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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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158話 幻夢崩壊

 ルティーナがノキア王と対峙が始まろうとする中、サーミャ達を襲撃するフェンガであったが、ハーレイにより迎撃される。

フェンガは自害することを決めるが、ダブリスに負荷を賭けないため彼らを巻き沿いにする作戦に出る。

しかしハーレイに読まれており、全魔力で敵を金縛りにする魔法『ディメンジョン・コフィン』により全ての武器と自害する自由さえ封じるのであった。


 サーミャ達は拘束したフェンガを一旦そのままにし、先に進むことにする。

しかしハーレイは先に受けていた怪我と全魔力を使い切り、フラフラになっていた。


「はぁ~っ? (ちったぁ尊敬したのに)めんどくせぇやっぱこいつ、エル、捨てていってい――」


「あとで、あの技の詠唱を教えてやるからさ~」


「あたいは闇魔法は使えねぇっつうの(でもこんな馬鹿親の闇魔法の血は引いているんだから……いずれは)」


「まぁまぁミヤ、僕も手を貸しますから見捨てないであげましょう」




 ――その頃、ルティーナはダブリスと戦闘を始めるのであった。

ダブリスは黒魔法が封じられている為、姿も消せずに戦わなければならず、狭い地下通路では自慢の高速移動もつかえなく完全に不利な状況であった。


「ルナっ、私の新魔法で、まだ10分ぐらいはこいつの闇魔法を封印しているから思いっきりやっちゃって!」


「(助かった、なら10分逃げ切れば……)」


「さすがリーナっ! 3分で片付けるわっ」


「なめた小娘めっ! 3分だとぉ~っ! 武器もないお前など闇魔法が使えなくとも!」

「(こいつの手の動きに注意すれば……)」


ルティーナは、自分を拘束していた鎖を持ち出していた。

鎖には漢字が書かれており、ダブリスにはその模様がなんらかの効果が発動することはわかっていた。

朝時(あさとき)は漢字が読める為、効果を予想してダブリスに叫び伝えるのであった。


「ダブリスっ! 油断するなっ鎖は伸びて鞭のようになり、おそらく接触するときに爆発が起こるぞっ」


ロザリナは、このままではルティーナが不利になると悟り、不本意ながらノキア王を完全に気絶するぐらいに腹部に拳をぶち込むのであった。


そしてルティーナは、漢字の効果がバレていることも気にせずに、鎖に描いてある【(のびる)】【(しなる)】を『起動(きどう)』し鞭のようにし振りかざすのであった。


「ようは、当たらないようにすればいいんだろ?」


「そうね、目を離さないことねっ」


高速で自由には動き回れないダブリスではあったが、鞭の攻撃を交わすぐらいの速度は出せ簡単に交わされてしまう。

そのうちに距離を詰められ始めるが、突然、鎖の先が輝きだしダブリスは鎖の先を注視しすぎていたため目が眩まされ、鎖が直撃し爆発に巻き込まれるのであった。


「ぶはっ! 話が違う……」


「残念ね、ノキアが漢字に気付くことは解っていたわ!」


馬琴(まこと)は、朝時(あさとき)が漢字を理解することを承知で、鎖の先に【(かがやき)】を描きその上に2重描きになるように【(ばく)】を描いていた。

それにより朝時(あさとき)は、見えなかった輝く能力をダブリスに伝えられなかったのであった。


(ルナっ、急いであいつに触れるんだ!)


馬琴(まこと)はダブリスに自害させないように、【(かたい)】を描き全身を包み込んで硬化させた。

ロザリナは、ルティーナに『シャイン・レストレーション』を使い、右腕の怪我を治療するのであった。



 すべてが終わったところへ、サーミャ達も合流する。


「お~ぃ! ルナぁ~っ! 無事……か」


「ミヤっ来てくれたのねっ」


「あぁ、証人も連れて来た…ただ、今、目が見えないから、クソ役にも立たねぇけどな」


「サーミャちゃん、それは言わないでくれ」


「誰?」


サーミャは紹介を渋っていたため、エリアルがハーレイのことを説明したのであった。

ルティーナはサーミャの父親が魔法師団長であったことに言葉を失う。


「本当に拘束されていたのか……無事でよかった」


「おぃ親父、それリーナだから……さっき一緒に居ただろっ! 全然見えてねぇじゃねぇかっ」


「目は大丈夫なんですか? 私が……」


「――いや無理だ」

「『ヒーリング・ストーン』で応急処置をしてもらったけど、もう20分ぐらい経っちゃってるからさ……」


ロザリナも時間が経過しすぎている怪我には『シャイン・レストレーション』の効果はないことを悔やんだが、ハーレイは時間が経てば見えるようになると安心させる。

そして残った魔力は、気絶させているノキア王の治療に使うように指示した。


「そうしてやってくれ、こいつはそう簡単には死なねぇさ」


「酷いぞ、サーミャちゃん」



 その後、ロザリナはノキア王を治療し、数分後、彼は目を覚ました。


「なっ! 怪我が治ってる?」


「やっと起きたわね。でも拘束してるから何もできないわよ」



朝時(あさとき)の目の前は、シャルレシカを除く『零の運命』と、ハーレイと拘束されたダブリスとフェンガが床に転がっていた。


「さぁノキア王…いいえタイヘイだっけ? 説明してもらうわよ」


「タイヘイってなんだ? ノキア王のことだよな? ルナリカちゃん?」


ルティーナは、その場に居る全員にノキア王の正体を、朝時(あさとき)と暗殺部隊の前で説明を始める。


「ハーレイっ……騙されるでないっ! すべてはそいつらが仕組んだ謀反だぁ! 私を信じ――」


「わかったわかった、もういいぜ偽の王様よ」

「闇魔法以外で、直接本人を乗っ取るなんてな」


「(くそ、あの馬鹿2人とも……役立たずめっ)」


「あなたの野望は潰えたのよ、あきらめなさい」

「んじゃ、体に聞きましょうか?」


「はっ? え、ルナリカちゃん? なななな」


「馬鹿っ」


「痛っ! 頭怪我してんだぞっ殴るな」



 ルティーナは、ノキア王の上着をはぎ取り左胸下あたりにある大きな傷跡をさらけ出した。


「これね、王都爆破事件の日に追った大怪我っていうのは」


(ここに水晶の破片が埋まってる……そこに朝時(あさとき)の魂が居る)


「どうするんだ? あの時のヘレンの体から石を取り出した時のように、王様にもやるのか?」


(そうしたいが……リーナの魔力はほとんど残ってない)


「それだけは、やめろ~っ!」



「……ルナリカ、殺そうとした奴が恥を忍んで頼みたいことがある。聞いてもらえないだろうか?」


「! なによ、ダブリスだっけ? タイヘイは助けてあげないわよ?」


「いや違う、俺も真実が知りたい……やはり、こいつは俺の知っているノキアではなかっ――」


「貴様、裏切るつも――」


「おやおや~? ノキア王、今、裏切るとか言っちゃったねぇ?」


「くっ」


(なんだ、このハーレイさんって……軽いくないか?)


「ノキアは8年前まではこんな性格じゃなかった……あの事件以来、別人の様になり鬼畜な命令が多くなった違和感があったんだ」

「原因がその傷にあるなら、手伝える事がある」


ダブリスは、ロザリナの魔力補給に自分の懐にある『マジック・ポーション』を使う事を提案した。


「あんな貴重なもんを持ってるのか? しかし、その格好じゃな」


(『停止(ていし)』っ)


(え、いいの?)


(たぶん、こいつは自害も悪さもしないと思う)


「か、体が動く……俺の言うことを信じてくれるのか?」


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