138話 陰謀詭計《いんぼうきけい》
~陸章の振り返り~
ルティーナは仲間に、今まで隠していた自分の意識の中に馬琴が存在し不思議な力を駆使していることを話した。
皆はそのことを受け入れ、新しく馬琴も『零の運命』と認められ活動を再開することになった。
そして、それぞれがパワーアップしていく中、ルティーナの親夫婦が隠れ住んでいる『アジャンレ村』が襲撃される。
ルティーナは主犯格スレイナと対峙することになり、2つの組織の存在が明らかになる。
1つは、自分と同じく馬琴と同じ世界から召喚された誰かに取り憑かれているノキア王
そしてもう一つは、約80年前に召喚されたと思われる『勇者』という存在
その2人には接点は無いようだが、今までの敵となったドグルス、ゲレンガ、スレイナの3人はどちらにも所属してそうでしていない奇妙な存在であった。
無事、スレイナの魔の手から両親を助け出したルティーナは、とりあえず自分に一番近い存在のノキア王から正体を暴こうと活動を開始しようとする。
しかし、ノスガルドで留守番をしていたロザリナが何者かに拉致されてしまっていたため、転移ができなかった。
慌てるルティーナ達は、転移魔法がバレても問題ない『碧き閃光』の拠点へ転移することにしたのであった。
ここはノモナーガ王国のノキア王室――。
「どうした? ダブリス」
「ヘルアドの妹を始末した報告か?」
ダブリスは2人の刺客を送り込んだが、一切連絡が取れなくなってしまったことを報告した。
その回答にノキア王は激怒した。
「……申し訳ございません」
連絡が取れないこと、それは、自分の素性を隠す為に自害するとういうことであった。
ダブリスは、ノキア王の先々代から続く、秘密裏に構成された王宮直轄の暗殺部隊の隊長であり、彼の配下にはドグルスとテレイザも居た。
スレイナから情報を得たテレイザはもう1人を連れヘルアド暗殺任務へ赴き、ルティーナ達に捕縛されたため自害したのであった。
「ここ数か月で、暗殺部隊の内3人も失うとは……あとは、お前とフェンガしか居らぬではないか? 一体これはどういうことだ」
「まさか、老婆1人を殺すのに2人がかりで失敗する意味がわからんっ」
「弁解の余地もございません」
「王宮爆発の真実を知るものは、ヘルセラのみ……やはり至高の占い師の妹……確実を期す為、2人を派遣したのですが、侮っておりました」
「我々の中で隠密に長けているフェンガなら確実に――」
「馬鹿か貴様は、もうよいっ」
「どうせ放っおいても寿命が来る相手に、失敗した理由もわからず、また失敗されたら目も当てられんわ」
ノキア王は怒りながらも焦っていた。
「隠密か……そうだな、あのギルドの冒険者ルナリカ=リターナを証拠を残さなぬように、自然に行方不明にし拘束して地下室に監禁するんだ」
「手段は問わないが傷はつけるなよ。ただし、あいつの手の平に触れるなよ、いや、触られるでないぞ」
「か、かしこまりました」
「あと拉致するのでしたら、ちょうどドグルスが潜入していた組織の仲間に面白い行動をしていたという面白い情報をテレイザが入手しておりまして……」
「ふんっ大丈夫なのか? その組織の事、そもそも分かってないのであろう?」
ダブリスは、ロザリナを誘拐する計画の話しを伝え、おぼつかない状況を利用するれば容易いことを説明し、ノキア王も納得し行動に移るように指示をした。
「――行ったか」
ノキア王は、『王都爆破事件』で何があったか知る人間、および、『星降り』により『水晶の破片』に関わりそうな人物をほぼ排除したことに満足をしていた。
そして、自分にとってやっかいな暗殺部隊も始末することを考えていた。
結果、自分が手をかけずとも3人は死に、ダブリスは自分が洗脳魔防で操れるフェンガで始末し自害させれば全て完結すると――。
「これで誉美を誰にも邪魔されずに俺の物にできる」
「く、くくっ、くくくふははははははっ~」
――王の部屋は不気味な笑い声で満たされるのであった。
王宮での異変を知る由もなく、シャルレシカによるロザリナ捜索が続いていた。
「しかし、杖だけでも残ってて良かった」
「そうだな、他に荷物らしいものはすべて処分されていたようだった」
「リーナに関連した物が残ってたら、シャルレシカに足を掴まれてしまうからか……」
「そうでしょうね」
(……そうなのか?)
ロザリナは回復師とは言われているが、『武闘会』でも杖をもたず格闘を好んでおこなっていた印象が強いため、ロザリナの杖でないと認知されたのだろうと皆は考えていた。
――しばらくすると、シャルレシカの水晶に峠を上から見下ろす光景が浮かび始めた。
「これは……峠?」
「グルバス、この場所を見たことあるか?」
「あ~どこだろ? 正直、上から見た事ねぇからな」
「だが、この辺から1日以内で行ける峠は2箇所だ……そのどっちかにある洞窟だろうな」
そして水晶の中はそこから洞窟に入り込み、ロザリナが居る場所まで案内したのであった。
ロザリナは相変わらず、鎖に繋がれているままで、腕になにか管がさされているようにも見えた。
「リーナ、待ってろよ!」
「う、う~ん」
「シャルおかえり」
「やはりぃ普段愛用してる物が残っていたらぁ~より詳しく探せたんですがぁ」
「でもだいぶ周辺までが見えましたぁ」
「ありがとぅシャル、何もないところから情報が得られただけでも上出来よ」
「しかし、2ヶ所ある峠……水晶から見えた通りならなら峠の中腹あたりの洞窟に入っていったよな?」
「早くしないと、深夜か早朝になったら移動される可能性があるわ」
アンハルトは2手に別れて、それぞれの峠を調査しロザリナ救出を実行することを提案した。
しかし索敵に関してはシャルレシカが居ないと意味がないと課題があったが、ヘレンが自分の闇魔法でネズミを操れば捜索できると申し出た。
そこで2つの班編成が決められた。
1チーム目は
ルティーナが指揮し、馬車はヘギンズに出してもらうように依頼することにした。
メンバーは、ヘレンとアンハルトとエリアルの全部で4人。
2チーム目は
サーミャが指揮し、グルバスが自分達の馬車を操舵する。
メンバーは、シャルレシカとシェシカとブライアンの全部で5人。
そして、サーミャはルティーナから『ヒーリング・ストーン』を預かり2つ持つことになった。それにより充電を考えず、お互いの場所を移動できるからである。
「あと、この鳥をシェシカさんにお預けします」
「そうね、これがあばれお互いの状況が通話できるわね」
ヘレンはロザリナに借りがたくさんあると、今回ばかりはかなり気合が入っていた。
それを見ていたサーミャは、おもむろに『エクソシズム・ケーン』をヘレンに差し出す。
「えっ、いいんですか? これはサーミャさんの大事な……」
「でも、この杖があれば、私が使えない『水』『雷』『風』魔法も使えるんですよね?」
「あぁ、そしてヘレンの得意な『土』『火』『闇』魔法は5倍威力になるぜ」
「そっちにリーナが居たらが、あたいの代わりに全力で助けてやってくれよ」
「はいっ、ありがとうございます」
「これで、ネズミも大量に動員できますね!」
(あはは、みんなやる気だ)
(よし! リーナ救出っ)
「「「「「「「「「作戦開始っ!」」」」」」」」」




