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14話 遁走《トンソウ》

ルティーナは、父親バルストの暗殺の真相を知り怒りと動揺を隠せなかった。

そんな中、殺害にかかわった2人は依頼者と思わる人間に、謎の首輪で手段もわからず殺害されたのであった。

その事実を伝えるため5人のもとへ急いでもどるルティーナであった。

 ルティーナはシャルレシカの機転で無事に合流することができた、両親は喜んでいたが、この事件に秘められた事実か語られ言葉を失ってしまった。

重苦しい静寂の中、馬琴(まこと)は現在の状況を打破するための最善策を思案しつつルティーナに語らせた。


「ところで、巻き込んでしまったドリネさん達には大変申し訳ないのですが、無理を承知でお願いしたいことがあります」

「お二人にこのまま街へ戻っていただき、デフルウの大群に襲撃されたことをギルドに伝えていただきたいのです」

「そして、バルスト一家が身を挺して二人を逃がしてくれた、という話にしていただけると助かります」


そうすれば、すぐに救援の冒険者たちがこの場所へ駆けつけてくるだろうと彼は考えていた。

偶然にもドリネは馬に騎乗できることができたので、その件については問題ないと確認は取れた。

しかし自分たちはどうすればいいのか不安になるアンナがルティーナに尋ねた。


「それについては、対策を考えています」

「時間がないので簡単ですが、私の『能力ちから』のことも併せて説明させてもらいますね」


全員もデフルウを一掃し、空まで飛んで見せたその『能力(ちから)』に魔法でない何かを感じ取り息をのんでいたが、ルティーナは静かに語り始めた。

彼女は自分が眠っていた7年間、夢の中でこの『能力ちから』の片鱗をずっと見ていたと語り、自分が思ったことが具現化できるようになったと伝えた。

皆はあっけにとられた表情でルティーナを見つめていたが、事故をきっかけに神の力でも得ることが出来て目覚めてくれたと信じてくれた両親と、それを必死に理解しようとしたドリネ達であった。

もちろん、馬琴(まこと)のでっちあげであるが十分効果があったようだ。


早速、馬琴(まこと)はルティーナに促した。

いまから、そこの荒れ果てた地を元に戻しますと適当に地面に手を触れ、【(うめる)】と【(たいら)】の漢字を自分の外側に向けて2m程の大きさ描き発現して見せると、デフルウの死体が轟音と共に土に埋もれ、そこには何もない荒れ地に近い平地になった。



「わかったわよ、ルナちゃん……何でこうなってしまったかわからんが、バルストさん達の噂は私たちにまかせておくれ!」

「あとルナちゃんの不思議な力と、シャルちゃんも巻き込んでしまわないように出会ったことも伏せておいた方がよさそうだね」


ドリネはルティーナに気を利かせながらも、馬車から馬の接続を外す準備を始めた。

ミリアも自分達の命の恩人が困っている姿を気にし少しで元気付ける為、この事件が解決したらまた皆でできなかった宴会をしようと約束し、また一緒に薬草採取をしてほしいとルティーナに願うのであった。

そうしている内に馬の準備が出来き、ミリアと2人乗りをしバルスト達に一日も早く真相が解ることを祈り別れを告げその場を立ち去るのであった。


 少しでも長く4人はドリネ夫妻を見送っていたかったが、ルティーナはアンナに時間が無いと自分達が身に着けている備品を外し、服もびりびりと破き適当に周りにちらせさせた。

そして馬車から適当に荷物を持ってこさせ、デフルウの死体辺りに適当にばらまくように指示した。

自分はバルストの剣や防具を全部外して、【(こわれる)】を描きデフルウの死体に投げつけ破壊するのであった。

死後に、ルティーナは数枚の板を取り出し【()】と描いて、適当に防具や服が散乱している中心付近に投げ込み着弾する前に『能力(ちから)』することで周囲に血しぶきが飛び散り、ある程度の惨状が演出されたのを見計らい、ある程度汚れたところで『停止(ていし)』するのであった。

そしてバルスト1人では余りにも対峙した数が多いいと違和感が残るため、デフルウの遺体の半分近くを土葬するのであった。


「ふう……これで、デフルウに食べられて、私たちの遺体が跡形もなくなったと思うでしょ?」


あまりの早業と想像を超えた出来事に、一同は唖然としていたが、一番の問題に直面していた。


(さすがマコトね。次はどうするの?)


(……どうしようか?)


(え? まさか)


その時、シャルレシカが静かに口を開いた。


「皆さん、行くところがありませんよねぇ? アジャンレ村でぇ暮しませんかぁ?」


突然の申し出であったが、バルストが思い出したように最初の疑惑をシャルレシカに問うのであった。


「そ、そういえばシャルちゃん……最初に逢った時に、アジャンレ村と言っておったな」

「わしも噂でしか聞いたことはないんじゃが、アジャンレ村はわけありの人が、ひっそり暮らしていると……本当なのか?」


シャルレシカはうなづき、お互いの事を干渉しない条件で皆、自給自足して助け合って暮らしている村だと語る。

そして自分を育ててもらった孤児院が人手不足の事情もあり、片手でも力仕事が出来るバルストと治癒魔法が使えるアンナに是非来てほしいと懇願した。


(こ、これは助かる~……シャルに出会えたのは幸運だったな)


馬琴(まこと)は、一番の問題点が解消できたと心の中で安堵した。

そしてリバイバ一家はわらをもつかむ思いで、シャルレシカに案内されアジャンレ村へ逃げるように移動を始めるのであった。


(そういえば、馬車で8日乗り継いで……山道を2日歩いたとか……言ってなかったか?)


(げっ)



――これから過酷な闘いに巻き込まれていくルティーナと馬琴(まこと)の物語が始まる。


(序章 「覚醒」編 完)


次回より本編に入ります。

第弐章 「仕事探シ」編


ルティーナとシャルレシカはアジャンレ村を離れ、ノスガルドにある斡旋屋(ギルド)に冒険者登録へ向かう。

そして、パーティとして2人は仕事探しに紛争する中、失踪した魔法使い探しの大仕事の依頼を受けるのであった。


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