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15話 斡旋屋《ギルド》へ

前章までのあらすじ


崖から転落し7年間意識不明だったルティーナは、奇跡的にも目を覚ました。

彼女の意識の中には馬琴(まこと)という現代で古典の高校教師をしていた男の意識が入り込んでいたのだ。

ある日のこと父親の任務に同伴していたルティーナであったが、父親暗殺の事件に巻き込まれてしまう。

だが、馬琴(まこと)は漢字をルティーナの手を介して具現化することができ、その力で事を未遂に終わらせることができたのであった。

ルティーナ達はとりあえず、旅路で出会ったシャルレシカの故郷のアジャンレ村に身を隠すことにするのであった。


 バルスト暗殺未遂から一ヶ月経過し、アジャンレ村に逃亡していたルティーナ(と馬琴(まこと))とシャルレシカだが新たな目的を建て、ノモナーガ王国のノスガルドという街にあるギルドに向かう旅をしていた。

その道中で、森でデーアベに襲われてい少女カルラを助けたのであった。

ルティーナはその少女がノスガルドにある宿の娘と聴き、怪我をしていたこともあり一緒に連れて行く事にするのであった。内心は悪い事を思いつきながら。


「あれがノスガルドなのね~。初めて来たよ~」

「でもカルラちゃん、あなたの家がノスガルドでよかったわ。さすがにあのままにしておくわけにもいかなかったしね」


「本当にすみません、何から何まで……ルナお姉ちゃん」

「せっかく節約して、近道されていたのに……結局、すぐそこなのに馬車まで使わせてしまって……」


「あ~いいのいいの~気にしないでぇ~」

「目的地が一緒だったから。これも何かのご縁よねぇ~……あはは」


(あれだけお金がって言ってたくせに、通りすがりの馬車を必死に探したけど、狙いは宿だな?)



 そんな他愛もない会話をしながら、三人を乗せた馬車はノモナーガ王国に入国するのであった。

馬車を降りたルティーナは白々しく、数人の歩行者に近づき質問をした。


「すみません、この町のギルドで剣豪バルストさんって方がいらっしゃると伺ってきたのですが……」


「そうかい知らないんだねぇ、一ヶ月前かなぁ魔物の大群に襲われて亡くなられちまったんだよ……」

「いい人だったんだよ……」


カルラの宿に向かう道のりで数人に同じような質問をし、皆、バルストの死を惜しんでいたのであった。複雑な気持ちではあったがルティーナはひとまず安心した。

そのうちにカルラの宿に着き、両親は不在だったので従業員にカルラを預けて、2人は本来の目的のギルドに向かうことにした。


「ありがと~ルナお姉ちゃん~っ! 今夜は、うちの宿に必ず泊りに来てよねぇ~お父さんに伝えとくからぁ~約束だよ~」


「登録したら必ず戻ってくるから、待っててねぇ~! ちゃんと、お医者さんに行くのよぉ~」



 ――ギルド――仕事や任務の斡旋屋とも呼ばれノモナーガ王国とアウリッヒ王国とトレンシア王国の3国が設立し、ノモナーガ王国の南側のノスガルドというの街に存在する。この場所は大陸の中心部にもあたるのであった。


2人はギルドの入口の前に立っていた。


「ここがギルド……仕事を斡旋してくれる所……」

「ところでシャル、もう一度確認よっ私の名前はルナリカ=リターナだからね! うっかり、ルティーナって言わないように、これからもルナで呼んでね」


「大丈夫ですぅ~ルナは、ルナですからぁ~」


(あはは、いちいち抱きつかなくても~苦しい)


「シャルは、名前が知られてないから、そのまま登録すること」


「はぁ~い」


「それじゃ、入るわよ!」



扉を開き、中の様子をうかがうが、中には数人の冒険者がたむろしていた。

貼りだされている仕事の案件を眺める者、雑談で盛り上がる者、受付で仕事の説明を受ける者……始めてみる光景にルティーナは浮かれ足だった。


「あれが受付かな――」


「――なんだぁなんだぁ~お嬢ちゃん達~ここがどこだか知って入ってきたのかい? 迷子かなぁ~それなら来るところが違うぜ」


筋肉モリモリの巨漢の男に絡まれた、ルティーナ達は険悪感を思いっきり顔に出すのであった。


(お約束かなぁ~)


(なにそれ? マコトお仕置きよろしく!)


「あ――おじさん! ご心配なく~私たちこれから最強の冒険者を目指すんで、邪魔しないでもらえます~? どなたかこの肉の塊の避けてもらっていいですかぁ~?」


(煽ってなんあ)


周りからは失笑が聞こえる中、何人か制止にはいろうとしていたが、他愛もないあおりで巨漢の男は怒りの頂点に達していた。


「はぁ~っ? 言わせておけば……生意気だぞぉガキぃがぁっぁぁ~っ!」


ルティーナは、殴りかけられそうになったが簡単に右手で拳をうけとめ、左手で掌底を放ち巨漢を開いていた扉を突き抜け外までぶっ飛ばし気を失うのであった。

馬琴(まこと)は、襲われる前に右手の手のひらに【(かたい)】、左手の手のひらに【(はじく)】を描いていたのだ。


周りの冒険者は、その光景にあっけにとられざわつき始めた。

見た目10歳の少女が、自分の倍もの体格の男を10mも吹き飛ばし気絶させたのだから無理もない。


「……受付のお姉ぇさん、お騒がせしました。私たち冒険者登録をしたいんだけど、どうしたらいいのでしょうか?」


それを目の当たりにしてた受付嬢も、さすがに硬直していた。


「……あ、はいはぃ、すみません。と、と、登録ですね」

「まずは、この書類に名前を書いてくださいね」

「そして、あちらの部屋に入って中の者に、『冒険者の適正確認をしてくるようにと言われた』と書類を渡せば、伝わりますので」


そんな中、受付嬢は小声でルティーナにささやいた。


「(あの男、いつもあんな感じなんですよ、冒険者のくせにすぐ難癖をつける嫌なやつだったんですよ。スッキリしました)」


(なんか、感謝されたね)

(むしろ、俺たちが問題児扱いされて摘まみだされるかと焦ったぜ……)



「よ~し! シャルいくよ~」


 意気揚々と隣の部屋に入っていったその部屋には、一人の老人が居た。


「おやおや、かわいいお嬢さんたちだねぇ。本当に冒険者になるのかい?」


(つか、このじじぃ……絶対、適正無さそう~って目で見てたよね?)


(『じじぃ』って、ルナさ~ん……毒を吐いちゃてるよ~)


老人はまずはシャルレシカを椅子へすわらせ、目の前の2つの水晶に片手それぞれを手に添えさせるのであった。

すると、左手の水晶は濃い紫色に染まり、右手の水晶は白く神々しく輝きだした。


「ほほうシャルレシカさんは、占い師の素質があるんだね。しかも高位な能力の持ち主だ」


(……あ、当たってる! ただのもうろくじじぃじゃねぇ――)


(だから『じじぃ』はやめなさいっ!)


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