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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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155/250

155話 正体判明

 エリアルとハーレイはダブリス達の罠にかかり地下通路に閉じ込められる。

そして最悪なことにハーレイは爆発時の瓦礫の破片で頭部を強打し一時的に失明してしまう。

脱出に時間がかかると思われたその時、転移してきたサーミャが合流する。

転移魔法の事を知られたくなかったサーミャは、一刻も争うハーレイの治療に、最後1回の転移に温存していた『ヒーリング・ストーン』を治療に使う。

そして3人はなんとか封鎖された通路から脱出し、ロザリナを負い始める。

一方、ロザリナは闇魔法使いからの不意打ちを避ける為、シェシカから伝授した『シャイン・キャンセラー』を展開し、今そこにいるルティーナの元へ急ぐのであった。

 ――話はサーミャ達が城に潜入する前まで遡る。

地下室でルティーナと馬琴(まこと)は、謎の男の問いかけに戸惑っていた。


(ねぇ、この声って王様じゃない?)


(確かに聞き覚えが……こいつ、ルナの中に誉美(ともみ)が居ると思っているのか? それともルナ自身の事を?)


「まだ起きていないのか? あいつら、どれだけ睡眠薬を飲ませたんだ? クソ共が」

「なぁ、誉美(ともみ)っ目を覚ましておくれよ」


馬琴(まこと)はノキア王の言動に違和感があった。

それは、ルティーナのように自分の意識が共存しているのなら、その人物はルティーナ本人の意識から出る言葉であるが、ノキア王は本人の言動ではないと……。


「まぁいい、まだ眠っているなら、とりあえずあれを持ってくるか?」


そう言葉を残し、ノキア王はその場を一度去っていくのであった。


(どっかに行っちゃったみたいだね。一体どうしたんだろう?)


(……あれは、まさかノキア王自身を乗っ取ってるのか?)


(げっ、やめてよ! そのうちマコトが私を支配しちゃうってこと? エッチ!)


(なんでそうなる!)


そして、数分もしないうちにノキア王があるものを手にして戻ってくるのであった。


「この小娘の中に封印されているのか? ドグルスの情報通りなら、この集めた水晶の欠片のどれかが抜け殻のはずなんだ……」


(抜け殻? 水晶の欠片?)

(くそ、せめて視覚情報がほしいな……)


ノキア王は、10数個ほどある水晶の破片から1つを取り出し、ルティーナの額にあてる。

あまりにも予想外の出来事に、ルティーナはつい声を出してしまう。


「きゃっ」


その声に、いやらしい笑みを浮かべるノキア王。


「なんだ、起きているじゃないかっ」

「それなら話が早いっ、君は誉美(ともみ)なのかい? それとも――」


「な、あんた誰よっ! と、トモミってなによっ! 私はルナリカよっ!」


「やはり俺と同じではないのか…‥ドグルスの予想通りか、こうなったら外に出てきてもらうよ誉美(ともみ)~」


(! ど、どういうことだっ)


(外に出てきてって、マコトを追い出せるの?)


(お、追い出すなよっ)


ノキアは、ルティーナの額に水晶の破片をあて、しばらく様子を見ていたが何も起こらないと判断するやいなや、次の水晶の破片をあてがい繰り返していた。


「さぁ、8年もかけて集めた粉々になってしまった『サモナー・ストーン』、誉美(ともみ)はどの水晶に居たのかな?」



 ――お前の怪しい力も納得できたぜ……お前、最後の『サモナー・ストーン』の破片を持っていたのか――



(スレイナの捨て台詞はそういうことか、わかったぞ! それで水晶の破片をノキア王が集めていたのかっ)

(しかしやばいぞっ、その話が本当ならルナが触った水晶を額に当てられてしまったら……)


(このままだとマコトが消えちゃう?)


ルティーナは、水晶の破片からおでこをそむけようと必死にあがくが、無駄な抵抗であった。

しかしノキア王は集めた破片すべてに触れさせたが、想定していたことは起こらなかった。


「な、何も起こらないじゃないかっ! ドグルスのやつ……偽情報かっくそっ」

「くそっ、確かに水晶の形にすると俺のを除けば、あと1つか2つ足りない……それだったのか?」


(トモミさんの水晶ってイスガの砂漠に埋もれて……私が触れた石も、結局誰にも見つけられていないってこと?)


「もしかしたら、俺と同じ体内にあるのか?」


ノキア王は、ルティーナを拘束している鎖を緩め、服に手をかけ脱がそうとする。


「きゃ~何をすんのよっ変態っ」


「うるさいっ、ガキの体には興味ないっ、俺は、誉美(ともみ)に用があるんだっ」

「このガキの中にいるのなら聞こえているだろ? いま外に出してやるからなっ」


「なんで、それと私を脱がすのが関係すんのよっ」


必死に抵抗するルティーナであったが、大人の腕力には逆らえず、服を破かれてしまう。


「お前のからだにも水晶の破片がささってるんだろ! それだけ確認するだけだっ」


(お前も? どういうことだっ)

(そう言えばバルストさんが、以前、王は召喚の最中に大爆発に巻き込まれて重症を負ったと言っていたが……まさか、ノキア王の体にその時――)


ルティーナは身の危険を感じ、とっさに芝居をうつ。


「わかったわよ! 正直に言うわよ! 私には水晶の破片が刺さってるから、これ以上やめてっ」


「やっぱりそうか!」


「なんで私の中にトモミさんが居ることを知ってるの? あなたは誰?」


(身の危険を感じて、直球を投げたな……ルナ)


(私がやるしかないんでしょ、さすがにこれ以上は触られたくないわよ)


ルティーナの機転とも知らずに、ノキア王は服を脱がすのをやめ必死に謝罪した上で、自分と一緒に勇者召喚されたと言い出す。


「……俺だよ太平(たいへい)だよ、太平(たいへい) 朝時(あさとき)だよ」


(げっ! 太平(たいへい)だと?……こいつが王を乗っ取ってやがったのか?)


(知り合いなの?)


(あぁ……俺が先生をしてたって言ってたよな。こいつも政治経済っていう分野を担当してた同じ高校の先生なんだ)


(政治って、国を良くするためにいろんなことをするやつ?)


(まぁそんなもんんか)


「トモミさんが、あなたもこの世界に居たことに驚いておられますよ」


「そうか、長かったぁ~俺は8年前から君がこの世界に居たことを知っていたからな」

「この世界には、里見(さとみ)は居ないんだ。俺たちで――」



(俺は居ないって? 何か確信があるのか? こいつ――)



 ドゴ~ンッ!



「な、なんだ! 今の音は……ば、爆発音か?」

「(誰だ邪魔をするのわ!)」


(マコト、今のは?)


(きっと、サーミャ達が来てくれた?)


「くそっ、ダブリスっ! ダブリスはどこだっ!」


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