125話 「サーミャ」ノ悪夢
ルティーナの実家は無事であったため、目的の1つの『ヒーリング・ストーン』を見つけることができ、サーミャの所有物にした。
2つの『ヒーリング・ストーン』を所有したことにより、課題であった転移先に光魔法使いがいなくても往復できるようになったのだ。
それにより、武器屋タリスからの依頼を遂行しつつ、最後の目的である『ウェンの森』の調査の計画を建てることが出来た。
ルティーナ達は実家で一夜を過ごし、翌朝早く4人は『イルフェ鉱山』に向かうのであった。
「そういえば、なんで杖持ってるんだ? リーナ」
「これ? アンナさんが使ってたやつらしいんだけど、ルナが使ってみたらってくれたんだ」
以前、ロザリナはシェシカから魔力制御を指摘されていたため杖を使うことを薦められていた。
しかし、自分は格闘戦を主にし、そのうちに気持ちが高揚することで光魔法が使えるため、あまり気にしていなかったが、今回の魔物に格闘戦では高揚できそうに無いため杖を使うことにしたのであった。
そして『イルフェ鉱山』に近づけば近づくほどシャルレシカが、青ざめた顔になり始めた。
「げっ、それだよそれっ! あ~思い出したくねぇ……」
そんな不安の中、4人は洞窟に入って行き、目的の採掘現場にたどり着くのであった。
早速、ルティーナはタリスから預かった『オブシディアン・ストーン』を取り出して、手のひらに【索】を描き、岩場に手を触れるのであった。
「そんなので探せるのか? 凄げぇなルナ」
「なんでもありですね」
数分もしないうちに、ルティーナは鉱石の埋まっている場所を見つけ出す。
しかし、シャルレシカもそこにはデリエジが数匹うごめいていると伝える。
「ところで、採掘方法についてなんだけど――」
「あいつらはとにかく火で焼き殺すに限る! とにかく触れたくもねぇ!」
(相当、嫌な思い出があるんだな……)
しかし、馬琴はタリスの話しを思い出し、『オブシディアン・ストーン』は原石は火に脆いため乱心しそうなサーミャを止めるようにルティーナに伝えた。
「そうだった! じゃぁどうすんだよ? エルが居たら火の剣で任せられたのに……」
馬琴はデリエジが居るということは水源も存在しているはずと、つまり、岩場を砕くと水と一緒にデリエジが飛び出してくるはずだと。
そこで、サーミャに水を凍らせるか、水流に巻き込むなどしてデリエジを一網打尽にできないかと確認した。
「あぁ、それなら出来そうだが……やってみるか」
サーミャは『ロック・バスター』を詠唱し、自分の周りに『フリーズ・ゲージ』と大量の『ストーム・スラッシャー――風の刃――』の呪文を展開させていた。
そして目の前の岩を破壊すると、予想どおり中から大量の水とデリエジが吹き出し、ゴロゴロと音を立てながら『オブシディアン・ストーン』の原石が岩壁から転げ落ちるのであった。
すかさず水脈を凍らせ、一緒に凍らせたデリエジに対し風の斬撃で細切れにするのであった。
「さすがぁ~ミヤですぅ」
「へへんっ、ざっとこんなもんよっ」
「さぁシャル、『オブシディアン・ストーン』を集めるの手伝ってくれ」
その場は2人に任せて、ルティーナはロザリナと別の場所の発掘を始めた。
そしてロザリナは、今回の触りたくない魔物に対して『シャイン・プリズン――光の檻――』という光魔法を杖を使って挑戦してみることにした。
「なので、ルナは原石がある場所の岩壁を壊してもらっていいですか?」
「わかったわ」
ルティーナは岩壁に手をつき【砕】を2mの大きさで描き、ロザリナの詠唱準備を伺いながら、その場を離れ『起動』するのであった。
岩を破壊すると中から大量の水とデリェジが吹き出してきた瞬間、ロザリナは『シャイン・プリズン』を放つ。
光の檻がデリェジを1匹1匹確実に閉じ込め地面に転げ落ちる。
「やったぁ! 平常心でも出来ましたぁ。杖のおかげですね」
「へぇ~光魔法ってこんなことも出来るんだねぇ……」
(魔物だけ? いや生物がこの光の檻に閉じ込められるのか)
「しかし、水源を詰めない限り、どんどん出てきますよ……出てくるたびに魔法を放たないと……」
ルティーナは手裏剣に【凍】を描き、水源に投げ込み凍らせることでデリエジの流出を止めるのであった。
(【砕】を描いた時に、一緒に【凍】が2重描きできれば楽なんだけどねぇ)
(そっか、まず岩場を先に砕かないといけないから、それで、コオルを使う前に一緒にカンジが砕けちゃうんだっけ)
「これなら、安全に『オブシディアン・ストーン』だけ回収できますね」
「「――きゃぁ~っ」」
「! ミヤっ……あ……」
ルティーナ達が振り返ると、サーミャとシャルレシカがデリェジまみれになりしびれてうなだれていた。
(うおっ)
「あわわわわ~なんて格好.してんのよぉ~」
(マコトっ、喜んでんじゃないわよぉ~っ)
「だ……だずげで……」
サーミャは予想以上に湧いてきたデリエジに対応できずに襲われていた。
「ルナ、どうしましょう? 触らなきゃ無理そうですよ……でも、あいつらをひっぱがして解毒魔法をかけてあげないと」
(ルナ、試したい漢字がある――)
ルティーナは、とりあえず地面に手をつき【乾】を2人を包み込むように描き、『起動』した。
瞬く間にデーリェジは水分が足りなくなり枯れて絶命するのであった。
「最悪だ……ぜ」




