたことを必死に謝罪した。

オリハーデも気持ちを察し、鑑定書の発行の手続きをするのであった。


(なっ大丈夫だろ?、相手の話はちゃんと聞きな)

(冒険者になっちゃえば、こっちのもんだからさ。職業なんて飾りだよ、俺が居れば問題ないっ!)


(マコトがそう言うなら……)


オリハーデは、職業が無いという現状は任務の権利が競合した場合、依頼者から見れば選択枝から外されることを忘れないように釘をさされるのであった。

そして我が孫を観るかのような優しい目で、困ったことがあれば相談にいつでも来るように付け足すのであった。

オリハーデから鑑定書を渡されたルティーナ達は、笑顔でその場を去るのであった。


「(10歳も満たない子が、なんで冒険者に……)」


――オリハーデは後で、レミーナから19歳であることを聞き、寿命が少し縮むのであった。



 受付に戻った2人は鑑定書を見せ、冒険者証の発行をお願いした。

受付嬢はルティーナが巨漢の男を吹き飛ばした経緯から、きっと格闘家ではないかとドキドキしていたが、職業鑑定の結果に唖然としていた。


「あ~お姉さん……、職業の適正が無いのに、なんで冒険者になろうなんてって思ったでしょ?」


「あ、あははは……ごめんなさい。そんなつもりじゃ……(この子、鋭いわね)、すぐに発行するから10分だけ時間をちょうだいね」


(これで私も冒険者の仲間入りね!)

(さて、とりあえず登録できたら、早速、さっきの肉団子、シメていい?)


(肉の塊じゃなかったっけ? 大人になろうよ……)


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