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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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148話 暗中模索《あんちゅうもさく》

 ロザリナを救出し、喜びを分かち合うこともなく、ノキア王からの刺客、暗殺部隊のダブリスとフェンガがルティーナを隙をみて拘束する。

不運にもサーミャの転移魔法の使用回数切れ、シャルレシカも索敵では大まかな位置と距離しか解らず、ダブリス達は自分達とルティーナの気配を見せたり消したりすることでシャルレシカに無駄な魔力を消費させていた。

自力でサーミャ達は浜辺までたどり着くが、そこにはルティーナの姿はなかった。




 

 必死にルティーナの痕跡を探す4人であったが、そこには戦闘した跡すらない状況に、あのルティーナが無抵抗で誘拐されてしまった手際さに呆然としていた。

シャルレシカが洞窟で移動しながらこまめに索敵はしていたが、謎の男の気配だけがでたらめに動いては消えては現れを繰り替えているだけで、ルティーナの反応は全く捉えることはできなかった。


「さすがにあの絶壁の崖をルナリカを連れて登れば、気配を消したまま登れるかもしれないが、姿を現すにはルナリカと距離を置かなければ無理だ……そんなことをして登れるわけがない」


サーミャは船の案を推すが、アンハルトはそんなものは絶対に存在していないと主張する。

サーミャもアンハルトの目のことは長い付き合いで知っており、どんなに遠くに停泊していたとしても見えるはずだとわかっていた。


「あっちの方向に……一般人が数人居ますねぇ」


「そうか、操られている一般人なら洗脳を解けば悪意が消えて一般人になる可能性が――やつらならできる」


「しかし、あの時、突然姿をあらわした黒い衣装を被った奴……俺ぐらいに足が早かったぞ……洗脳で身体強化までは」


サーミャは一縷の望みにかけ再び洞窟から街道に戻り、大回りになるがその一般人を追うことに決めた。

しかしシャルレシカなりにヘルアドから無駄な魔力消費を避ける術は伝授していたが、無理な移動と索敵の乱発で体力が尽きて倒れこんでしまった。


「シャルっ……すまねぇっ無理させちまった」


「いいぇ~……まだぁ眠くはないのでぇルナのために頑張りま――」


「気にするな、さっきの一般人の気配だけ覚えててくれれば……とりあえず洞窟を出るまで寝て魔力を回復しろ」


そしてシャルレシカは言葉に甘え仮眠を取ることにする。

サーミャはロザリナを心配するあまりヘギンズを馬車で返してしまったことと、後手後手になっている状況が歯がゆかった。


「あのさアンハルト……シャルを運んでくれねぇか?」


「あ? え、俺が……鎧を着てるから、問題ないよ――」


サーミャとエリアルは先に洞窟からでて移動中の一般馬車を捕まえることにし、アンハルトはシャルレシカを担ぎ移動し、外で合流する作戦を決め4人は再び洞窟に中に入っていくのであった。





ダブリス達は、絶壁の崖を登りきりルティーナに寄り添うように上から4人の様子を見ていたのであった。


「――あいつら、行きましたね」

「ガキの首飾りのお陰で魔力を無駄に使わずにすみましたが、希少な『マジック・ポーション』があと1本になってしまいましたね」


「さて、これからが問題だ」


彼らは、今のシャルレシカの様子を見たうえで最低30分は索敵されないと踏み、この隙にルティーナの武装をすべてその場に捨て袋詰にし、2人で接触した状態で運ぶことにした。

そうすることで、いくら魔力が復帰したシャルレシカでも、索敵はできないと判断したのであった。

だが、そんな不自然な移動の仕方では不自然に映るため、馬車などを利用せず、地道に夜の暗闇にまぎれて自力でノモナーガ城まで移動を開始した。


そして馬琴(まこと)は――。


(こいつら、シャルの索敵から逃げ切りやがったのか……王宮に戻るって言っていたな? どういうことだ? こいつらはノキア王側の回し者ってことか?)

(情報が少ないから確信はできないが、リーナを狙ってたやつらは少なくともノキア王とは違う……2つの組織が共闘しているとも思えない……偶然なのか?)


馬琴(まこと)は、眠っているルティーナの耳から聞こえる会話だけを頼りに、ダブリス達が何を目論んでいるかを少ない会話から情報を集め、彼女が目を覚ました時に混乱しないように、伝える内容をまとめることに専念するしかなかった。




 一方、サーミャとエリアルは先に洞窟から抜け、一般の馬車を必死に探していた。

そして、アンハルトも少し遅れ洞窟から抜け出すが、シャルレシカを寝やすそうな場所をみつけ横にさせるのであった。

結局、馬車を見つけるのに1時間近くかかり、シャルレシカに再び索敵させるもその一般人を見失っていたのであった。


手がかりを完全に失ってしまった4人は、捕まえた馬車の旅人にお願いし、しぶしぶ『碧き閃光』の拠点まで送ってもらうことにしたのであった。



「シェシカっ! リーナは無事か?」


「みんなおかえり、まだ小さい姿のままだけどね目を覚ましたわよ」


しかし、そこにルティーナの姿がないことに、拠点に居たメンバーは事情を察して言葉を失った。


「何よそれ、それじゃ私を助けるためにルナが……」


「リーナのせいじゃない、あいつらの狙いが全くわからねぇんだ」

「小さい状態から戻って無いってことは、無事だという証拠だとは思うんだが」


ルティーナを心配する中、何かきっかけにならないかと、自分が狙われた経緯についてロザリナが話を話し始めた時、サーミャは例の話を割り込ませた。


「リーナ、あんた勇者の娘の子供なんだろ?」


「どうして、ミヤがその事を……」


ロザリナが言うには、自分の体と大量の生き血を使って何かの儀式をしようとしていたことを語る。

そして黒幕は自分の叔父にあたる勇者であり、そして今回の男たちを操っていたことを。


「それじゃ、ルナはその儀式の代わりに連れ去られてしまったってこと?」


「それはないと思います……私でないと儀式は成立しないから生かされていたので」

「――私と人質交換でもするつもりでしょうか?」


ある程度体力の回復したシャルレシカであったが、ルティーナを魔法で探すことはできないが、一度寝ることで何か予知夢が見れないか寝させてほしいとサーミャに相談する。

それを聞いたサーミャは方法が1つでもあるならと承諾する。



「ところで、ミヤ……なんで私の正体を……」


「それもあるんだが、ヘレン、お母さんの名前はカレンって言うんじゃないのか?」


「!」


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