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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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139話 意識操作

 ルティーナ達はさらわれたロザリナの場所を、シャルレシカの力で2か所に絞り込むことが出来た。

そこで『碧き閃光』の力も借り、2つのチームに別れそれぞれの場所へ向かうことにするのであった。


洞窟潜入チーム(東部側峠班)

後方左から ヘレン/エリアル/アンハルト

手前はルティーナ

挿絵(By みてみん)

 ルティーナは馬車を確保するため、夜中ではあったがヘギンズの家を尋ね、ロザリナの為に力を貸してほしいと伝えるのであった。

ヘギンズはもちろん二つ返事で了承し、すぐに馬車を出し4人を乗せ現場に馬車を駆けるのであった。


「しかしアンハルトぉ~、おまえら『碧き閃光』も専用の馬車があるだろ?」


「あぁ今、それはグルバスが使って、もう1つの現場に向かってる」


状況を理解したヘギンズであったが、ルティーナが空を飛べは早いのではと疑問が湧く。

馬琴(まこと)はそれを想定しており、彼女が飛べるということを知らないアンハルトに理由がつくよう説明を始めた。


「……ヘレンは知っていたのか?」


「はい、秘密にするようにお願いされていたので……」


「いや、怒ってはいないよ。その能力はサーミャの転移もそうだが、他言無用だってことぐらい」


「察していただいて、ありがとうございます」

「秘密がバレてでも、リーナを救出することが最優先なんですが、長距離を飛ぶと体力をかなり消耗しますし、すぐ戦いになってしまう可能性もあります。後、リーナを救出した時に運搬も必要です」

「それで、今回はギンさんにお願いさせてもらったんです」


「そうだったんだな」

「だが、お前たちは俺を信用しすぎだぞ、そんな大事な秘密をペラペラと、全くぅ」


「えへへ、腐れ縁ですよ」


「なんだそりゃ」


しかし現地までにはあと数時間かかるため、現地までヘギンズに任せ、体を休めることにした。


そんな中、馬琴(まこと)は、ロザリナが大胆に誘拐された理由を考えていた。

以前、シェシカがドグルスに狙われていたことはあったが、誘拐まではされず監視だけされていた違いが気になって性がなかった。


彼らは光魔法を使える人間を集めていたことは、シャルレしかの過去視によりわかっていた。


(闇雲に誘拐しているとことが大きくなると考えて、自粛していたのか?)


(じゃあ、リーナは誘拐すべき対象者だったってこと?)


そうなると、ルティーナ達がタリスの任務で『オブシディアン・ストーン』を宿に運んでいた日にはすでに、ロザリナを拐った男達が隣の部屋を確保したことになる。

しかし、腑に落ちないのがシャルレシカが気付けなかったこと。

彼女であれば、索敵しなくても2,30mの以内であれば自分たちに向けられた悪意に気付けるからである。


(そういえば……最近シャルって、悪意が一瞬居たとか、消えたとか、よく言ってるよね?)


(やつらに悪意を消す何か秘密があるのか? それとも別の……)


「どうしたのルナリカ? ロザリナのことが心配で眠れないの?」


何か外を見つめながらたそがれているルティーナを、ヘレンが気遣う。

するとアンハルトも自分も寝付けないと起き始める。


「お前ら、ちゃんと寝とけよ!」


「すみませんヘギンズさん」



ルティーナはヘレンに黒魔法について、少し教えてほしいと知っている知識を話してもらうことにした。

彼女はルティーナに悪意を消す方法があるかと問われ、自分の存在を隠す魔法は、姿や持っているものを見えなくする『ダーク・インビジブル』、そして気配を消す『ダーク・バニッシュ』があると語る。

悪意を消すのであれば、『ダーク・バニッシュ』でほぼ消せるが、この魔法は長時間維持できないという。


「可能性があるなら、私がよくやる動物を操る『ダーク・マニピュレート』ですが、上位魔術師だと、他人の精神を乗っ取り、意識を好きな時に操れると聞きます」


「乗っ取るって……ヘレンも出来ちゃうわけ?」


「私は使えないですよ」

「この魔法は誰でも都合よく操れるわけではないらしく、相手の弱味か何かにつけ込んで、事前に心理状態を脆くさせる必要があるそうです」

「複数人にかけておいたとしても、一度に操れるのは1人……好きなときに操ったりやめたりできます」


馬琴(まこと)は、そこから1つの答えを導き出す。

無関係の悪意のない旅人を事前に洗脳しておけば、誘拐するときだけ意識の乗っ取れば、『ダーク・バニッシュ』を使わずともロザリナの状況を探れて、そしてシャルレシカにも悪意を察知されずに居続けられると。

しかし、その答えにも盲点はあった。

族は2人……1人は操れたとしても、もう1人は洗脳されていない状態で、誘拐する計画はわかっていたと。

そうなるとシャルレシカに悪意の存在に気づくはずだが、それがなかったということは自分たちがアシャンレ村に行ってから合流した可能性もあるが、もしかしたら、『勇者』が裏で動いているなら2人以上でも操れる魔法が存在してもおかしくないと模索していた。


「いずれにせよ……この洞窟の先で、ただの操られている人間が待ち構えてるかもしれないってことですね」


「意識操作を開放すれば、待ち構えている族は一般人になり悪意が消えるってことかい?」


「そんな事をされたら、シャルちゃんが索敵の時に判断が困りますよね? シェシカさんに情報を連携しておきます」



馬琴(まこと)は、今、意識操作を解除してしまうと、ロザリナを拐った意味がないことも理解はしていた。

つまり今、彼女が連れ去らてている場所にいるのは別の人間。つまり、本来の主犯格に引き渡した可能性も拭いきれなかった。





 一方、ルティーナ達の馬車の後を走りながら追いかけるダブリスとフェンガの影があった。


「ルナリカとシャルレシカが別れてくれて好都合でしたね」


「あぁ、これなら『ダーク・インビジブル』も使わずに追跡できるからな」

「しかしフェンガ、なぜ王はあの小娘を――」


「ふっダブリス、野暮なことを……王の趣味に口出しなんて」


「……」

「(しかし王都爆発事件を境に、あの方は何か変わられてしまった……)」


「ん?」


「いや、なんでもない」

「見失うなよ、今回の失敗は死と同義だからな」


「はっ」


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