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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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154話 親子喧嘩

 エリアルはハーレイの大技を防ぎきり、彼は納得した上で牢屋までついていくと言い出す。

一方、サーミャはヘイガルを力でねじ伏せたが、シャルレシカが捕まってしまい、逆に拘束されそうになるが、使えもしない『ダーク・バニッシュ』を叫びつつエリアルの元へ転移するサーミャ。

姿を消した彼女はその場に居いると思わせ、近衛師団を撹乱させるのであった。

しかし、ロザリナとエリアルとハーレイは謎の爆発に巻き込まれる。

 ノキア王の元へ向かう途中、ダブリス達はエリアルとハーレイの対決を静観していたが、ハーレイが降参する姿を見るやいなや、フェンガは全員に悟られないように、2人の両脇と魔法師団待機する場所の天井に向けて爆弾を投げ込んでいた。


「「きゃぁつ~」」

「うわ~っなんだっ」


ロザリナは、瞬時に身体強化で瓦礫の向こう側へ飛び出しかすり傷で済み、自動回復もあり大事に至らなかった。

しかし、崩れた瓦礫の向こうがどうなっているか解らない中、エリアルの声が聞こえた。


「リーナっ! 無事ですか?」

「僕のことはいいから、先にルナの所に行ってくださいっ」


「わ、わかったわ」



ダブリス達はこのままだと都合が悪いと、手を出すつもりはなかったが3人を通路に封じ込めることにした。

だが、ロザリナだけ難を逃れていたことに気づいた。

さすがの爆発音に、ノキア王が異変に気づくと思うも、2人は隠し通路から地下室に先回りをすることにした。



「――レイ様、ハーレイ様、大丈夫ですか?」

「あぁすまねぇなエリアルちゃんっ、この大剣の盾が無かったらただじゃすまねぇところだったぜ」

「つか、ハーレイでいいよ」


「(ミヤと居るのと変わらないな)」

「いえいえ、偶然ですよ」


「しっかし、誰だ……こんな事をしやがったのわっ」

「(さっき言ってた、誘拐犯の闇魔法使いの仕業か?)」



「「「ハーレイ様~っハーレイ様っ」」」


「うるせぇ、俺は……無事だ騒ぐなっ」

「誰か、対策室へ『侵入者は無実、地下4階にて異変あり、こちらで対応すると』と状況報告と入れとけっ」

「残った奴等は、そこで待機だっ! それと瓦礫を何とかしろっ」


「報告の件、了解しました」

「しかし瓦礫の件ですが、こちらは不運にも土魔法が使える人材ばかり怪我をしており……」


「はぁ? そんな偶然があるわけ……これじゃぁ脱出できね~じゃんっ」

「しかたねぇ、怪我人を介抱してろっ」


「わかりました」



ハーレイの嫌な予感があたったことに、素直にエリアルの言うことを受けいれていればと謝罪をした。


「いいんですよ、解ってもらえたら……でも、土魔法ならハーレイさんが」


ハーレイは、爆破の瓦礫が頭に直撃してしまい一時的に失明していた。

明かりがない場所の為、何が起こっているのかわからなかったエリアルであるが、ハーレイに触れた瞬間、ぬるりとした液体の感覚を覚える。


「こ、これは血? ハーレイさ――」



――その瞬間、エリアルの前に黒い空間が現れ、サーミャが飛び出してくるのであった。


「あっ? エルすま――」

「く、暗っ! 何処だよっ。状況はっ……」


「ん? そ、その声はバカ娘かっ!」


「えっ、まさかそこに居るのは……お、親父っ」


「それはこっちの台詞だっ、こっちは瓦礫で閉じ込められてるはずだぞっ! どっから湧いて出たっ?」


「(やべっ、バレてはないか……こいつにだけは知られちゃ行けねぇ)」

「あぁ~うるせぇうるせぇ! 人を虫みたいに言いやがって」」

「エル、そいつ、ぶん殴って気絶させておいてく――」


「駄目だよっ、お父さん頭を強打しているみたいなのよっ一刻も早く治療しないと」


「!」


「親子喧嘩してる場合じゃないんだっ」


エリアルは2人を仲裁した上で、今の現況を説明した。

ロザリナが1人で向かっていることとこの現状に、闇魔法使いが動き出したと焦りを感じたサーミャであった。


だが、サーミャは残り1回の転移で3人でロザリナの元へ飛ぶ選択肢があったが、魔法のことを知られたくないと『ヒーリング・ストーン』をハーレイの治療に使うのであった。


「なっ、これは……治癒魔法? お前、光魔法が使えるのか?」


「んなわけねぇだろ? 攻撃系以外、素質がねぇっつったのはあんただ!」

「これは『ヒーリング・ストーン』っていう『キュア・ヒール』が使える石さ」


「そ、そうか……あ、ありがとう」


「背中がかゆくなるからやめろよ」

「その代わり、どうやって、ここに来たかは詮索すんなよっ……これでチャラだぞ」


「ぷっ」


「なんだよっエルっ」


「いいや、親子だなぁと思ってね」


「うるせぇ、放置して死なれたら後味が悪いだろ」

「それに、着いてきてもらって証人になってもらわねぇといけねぇからな」


「サーミャちゃんは昔っから照れ屋だからな……そう言うことにしといてやるよ」


「(くそっ、放置しとけばよかった)」



サーミャは、小さな『フレイム・インボルブ』を放ち灯り代わりにして、通路の方向を確認した。

そして、『アース・エンベッド』で土砂を溶かそうとしたが、ハーレイに止められる。

そのまま使うと、この老城の城壁とさらに崩れそうな天井が危険だ指摘し、周りを氷魔法で固めることを指示した。

ハーレイはエリアルに肩を貸してもらい、天井の方向に『フリーズ・ゲージ』を放ち崩壊を安定させ、その隙にサーミャが土砂を溶かし、3人は無事に外に出ることができた。



「(……)」

「さぁ、リーナに追いつくぞっ」

「もう怪我はだいぶ治ったろ? 親父も行くぞっ」


「あぁ痛みはなくなったが……」

「ぼやっと見えるようにはなってきたんだが、目がまだ前がはっきり見えんのだ」


「まったく、しかたねぇな親子喧嘩は一時休戦だ。肩を貸すからつかまれ」


「あぁ、すまないっ」


「(なんだかんだ、いい親子じゃないか)」



 そして、3人はロザリナ後を追いかけるのであった。

その頃、ロザリナは地下4階の階段に差しかかろうとしていた時、『シャイン・キャンセラー』の準備をしていた。

ロザリナは地下を移動する際に、大体の奥行きを感覚的に図っており、とりあえず20mの範囲と30分の効果と黒魔法全般を対象とする詠唱を始めた。

数秒後、魔法がロザリナを中心に展開される。


「思ったより魔力を持っていかれちゃったわ……もう少しだけ待っててねルナ」


そして、ルティーナが捕まっている部屋に近づくのであった。

ダブリス達がそこまで迫っていることも知らずに。

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